38石 次回配信決定とCM
38石 次回配信決定とCM
文香から送られてきた部屋の画像に呆れたあと、ダイニングでレイラとエルミナと夕食を食べて一息ついた。
「ウーちゃん、とりあえず良さげなゲームを見つけたよぉ」
「お? もう見つけたのか?」
「うん。マルチプレイメインでちょっとだけ古いんだけどそれなりに有名なPCゲーム。値段も1500円くらいのやつをなんだけどぉ」
「いいんじゃないか。なんていうゲームだ?」
「【パーティーサバイブ】ってゲームだよぉ」
パーティーサバイブか。
聞いたことあるような、ないような。
「あれ、ウーちゃん知らない?」
「うーむ。どこかで名前は聞いたことがある気がするのだが。どういうゲームなのだ?」
「おっけぇ、説明するねぇ。パーティーサバイブは乱闘型対戦アクションパーティーゲームなんだよぉ」
乱闘型対戦アクションパーティーゲーム。
全員で殴り合うゲームか?
「プレイヤーは全員角が生えたグニャグニャした3頭身くらいのデフォルメされた人型キャラクターを操って他のプレイヤーを倒すんだぁ」
「グニャグニャした人型?」
「そぅ。身体が柔らかくてグニャグニャするのぉ」
よく分からんな。
黙って聞いているレイラも不思議そうな表情を浮かべている。
「ゲームのルールは簡単。自分以外のプレイヤーを全員ステージの外に出せば勝ちなんだぁ」
「乱闘型対戦アクションなのだから攻撃して叩き出せばいいのか?」
「そぅ。手段を問はずとにかく外に出せば良いのぉ。パンチとかキックとかで相手を気絶させて掴んで投げたりねぇ」
「それは結構面白そうだな」
「最初は難しいだろうけど、ゲームに慣れて上手くなればかなり自由に動かせるみたいだよぉ」
「ほぅ。かなり良さそうだな」
「じゃあパソコンでPVとか見てみる?」
「うむ。配信部屋にいこう」
3人でダイニングから配信部屋に移動する。
早速エルミナがパソコンの前に座ってキーボードを叩き出す。
「これがパーティーサバイブの販売ページだよぉ」
「これか」
モニターにはパーティーサバイブと書かれたゲームの販売ページが表示されていて、1580円と書かれていた。
「安いな」
「そうですね」
「今、PVを流すねぇ」
エルミナがそう言ってマウスを動かすとすぐにムービーが流れる。
全身統一された色のデフォルメされた角の生えたキャラクターが別の色の同じような姿のキャラクターと殴り合っている。
そして本当にキャラクターがグニャグニャしていた。
「グニャグニャしてるな」
「なんか可愛いよねぇ」
「そうですか?」
ステージもいくつかあるようで、並走している2台の新幹線の上や飛行機の上で戦っている。
他にも高速道路や溶鉱炉などもあるようだ。
「なんでコイツらはこんな場所で戦っているんだ?」
「面白いからでしょぉ」
キャラクターのコスチュームも少ないがいくつかあるようだ。
動物の着ぐるみだったり、マントなど。
そこでPVは終了した。
「どうかなぁ」
「うむ。いいんじゃないか。これは一度に何人まで遊べるのだ?」
「最大6人までだねぇ」
「6人出来るなら十分だな。よし、そのゲームを購入してくれ。次の配信はパーティーサバイブをするぞ」
「おっけぇ」
エルミナがキーボードを叩くとすぐにゲームが購入出来た。
「それで次の配信は明日するのぉ?」
「うーむ。3、4日休むと決めたのだから次の配信は明後日にしよう」
「分かったよぉ。時間は何時も通り?」
「そうだな。21時で良いだろう」
「はぁい。じゃあわたしは早速サムネを作って配信ページを作っちゃうよぉ」
「任せた」
「うん。あ、パーティーサバイブの練習する?」
「……いや、どうせなら初見でやった方が面白いだろう。レイラはどうする?」
「ウルオメア様がそうなさるなら私も同じく初見でやらせてもらいます」
「分かったよぉ。じゃあ配信ページが出来たらウーちゃんに教えるからもういいよぉ」
そうして解散した。
レイラはダイニングの方に行き、余はリビングでソファーに座る。
とりあえずテレビを見ようとリモコンを手に取ったところでスマホが鳴った。
「電話? 誰からだ?」
普段電話なんて掛かってこないので不思議に思いながらスマホを取り出して画面を見る。
画面には門谷と表示されていた。
「門谷?」
とりあえず電話に出る。
「もしもし」
『あ、もしもし。お疲れ様です門谷です』
「あぁお疲れ様。どうしたんだ?」
『実は次回の公式生放送のCMがこの後の21時からテレビやネットで放送されます』
「そうなのか」
『もっと前にご報告しようとしたのですが、遅くなって申し訳ありません』
電話越しに門谷の緊張が伝わってくる。
どうやら門谷は余がゲストとして公式生放送に出演するという情報が流れるCMの放送時間の報告が遅くなったことを申し訳なく思っているようだ。
「それくらい構わん。自由に宣伝して構わないと事前に決めただろう」
『そう言っていただけると有り難いです』
「そんなことで怒ったりしないから安心しろ」
『すいません。相手がウルオメアさんだと思うと、まだどうしても緊張してしまって』
「まぁこれからも付き合いはあるだろうし、少しずつ慣れていけば良い」
『はい』
「それよりも余は先に公式生放送出演を発表してしまったが、問題はないのだろう?」
『もちろん問題ありません。公式から正式に情報を出すのが21時なので』
「そうか。わざわざCMの報告ご苦労だったな」
『はい。では失礼しますね』
「うむ」
そこで電話が切れた。
しかし、CMか。
撮影などはしていないから直接出る訳でもないだろうし、どんな感じなのだろうか。
もう少しで21時だし、それまでテレビでも見て待ってよう。
「お、21時になったな」
テレビを見ているとすぐに21時になった。
とりあえずネットで見てみようとスマホでタオ手を検索して公式サイトに飛ぶと、すぐにCM動画が見つかる。
先ほど公開されたばかりだ。
余はCM動画を開く。
『タオスの冒険-異世界からの手-通称タオ手の2周年記念、連続ネット公式生放送第4回!』
『あ! もう4回目なんだ! 毎回ビックリするような発表があって、目が離せないよね!』
『今回はなんと! なななんと! 衝撃的なゲストさんが登場しまーす!』
『えぇ!?』
『ヒント。今話題のアノ人です!』
『一体誰なの!?』
『私たちも会ったことありませーん!』
『だから誰なの!?』
『詳細は公式サイトにて!』
『誰なのぉぉぉぉぉぉ!?』
そこでCM動画が終わった。
どうやらあえてCM内では余のことは出していないようだ。
ただ、公式サイトを下にスクロールするとすぐに余の出演決定が書かれていた。
「公式サイトまで見に来いってことか」
しかし、余が出るのは2周年記念の連続ネット公式生放送の4回目なのだな。
どうやら普段は定期的にやっている公式生放送を今は2周年記念で毎週やっているようだ。
知らなかったな。
「もう少し詳しく調べておくか」
タオ手公式生放送で検索してみると、いくつもの有名なゲーム情報サイトが出てきて、どれも先ほど正式に発表された余の出演情報が一斉に公開されていた。
「これなら余もタイミングを合わせた方が良かったか?」
まぁ門谷が許可したのだから良いか。
そこでツブヤイターが気になったので開いてみると、公式生放送や余のことがトレンドになっていた。
詳しく見てみると、余の出演情報に驚いている者がそれなりに居る反面『もう知ってる』や『情報遅いよー』などの反応も多くある。
前回、トレンドに載ったからといって全員が余の情報を知っている訳ではないということがよく分かるな。
「もっと頑張らなくてはな」
「ウーちゃんー」
そこでエルミナがリビングに入ってきた。
「お、エルミナ。今、公式生放送のCMが流れ始めたぞ」
「知ってるよぉ」
流石はエルミナだ。
もう把握しているとは。
「それより配信ページが出来たから宣伝しといてねぇ」
「もう出来たのか」
「大分慣れちゃったからねぇ」
「お疲れ様」
「うん。じゃあ宣伝よろしくねぇ」
そう言ってエルミナはリビングを出ていった。
また配信部屋に戻るのだろう。
「さて、では配信の宣伝をしておこう」
まず配信ページを確認してみる。
サムネはパーティーサバイブのキャラクターが両手を上げて2体横に並んでいて、その顔が余とレイラになっていた。
相変わらずよく出来ている。
サムネの出来に感心しながら、ツブヤイターを開いて内容を考えながら打っていく。
『先ほど公式生放送出演情報が解禁されたな。
余も今から楽しみだ。
それは置いておいて次回の配信予定が決定したぞ!
次回配信は明後日の21時だ!
配信内容はゲーム配信。
ゲームはパーティーサバイブだ!
楽しみ待っているのだぞ!
配信ページ:xxxxxxxxxxxxxxx』
「これでよし」
間違いがないか確認してからツブートした。
すぐに何時ものように大量のいいねとRTがされて返信がくる。
返信を見ると当然のようにさけるイカの名前。
『パーティーサバイブですか!
持ってなかったけど、もちろん即購入しました!
ウルオメア様を助けられるように今から練習しておきますね!』
いいねして『分かっているよな? 対戦ゲームだぞ』と返しておく。
「文香なら本当に余を助けようとしてきそうだな」
そう思いながら余のツブートにきた返信にいいねをしていく。
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