20石 2回目の配信 始めてのゲーム練習防具アイテム編

20石 2回目の配信 始めてのゲーム練習防具アイテム編




「これでMFBGの武器は全部確認したな。次は防具を見ていくぞ」


『りょ!』『はいはーい』『もう武器終わりか』『次防具ね』『防具は少ないからすぐ終わる』


 となりのテーブルに移動すると、ローブと西洋鎧が置いてあった。


「さて、まずはこの……む?」


『なんだ?』『どうしたの?』


 防具を確認しようとしたら、エルミナからのメッセージが画面に表示される。

 『ツブヤイターのトレンド日本1位になったよぉ。それと視聴者数も見てみてぇ』だそうだ。

 どうやらとうとうツブヤイターのトレンド日本1位になれたらしい。

 メッセージ通りに視聴者数を見てみると5万人を超えていた。


「どうやらツブヤイターのトレンド日本1位になれたようだ」


『なにぃ!?』『マジだー!』『1位キタキタ』『すごい!』『やりますねぇ!』


「現在の視聴者数も5万人を超えている。皆の者、ありがとう」


『すげぇぇぇ!』『どういたしまして!』『さけるイカ:やはりウルオメア様は神』『ウルオメア様半端ないって!』『こちらこそ、ありがとう』『数字えっぐ』『感動した!』『まだゲーム本番が始まってないのにこの盛り上がり』『戦闘始まったらどうなるんだ』


 確かにまだ装備、アイテムの確認だからな。

 出来るだけ早く進めた方が良いか?

 とりあえず進めよう。


「よし、ゲームに戻るぞ。最初はこのローブだ」


 テーブルの上のローブを拾う。

 すると、余のキャラクターが拾ったローブに身を包む。

 灰色のローブで頭までスッポリだ。


「これは魔法のローブレベル1だな。装備していると受ける魔法のダメージを軽減してくれる。レベルが上がるごとに魔法のダメージ軽減数値が上がっていく。ただ、魔法以外のダメージ……つまり拳やロングソードなどのダメージは軽減出来ないようだ。耐久値が無くなると壊れる」


『まんまローブ』『魔法使いといったらこれ』『魔法ダメージ軽減か』『ローブは絶対に装備した方がいい』『ローブのレベル上げ優先かも?』『俺は杖を先にレベル上げる派』『ワイはローブ』『やはりロングソードがナンバーワン!!』『物理で殴れ!』


 リスナーのコメント通り、MFBGのメインは魔法での戦闘なので、この魔法のローブは重要性が高いだろう。

 見つけたら装備必須か。

 ただ、防具はもうひとつあるからな。

 そっちを見てみよう。


「次は西洋鎧の方を装備してみるぞ」


 西洋鎧を拾うとその場にローブを捨てて、余のキャラクターが鎧姿になった。

 鎧は全身をガッチリ覆っている。


「この防具はフルプレートアーマーレベル1だ。効果は魔法のローブと逆で拳やロングソードでのダメージを軽減出来るが、魔法のダメージを軽減出来ない」


『ガッチガッチやぞ!』『硬そう』『見た目だけ』『……残念ながら完全なネタ装備だゾ』『魔法ダメージを軽減出来ないから、めちゃくちゃ柔らかい』『まず拳やロングソードで攻撃してくる奴がほとんど居ないから……』『これ装備するより断然ローブの方が良い』『可哀想な子』『カッコイイダルルォ!?』『これとロングソード装備して騎士ごっこ出来るよ』『これもロングソードとかと一緒で、何故か一部のプレイヤーに人気なんだよなぁ』『使ってる奴見たことない』


 確かにカッコよくはあるが、魔法ダメージを軽減出来ないのは痛い。

 強力な魔法相手ではすぐに殺されてしまうだろう。

 ただ、ロングソードやヒーターシールドと同じ感じで妙な人気もあるらしい。

 まぁ装備するならローブ安定だな。


「勝ちたいならローブだろうな」


 余は再びローブを装備してフルプレートアーマーを捨てた。


『当然の結果』『知ってた』『あぁ……』『さようなら、君のこと嫌いじゃなかったよ』『君はカッコイイ防具であったが、君の性能がいけないのだよ』『謀ったな、ローブ!』『なんでローブが鎧を殺してんだよ』


「さて、隣のテーブルいくぞ」


 隣のテーブルに移動する。

 テーブルの上には袋とレンズが置いてあった。


「ここも装備だな。とりあえず袋を確認するぞ」


 テーブルの上の袋を拾うと、袋は腰に装備された。


「この装備は魔法袋レベル1。装備することで、一度に所持出来るアイテムの数を増やすことが出来る。レベルが上がると所持上限が増えると。まぁファンタジーによくある見た目は小さいけど、中にものがいっぱい入る不思議な袋だな」


『ほほー』『これは必須』『なきゃキツイ』『確かにファンタジーによくあるよな』『アイテムボックスかな?』『すぐアイテム溢れるからな』


 これは見つけたら必ず拾った方が良い装備だ。

 多くのアイテムを持てるというのは、それだけで有利になるということだからな。


「次の装備で装備は最後だな」


 魔法袋の隣に置いてあるレンズを拾う。

 すると、レンズが片目に装着された。


「これは……モノクルか。これもレベル1。装備して使用すると、遠くをズームして見れるようだ。レベルが上がると、より遠くが見えるようになる」


『モノクルだったのか』『かっけー』『これも必須だな』『さけるイカ:モノクルでズームして魔法で狙撃したりするんですよ!』『はえ〜』『あとは索敵に使える』


 確かにモノクルでズームして、炎の杖の中距離狙撃や雷の杖での長距離狙撃は有効だろう。

 これも見つけたら拾わない理由はないな。


「これで装備はすべて終わったな。次はアイテムだ」


『乙』『お疲れ様です』『おつです』『おっつー』『次はアイテムかー』『はやく戦闘見たいゾ』『リスナーはせっかち』


 コメントを見ながら隣のテーブルに移動すると、テーブルの上には包帯と液体の入った瓶が置いてあった。

 それをふたつとも拾う。


「この包帯のアイテム名はまんま包帯で、液体の入った瓶はポーションだな。どっちも体力回復アイテムだ」


『これまたファンタジーのお約束アイテムきたな』『ポーションかぁ』『なんで包帯?』『包帯とポーションはなにが違うの?』『水の杖も回復だったよな』


「効果が違うな。包帯は体力を少量だけ数秒で回復することが出来る。一方、ポーションの方は半分の体力量を回復することが出来るが、回復しきるまでに時間が掛かるようだ」


『へー』『包帯は少しだけで、ポーションは半分も回復出来るのか』『ポーション一択?』『そうでもないぞ』『ポーションは使用してから徐々に回復していくから少しだけ回復したい時とかすぐに回復したい時とかは包帯を使った方が良い』


「コメントに書いてある通りだな。余裕がある時はポーションで良いが、あまり隙を見せたくない場合は包帯の方が良いだろう。まぁだからこそ水の杖が重要だと言われているんだろうな」


『なるほど!』『水の杖は瞬時に回復出来るからな』『使ってしまえば即回復だし』『だから、チームプレイでは誰かが持っている必要があったんですね』『構文草』『ソロだと水の杖より他の杖優先した方が良い場合が多い』『実際、包帯とポーションはよく使うけど、ポーションよりは包帯の方が多く使うぞい』


 確かに所持制限の関係で、ソロだと水の杖と水の魔石を持ち歩くのはキツイか。

 それなら包帯とポーションを適量持ち歩く方が良いな。


「次いくか……お? 次のテーブルで最後だな」


『アイテムも最後ね』『やっとかー』『アイテムは最後だが終わりではない』『テーブルの向こうにデカイのが見えているんだよなぁ』


 残るテーブルはひとつになっていた。

 ただ、テーブルの隣にデカイ物体が見えているが、まぁ今それは置いておく。

 最後のテーブルに移動すると、テーブルの上には5冊の本が置いてある。


「本だな」


『本棚』『本?』『なんやこれ』『これも重要アイテムだゾ』


「とりあえず順番に拾っていくぞ。まずは1冊目」


 テーブルの上の左に置いてある本を拾う。

 本の名前はエンチャント本:レベルアップ。


「どうやらこの本はすべてエンチャント本らしい」


『エンチャント本?』『エンチャント? エンチャントメント!』『洋ゲーのドワーフやめろw』『なんやそれ?』


「このエンチャント本を装備に使うことによって、本に書かれた効果を装備に付与することが出来る。例えば、このエンチャント本はレベルアップと書かれているので、使えば装備のレベルを上げることが出来るのだ」


『にゃるほど』『これがレベルを上げるアイテムだったのか』『レベルアップはエンチャント本の中でも1番多く落ちてるイメージ』『確かに』『よく見るよな』


 試しに炎の杖にレベルアップのエンチャント本を使ってみると、本が消えて火の杖のレベルが2になっていた。


『上がった!』『こういう感じか』『使い捨てなのね』『アイテムは使い捨てだゾ』


「撃ってみるか」


 炎の杖レベル2で魔法を撃ってみる。

 『ボッ』という音とともに炎の球が飛んでいく――が、レベル1との違いが分からない。


「前との違いが分からんな」


『おなじく』『わかんない』『同じじゃね?』『誤差だよ誤差!』『炎の杖のレベルアップは威力が上がるだけだから』


「なるほど。では、他の装備に使ってみるか」


 レベルアップのエンチャント本を拾って、ローブと魔法袋とモノクルのレベルを上げる。

 すると、所持出来るアイテムの量が上がり、前よりも遠くをズームして見えるようになった。

 ローブは分からない。


「いいな」


『これは重要』『絶対拾った方が良い』『さけるイカ:レベルが上げられる装備があって、レベルアップを見つけたら拾った方がいいです!』


 確かに装備のレベル上げることによるデメリットがないのだから、レベルアップは見つけたら拾った方が良いな。


「うむ。次の本を見よう」


 レベルアップの隣のエンチャント本を拾う。


「これは消音か。杖と防具に使えるらしい。杖に使うと魔法を使った際の音が小さくなる。防具の場合も同じく動いた際の音が小さくなるようだ」


『ほーん』『音が消えるんじゃなくて小さくなるのな』『音が完全に消えたらヤバイ』『これ使った杖の狙撃は強力』『視界の外からの攻撃の場所が分からないからな』


 見えてなければ音で魔法が飛んできた方向が分からなくなる訳か。

 炎の杖に消音を使って魔法を撃ってみると、『シュッ』という小さな音で魔法が発射された。

 次にローブに消音を使って動いてみると、少しだけ音が小さくなっている。


「確かに音が変わってるな」


『杖はあきらかに小さくなってる』『これも出来れば欲しいなぁ』『ローブは分かりずらいけど、鎧に使うと分かりやすい』『フルプレートアーマーのお供』


 狙撃には使えるか。

 ただ、絶対に必要なものではないな。

 そう思いながら次のエンチャント本を拾う。


「次は容量増加。杖にチャージ出来る魔力量が増えるだけか」


『あまり要らない』『あれば使う』『さけるイカ:チャージする隙を減らす為や、一度のチャージで多く魔法を撃つ為の効果です!』


 容量増加を炎の杖に使ってみると、確かにチャージ出来る量が増えていた。


「こんなもんか。次は……」


 容量増加の隣の本を拾う。


「効果は反動軽減。杖の反動を軽減する」


『初心者には必要』『ワイ結構やってるけど、何時もこれ欲しいわ』『上位プレイヤーは無くても腕で制御出来る』


 なら、初心者の余には必要か。

 これも炎の杖に使ってみる。

 魔法を撃つと確かにさっきよりも照準のブレが小さかった。


「うーむ。あれば欲しいな。よし、最後のエンチャント本だ」


 最後のエンチャント本を拾うと、透明化と書いてあった。


『透明化?』『え? 透明になれんの?』『妄想が広がる』『変な妄想やめろ』


「これは防具専用だな。使ってみよう」


 ローブに透明化を使うと余のキャラクターの姿が半透明になった。


『完全に透明にはならないゾ』『なんだ』『でも、見つかり辛いし見つけ辛いから重要だ』『このエンチャント本は貴重で補給物資からしか出ないよ』


「ほぅ」


 どうやら透明化は貴重らしい。

 まぁ確かにほとんどのプレイヤーが半透明だったら面倒だしな。


「これでアイテムも終わったな。残るはアレだけだ」


 テーブルの奥には馬が繋がれた馬車が置いてあった。


『馬車か』『馬車あんのか』『さっきからチラチラ見てただろ』『デカイ』『これが長距離の移動手段だ』


 近付いて乗ってみる。


『ちなみにここにはないけど、鎧馬車もあるぞ』


 鎧馬車ってなんだよ。

 そう思いながら余はwikiを見て馬車で練習場を走り回るのだった。

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