18石 2回目の配信 始めてのゲーム準備編
18石 2回目の配信 始めてのゲーム準備編
「時間だな。ふたりとも準備はいいな?」
余はパソコンの前に座って、ふたりに聞く。
「はぁい」
「大丈夫です」
エルミナとレイラはもうひとつのパソコンの前で答えた。
「うむ」
『くる?』『はじまるぞおおおおおおお』『初リアタイだから楽しみ』『もう高評価した』『待機』『初見』
コメントも盛り上がっている。
てか、まだ始まってないのに高評価するのか。
既に高評価の数が100を超えていた。
早いな。
まぁ低評価が増えるよりいいか。
「よし、配信開始だ!」
「うん!」
「はい」
配信が開始され配信画面にファゴアット帝国の国旗が表示されて、フリーBGMが流れ始める。
『始まったぞ!』『きたあああああああああ!!』『いつもの国旗』『ウルオメア様はよ!』『間に合ったー』『きちゃー』『o(^o^)o ワクワク』『待機!』
配信開始と同時に配信前よりも大量のコメントが流れる。
何時もの国旗ってまだ2回目だぞ。
BGMの音量が小さくなりファゴアット帝国の国旗が消えて余の姿が映る。
『おー!』『ウルオメア様や!』『きちゃあああああ』『きれい!』『こんばんはー』『カッコイイ』『ウルオメア様きた』
「皆の者、ウルオメア・ファゴアットだ。前回振りだな。今日はよろしく頼む」
『ヨロシクです!』『はじめまして!』『うわぁ。アーカイブ見たけど、リアルウルオメア様感動するわ』『おととい振り!』『凛々しい』『よろしく頼む(`・ω・´)キリッ』
さらに大量のコメントが流れ始めて、視聴者数も増えていく。
既に1万人を超えていて、もうすぐ2万人にいきそうだ。
今回はツブヤイターのトレンドもいけそうだし、最初に宣伝しておこう。
「よかったら下に表示されている配信タグ。#ファゴアット帝国放送局でツブートしてくれると助かるぞ」
『まかせろー』『よっしゃやったるで!』『もうツブートしてるんだよなぁ』『さけるイカ:もう10回呟きました!』『トレンド載せるぞ!』
『うむ。ありがとう』
『ひゃあ! ウルオメア様が俺にお礼を!』『いや、俺だ』『俺だゾ!』『さけるイカ:僕に決まってる!』『バカな奴らだなぁ……俺だよ』
なんかリスナーがじゃれ合っているが、とっとと進もう。
「さて、事前に告知していたように今回はゲーム配信をするぞ」
『ウルオメア様がゲームで草』『なにをするんだろう?』『そもそもウルオメア様ってゲーム出来んの?』
「余は一応ゲーム経験はあるぞ」
『へー』
「そして今回プレイするゲームを発表するぞ」
『なになに?』『((((o゚▽゚)o))) ドキドキ』『予想済みだ』
「今回プレイするゲームは……これだ!」
エルミナがタイミングよくパソコンを操作して配信画面が切り替わりゲームのタイトル画面が表示される。
余の姿は右下に移動した。
『MFBGキタあああああああ!!』『こマ!?』『知ってた』『ウルオメア様出来んの!?』『今の人気ゲームっていったらこれだよな』
「そう。余がプレイするのは【MagicFantasyBattleGrounds】。通称【MFBG】だ」
『ウルオメア様初見って言ってなかった?』『これ初見って悲惨なことになりそう』『さけるイカ:僕はサポートします!』
「コメントでも書かれているように余はこのゲームは初見だ。なので、最初はグダグダすると思うがすぐに上手くなってみせるから見ていてくれ」
『初手イキリ』『いや、ウルオメア様なら上手くなれかもしれんぞ』『さけるイカ:ウルオメア様なら出来ます!』『最終的に高笑いしながら蹂躙しそう』『流石に今回だけで上手くなれないだろ』
「まずはwikiを見ながらMFBGの説明を順番にしていくぞ。MFBGを知らないリスナーも居るだろうからな」
『知らない奴いんの?w』『ワイは知らんぞ』『俺も知らない』『俺も』『動画勢です……』『意外と知らない奴居るんだな』
確かに意外と多いな。
まぁ色々なリスナーが多く集まっているし、なんとなく実況動画だけ見るって奴も居るだろうからな。
そこで配信画面外にMFBGのwikiが表示される。
余はそれを見ながら頭の中に入れていく。
「MFBGは約半年前にアメリカの企業からPC用ゲームとして配信されたファンタジー系バトルロイヤルゲームだ」
『始まったのもう半年前なのか』『バトロワ系ね』『アメリカ産だったんだ』『fmfm』
「配信前から少し話題だったMFBGは配信されてすぐに人気に火が付いて現在までに多くのプレイヤーがプレイしている。既にeスポーツとして認められていてプロゲーマーも生まれているらしいぞ」
『ほー』『ガチで今MFBG人気だからな』『eスポーツかぁ』『今度デカイ大会もあるぞ』『プロとは無縁だなぁ』
MFBGはeスポーツ認定されているのか。
まぁ確かにプロゲーマーとは無縁だな。
「ゲーム内容は最大100人のプレイヤーがひとつのマップの中で戦い合って最後のひとりになったものが勝者だ」
『100人もいんのかよ』『トン勝したことないわ』『難しそう』『勝者ひとりだけか』『トン勝1回だけしたことある』『ワイの知ってる実況者はトン勝しまくってるぞ』
「トン勝つ?」
『さけるイカ:MFBGで勝ち残るのをトン勝っていいんですよ!』
「ほぉ」
wikiを見ると確かにトン勝と書いてある。
ゲームに勝利すると画面に『勝ったった! 勝利飯はトン勝だ!!』と表示されたことから勝利することをトン勝と言うようになったらしい。
「なんでトン勝なんだ?」
『開発側が翻訳する時に日本で食べた豚カツを思い出して、それと勝つを掛けたらしいゾ』
「なるほど」
面白いことを考えるな。
普通は勝負に勝つ為に食べるはずなんだが。
「ゲームが始まるとマップの好きな場所を選んで転移魔法陣で転移する。転移先の建物の中に落ちている装備やアイテムを上手く使って戦うのか」
『これが重要』『初動大事だぞ』
「だろうな。マップは中心に中世風の街があってその周りに森が広がっている。そして各地に村がいくつか点在しているようだ」
『はえ〜』『街はいつも人気』『好きな場所に転移出来るんだ?』『この前、街に転移したら即殺されたぞ』『ワイは端っこの村がお気に入りや』
どうやら中心の街は人気で激戦区らしい。
まぁ街ということは装備やアイテムが多くあるということだからな。
「ゲーム開始から一定時間が経過すると、プレイエリアというのが設定される。そしてそれは時間経過で狭くなっていくようだ」
『プレイエリア?』『安全地帯な』
「プレイエリアの外は緑色の魔素というのが広がっていて、そこに居るとゆっくりダメージを受けていって死ぬらしいぞ」
『怖っ。毒かよ』『実質毒ガス』『何時も安全地帯と魔素のギリギリに居るわ』『最終的に魔素に追われるようになるゾ』『ずっと芋れない』
これはゲームの制限時間だろう。
これが無ければずっと建物に立て籠もっていれば良いからな。
「ゲーム中にたまに補給物資がマップのどこかに召喚される。場所は召喚時に光の柱が見えるので、それを目安にするようだ。補給物資には強力な装備やアイテムが入っているらしい」
『アレね』『強力な装備か』『取れたことないわ』『取りに行って殺されるのが定番』『さけるイカ:補給物資を囮にするプレイヤーも居るそうですよ!』『こえええええ』
なるほど。
確かに補給物資の場所が見えているなら、それを囮に集まってきたプレイヤーを殺すのも手か。
「ソロの場合はHPが0になるとすぐに死んでしまうが、デュオやスクワッドの場合はすぐには死なずに気絶状態になる。そのまま一定時間が経つと死んでしまうが、生きている味方が居れば助けることも可能のようだ」
『ソロじゃなきゃ即死じゃないんだ?』『死ぬまで確認するの大事』『チームの方が楽しそう』『おっおい待てい。周りに敵の仲間が居ないか確認するのが先だゾ』『何時も野良の介護してるわ』『ちーっす。お世話になってまーすww』『さけるイカ:ウルオメア様と組みたいです!』『ワイも!』『俺も組みたい!』『ウルオメア様、今日スクワッドやる予定ありますか?』
「スクワッドは時間があれば、配信の最後の方にやる予定だ」
『おぉぉぉぉぉぉぉ!!』『組みてぇぇぇぇぇ!』『MFBG起動しなきゃ!』『もう起動した』『買ってないから買おうかな』『面白いから買った方が良い』
まぁ先にレイラとデュオをして、トン勝出来たらだが。
そこは心配していない。
レイラとなら勝てるはずだ。
そう信じている。
「さて、次は実際にMFBGをプレイしながら装備やアイテムの説明と確認をするぞ。といっても最初は練習場だが」
『おk』『わかりましたー』『はーい』『楽しみだなー』
余はテーブルの上に置いてあるゲームパッドを手に取る。
『ウルオメア様パッド勢か』『なぬ!? ウルオメア様がPADを着用だと!?』『ちげーよ。ゲームパッドのことだから』『キメェ』『さけるイカ:引く……』『ウルオメア様がPADなわけないダルルォ!?』『オメー目と耳が腐ってんのか』『すいません調子に乗りました! 許してください! 何でもしますから!』『ん?』
「余は別にそんなことで怒りはしない」
『ありがとうございます!』
ただ、エルミナとレイラが黒い微笑みを浮かべているがな。
『しかし、ゲームパッドで勝てるのかね?』『基本キーボード&マウスだな』『難しくないか? マウスの方がエイムつよつよ』『そう決めつけるな。MFBGのプロゲーマーにもパッド勢が居るからな?』『マジ?』
どうやらプロゲーマーにもゲームパッドを使っている奴が居るらしい。
「まずはパパッとキャラクター作成をしてしまうぞ。最初に言っておくが表示されているIDにフレンド申請送っても理由がなければ承認しないからな」
『ごめんなさい』『了解!』『やべ……』『あっ……(察し)ふーん』『はーい』『当たり前だよなぁ?』『基本マナーだろ』『すいやせんした』『バカ多すぎィ!』
「なんか微妙だが、とりあえずこれでいいか」
画面に紫色のポニーテールの女キャラクターが表示される。
『このゲーム、キャラメイクは微妙だから……』『ウルオメア様とは似ても似つかない』『今後のアプデに期待だな』
こっちを見ている余のキャラクターが気のせいか悲しそうな顔をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます