// 6 ユニ

「――――ッ!!」


 声にならない叫びを上げながら、僕は飛び跳ねるようにして上体を起こした。

 乾いた喉と肺が夢中で空気を貪る。全身は汗でびっしょりと濡れ、呼吸は途切れ途切れで安定しない。乱れた心拍がやけに耳の近くで鳴っていて、その響きが頭のなかに反響してひどく痛んだ。

 額に手を当てながら周囲に目を向けると、なんてことはない、自室の床の上だった。部屋は薄暗く、デスクの上で点けっぱなしのスタンドライトと、カーテンの隙間から漏れ出している陽光がわずかに部屋の中を照らしていた。


 どうやら、僕は昨晩Artsアーツを描きながら途中で眠ってしまったらしい。らしい、というのは、その記憶を全く思い出せないからだ。寝起きで頭がぼうっとしているせいかと思ったが、しばらく呼吸を整えて頭が落ち着いてきても昨晩のことを思い出すことができない。

 僕はどこまで描いた?どれだけ進められた?描くべきモチーフがなかなか決まらずに、とりあえず適当に線を描き始めたところまでは覚えている。

 しかし、その後のことが何も思い出せない。記憶のフィルムをそこだけカットしたみたいだ。こんなことは去年、夏休み中に大会用Artsアーツのために三日ばかり徹夜して、疲労と睡眠不足で倒れ入院した時以来だ。

 確かに昨晩も相当いろいろなことがあって精神的に疲れていたのは間違いないが、それでこうもきれいに記憶が飛ぶとなると少しばかり背中が寒くなる。


 僕は重い体をゆっくりと持ち上げ、机の脇に転がっているデスクチェアを起こして腰掛けた。チェアが倒れていて、さらに床で目覚めたということは、僕はArtsアーツを描いている途中で寝入ってしまったらしい。何かの拍子にチェアごと倒れ、そのまま床で寝たのだろう。

 昨日はあれだけデザイナーを辞めるだなんだと言っておきながら、いざ描き始めると文字通り夢中になって止まらないなんて、我ながら呆れるしかない。

 寝落ちするまで描いたのだから、よほど良いモチーフが見つかったのだろうと数時間前の自分に少し期待しながら、僕はNinephニンフのデスクトップを立ち上げてドローイングソフトの画面を呼び出した。


 そこで、僕は自分の目を疑った。


「なん……ッ……えっ!?」


 視界に広がったウィンドウの中央には、無愛想なフォントで一つの文が表示されていた。


『――――このファイルはこのアプリケーションで開くことはできません――――』


 一瞬、本当に意味がわからなかった。

 昨晩の描きかけのイラストデータを呼び出しただけで、特別なことは何もしていない。ファイル形式はソフトに合わせた形式で自動保存しているはずだから、開くことができないなんてことないはずだ。

 僕はすぐさまフォルダを確認し、最新のイラストデータの保存形式を調べてみた。が、データはしっかりとNinephニンフのドローイングソフトに対応した形式で保存されているし、プロパティにも昨晩4時半ごろの日付が最新の保存時刻として記されていたので、ファイル間違いというわけでもないようだった。

 今までNinephニンフを使ってきて、こんなことは初めてだった。何かのバグ?それとも、昨晩僕が何かやらかしたのか?


 僕はそのまましばらくNinephニンフを操作してファイルを開く方法を模索していたが、再起動してもクリーンナップソフトを通しても状況は好転しなかった。

 いよいよNinephニンフの修理カウンターに相談しに行くべきかと思い始めていた時、ふと、もう一つ試すべき方法があることに気付いて、僕はデスクトップの左端から一つのアプリケーションを選び起動した。


 《メディア・コンバーター》。

 文字通り作品の媒体をArtsアーツの3Dデータ形式に変換するNinephニンフの機能の一つだ。Artsアーツは基本的に3Dモデルの形式をとっているが、アトリエに住むデザイナーが皆3Dモデリングの技術を習得しているわけではない。むしろ、僕のように2Dイラスト畑出身のデザイナーが大半だ。

 《メディア・コンバーター》は、そんなモデリング技術を持たないデザイナーのため、2D媒体で描いた絵をNinephニンフに読み込ませて自動で3Dモデルへと変換・補完してくれるという便利なアプリだ。これによって、アーキタイプチップに記憶されたArtsアーツの固有データは2Dイラストから3Dモデルへと紐づけされ、Artsアーツとしての肉体を得るわけだ。

 ただしこの機能も万能ではなく、変換時に色ムラやディテールの乱れなどが発生する可能性があるため、変換後の微調整は不可欠となる。


 僕は謎の読み込みエラーファイルのアイコンをスタイラスペンの先でホールドし、メディア・コンバーターのウィンドウ内にドラッグ&ドロップした。緊張しながら右下の変換ボタンをタップすると、変換開始の文字とともに変換率を表す黄色いバーがウィンドウの中央に現れ、僕はほっとして息を大きく吐き出した。

 コンバートが開始されたということは、ファイルは正常に読み込まれたということだ。何かエラーがあればコンバート自体開始しないはず。

 しかし、こうなるとより不可解だ。ドローイングソフトはメディア・コンバーターと完全な互換性があるはずなので、コンバーター側で読み込めたということはドローイングソフトの方でもイラストとして開くことができるはずなのだ。

 どうにかこれで、Artsモデルとしてのこのファイルは確認できるものの、やはりNinephニンフの修理カウンターには一度点検してもらわなければいけないかもしれない。

 Ninephニンフのメンテ費用はいくらだったっけと、修理カウンターの料金表を記憶の中から引っ張り出そうとしていると、左手首のNinephニンフ本体からピポン!という軽快なジングルが発せられる。コンバートが完了した音だ。


 僕はコンバーターのウィンドウから変換完了したArtsデータのアイコンをホールドし、そのままNinephニンフ本体上部のスライダー部分に持っていった。スライダーの上でペン先を滑らせると、アイコンはスライダーの先の窪みに吸い込まれるように消失し、それとほぼ同時に、目の前の机の上に極小の光の粒が空間から滲み出すように出現する。それらはもちろん、ヘッドセットのディスプレイ越しに視界に投影された複合現実MRだ。

 光粒子はすぐに寄り集まって一つの形を成すと、ひときわ眩い光を放って破裂するように霧散する。銀河のように煌びやかな光粒子が散るその中央で、純白の輝きを放つ何かが、ゆっくりとその姿を鮮明にさせていく。


 そして。

 その全体像をはっきりと認識した瞬間、僕はまたもや驚愕の声を漏らすこととなった。


「し、《四足獣型》……ッ!?」


 机の上に現れたのは、体長50cmほどの真っ白な四足獣型Artsアーツだった。

 丸っこく、触り心地の良さそうな肉球付きの四肢。細くて長いワイヤーのような尻尾は、パソコンのLANケーブルを想起させる。胴体はいかにも防御力が低そうな半透明の装甲で覆われ、首周りには控えめな被毛型のライトエフェクトが淡い白の光を放っている。丸っこい頭部に丸っこい耳、可愛らしい鼻と大きな金色の瞳が特徴的な、猫とも犬とも熊の子とも取れる愛らしい相貌。

 全体的にサイバーチックなデザインで固められており、随所に毛やデフォルメされた瞳などで有機的な記号を織り交ぜた、いわゆるデジタライズ系デザインの四足獣型Artsアーツがそこにいた。僕が最も得意とする、サイバー系デザインの派生種だ。


 僕は呆気にとられつつも、目の前に鎮座する美しい純白の獣型Artsアーツをまじまじと眺めた。

 線のクセは間違いなく僕のものだ。サイバーチックなデザインも僕の好みの表れだし、何より4年前の式典で見たあの少女型Artsアーツを意識した無機的な塗りは、彼女に影響を受けまくった僕の塗り方そのものだった。


 いや、しかし、どういうことだ?

 見れば見るほど自分の作品だと思わされるが、しかしだからこそ解せない部分がある。

 僕はこれまでずっと、人型を基本にArtsアーツをデザインしてきた。その方がストラグルで有利な場面が多いし、Artsアーツに指示を出すにも、あるいは動きを学習させる際にも人型の手足の方が理解があるため、都合が良かったのだ。

 にもかかわらず、今目の前にちょこんと座っているArtsアーツはどう見ても四つ足の獣型――――というか、デフォルメが強すぎてもはや幼獣型・・・と呼ぶべきもので、ストラグル向きのデザインとは程遠い。いくらモチーフに迷っていたとはいえ、数時間前の自分はなぜこんなぬいぐるみのような幼獣型のモチーフを選んだのだろうか?


 しかも驚いたことに、このArtsアーツは描きかけではなく『完成』している。

 線を見ればわかる。ラフな部分があればコンバートの際に歪むか、いい加減な線でそのままモデリングされてしまうはずだ。さっきから見ている限り、そういった歪みや崩れの部分はどこにもなく 、むしろ細かいディテールの部分までしっかりと描きこまれている。それも、僕がディテールを描きこむイメージと重なる形で。


 たった3~4時間の間にこれだけのクオリティで描きこむには相当の集中力が必要だったはずだ。

 Artsアーツに限らず、普通しっかりとした2Dイラストを仕上げるには、個人の経験値や技術にもよるが大体一枚につき3~4日ほどかかる。プロのイラストレーターの中には、一週間以上こだわり抜いて 描く人だっているくらいだ。

 僕もたいがい筆の早い方だが、このクオリティのArtsアーツをたった一晩で描き上げたとなれば自己ベストを大きく更新しているだろう。それならなおのこと記憶に残っていないのが奇妙で不気味なのだが、逆に脳を限界まで酷使したから昨晩描いていた時の記憶が飛んでいるのだと、無理やりに解釈できないこともない、か?


 次々浮かんではぐるぐると脳内を飛び回る疑問符を懸命に追いかけていると、ふと、視界の中央で動くものがあった。反射的に思考が途切れ、目の前の動体に意識が向く。動いたのはもちろん、今しがたコンバートを終えたばかりの幼獣型Artsアーツだった。

 そしてまたもや巨大な衝撃が全身を駆け抜け、僕は思わず声を震わせた。


「お、お前……自分で、歩けるの、か……!?」


 幼獣型Artsアーツは、出力された机の上をとてとてと軽快な足運びで歩いていた。

 それだけではない。机の上を一周するとその場にちょこんと座り、まるで本物の猫や犬のように後ろ足で耳の裏を掻きながら大きく長いあくびをして見せた。可愛らしいピンクの舌と小さな牙が口元からちらりとのぞく。


 たったそれだけの動作だったが、それは僕にとってはまさしく驚天動地だった。

 幼獣Artsアーツが動いている間、僕はこいつに対して一切の命令を下してはいない。声でも、脳内でもだ。つまりこの幼獣Artsアーツは、自律的に歩行し、さらに耳の裏を掻いたりあくびをするといった仕草を命令ではなく自分で行ったということになる。

 それは驚くべきことだ。学習させてもいない四足獣の歩行をすでに習得していることもそうだが、本来Artsアーツには必要のない"あくび"や"身体を掻く"といった動作まで再現していて、それを命令ではなく自律的に行ったということは――――。


 急激に加速する心臓の鼓動を無視し、僕はスタイラスペンの先を幼獣Artsアーツの頭上へと持っていった 。


「ほら、ジャンプ!ジャンプするんだ!」


 僕は祈るような気持ちで目の前のデジタル四足獣に呼びかける。幼獣Artsアーツは僕の声に気付いた様子で耳をぴこぴこ動かし、頭上にあるスタイラスのペン先をじっと見つめる。

 それを生唾を飲み込みながら見守っていると、幼獣はふいに真上に向かって勢いよく跳び上がった。前足の小さな肉球が、スタイラスペンの先にぷにっと触れる。


 それを見た瞬間、胸の内でザワついていた予感は確信へと変わり、同時に、僕は我を忘れて歓喜した。


 このArtsアーツには――――とても高度な知性が宿ってる!


「よしっ!よしっ!やったぁ……ッ!!」


 気づいた時には、僕の両拳は固く握られ、胸の前でガッツポーズを繰り返していた。広角は自然と釣り上がり、一方で目尻には大粒の涙がこみ上げてくる。

 やった。ついにやったのだ。僕はようやく、高いレベルの人工知能を備えたArtsアーツを描くことができた。

 これまで幾度となく挑戦し、そのたびに簡単な命令を機械的にこなすだけのArtsアーツしか描けなかった僕が、ついに自分で考えてジャンプができるまでのArtsアーツを描くことができたのだ。

 跳躍という高度な動作を実行できたことも驚きだが、スタイラスのペン先に照準を合わせて前足でタッチするといった意図さえも、自分で認識し実行できたというのがハイレベルな知性が宿っている何よりの証拠だろう。


 昨晩の記憶がないことも、幼獣がモチーフである理由もすっかりどうでも良くなっていた。

 喉の奥から押し寄せてくる嗚咽を必死に飲み込みながら、僕は机の上で不思議そうな瞳を向けてくる幼獣Artsアーツへと震える声で語りかけた。


「ありがとう……本当に……僕の所に、生まれてきてくれて」


 泣き笑いでぐしゃぐしゃの顔で話しかけてくる僕を、幼獣Artsアーツはポカンとした表情で見上げていた。ビジュアライザーを想起させる煌びやかな光を湛えた瞳が、僕を観察するように真っ直ぐに視線を返してくる。


「そ、そうだ名前……名前をつけないとな。ええと……」


 僕は幼獣型Artsアーツの名前のアイデアを探すべく、視線を瞳から身体の各部へと動かした。

 全体的なカラーは、純白と銀をベースに各部にワンポイントで金や暗めのグレーを散らして、アクセントをつけた配色。モチーフとなった動物は若干猫寄りな感じだが、別の生き物の面影もあるような気がする。特徴的な部位はケーブルのような長細い尻尾と、首回りを覆う被毛のようなライトエフェクトだろうか。

 Artsアーツにおける名前というのは、作品を表現する記号という役割のほかに『デザイナーとのシンクロ値を固める』という大きな意味がある。デザイナーの中には創作物にいいかげんなタイトルを付けて無下に扱う人間もいるが、デザイナーが自分のArtsアーツに愛情を持って名を授けてやればArtsアーツとのシンクロ値が下がりにくくなるという説がアトリエ内では定説となっている。

 実際、とってつけたようなテキトーな名前や、奇をてらってつけたであろう奇妙な名前のArtsアーツは公式ランキングの上位陣には一つもなく、デザイナーとArtsアーツの個性が反映された名前ほどArtsアーツとの絆は強くなるとデザイナーの間では信じられている。


 だからこそ、初めてまともに描くことができたこの幼獣型Artsアーツにも相応のイカした名前を付けてやりたい。

 Artsアーツの色を名前に入れるデザイナーは多い。なら『シロ』か?それとも『シルバーなんたら』?

 モチーフも名前としてはわかりやすい。『なんたらキャット』、いや犬っぽくも見えるし『ドッグ』?

 デザインの系統から連想するのもアリだ。『サイバー』、『デジタル』、『エレクトロ』……


 候補はいろいろと出てくるが、どうにもピンとくるものがない。そもそも"こいつ"のぬいぐるみのようにキュートな見た目では仰々しいワードはかえって不釣り合いに思える。納得していない気持ちが自分の中に少しでもあれば、それはシンクロ値の減少となって明確に現れるものだ。だからこそ、これまでで唯一高い知性を獲得した初のArtsアーツとして、ベストと思える名前を付けてやりたいのだが――――。


 唯、一……の――――。


 一筋の流星のような閃きが脳内を駆け抜け、僕はすぐさまNinephニンフの辞書アプリを立ち上げた。検索ワードの欄に『唯一』と入力し、多言語設定で検索をかける。

 そして、いくつか出てきた検索結果の中から、僕は絶対にこれしかないと思えるワードを見つけた。何度か小さく声に出してみても、『その名』はこの幼獣Artsアーツにぴったりだと思えた。語感も、込められた意味においても。


 僕は再び机上の幼獣Artsアーツへと向き直ると、スタイラペンを幼獣の額の辺りへと持っていき優しくタップした。すると小さなネームタグの窓が立ち上がるので、僕はそこにたった今浮かんだばかりの名前をペンで書き込んだ。

 その様子を不思議そうに見上げていた幼獣Artsアーツの鼻先をペン先でつつくと、電子の仔獣は小さく可愛らしいくしゃみをして僕の方を向く。


 神秘的でさえある無数の光を湛えた瞳と視線を合わせ、僕は力を込めて生まれたばかりのArtsじぶんの名を呼んだ。


「――――ユニ!お前の名前は、ユニだ!・・・・・・・・・・・・・・


 唯一の、第一の、という意味の名を付けられた純白の幼獣型Artsアーツ・ユニは、嬉しそうな僕の様子を物珍しそうに見上げながらケーブルのような尻尾をくねくねと左右に動かした。


「僕はススム。お前のデザイナーだ。よろしく、ユニ!」


 じっと黙って僕を見つめるユニに、言語認識しやすいようできるだけハッキリと自分の名を名乗る。ユニがどこまで僕の言葉を認識し理解できているかはチューリングテストをしてみるまで分から ないが、今の僕にとってそんなことはどうでもよかった。

 今はただ、僕の動きに、僕の言葉に反応してくれるユニというArtsアーツの存在が、ただ嬉しかった。


 すると、僕の思いが通じたのか、ユニは突然起き上がると机の上から飛び降り、部屋のあちこちを 走り回り始めた。

 その速度はかなりのもので、部屋が薄暗いせいでもあるだろうがほとんど目で追えない。見た目通り小柄なおかげで軽いのか、それとも四足獣型ゆえなのか、その足運びはとても軽快で素早く、おそらくストラグルにおけるステータスはスピード寄りだろうと思わせる。


「ははっ、すごい!これがユニの力なん――――わっ!!――――だッ!!?」


 思わず感嘆の声を漏らした僕の眼前に、方向転換したユニの頭が飛び込んできた。反射的に避けようと身を引いたが、自分がまだデスクチェアに座ったままだというのに気づいた時には遅く、僕はチェアごとバランスを崩して倒れ、後頭部を盛大に床へと打ちつけた。

 昨日に続きまたしても大ダメージを負った後頭部を押さえ、悶絶する僕の胸の上にユニがちょこんと乗ってくる。なにやら勝ち誇ったような表情で僕を見下ろす電子の幼獣は、エフェクトのかかった合成音声で一言「ミュオ」と鳴くと、柔らかそうなピンクの肉球がついた前足を僕の鼻先に乗せた。


 じんじんとした痛みと混乱が渦巻く頭の中で、僕は悟ってしまった。


 ああ、なるほど。

 こいつは……一筋縄じゃいかないぞ、と。


 ユニに仮想の肉球をぷにぷにと押し付けられるがまま、僕は薄暗い自室の天井を呆けたようにぼうっと眺め、これから辿るであろう多難の中身を想像した。

 数分後、時計を確認した僕がとっくに登校時刻を過ぎていることに気付き悲鳴を上げるまで、僕の新たな相棒・ユニは、胸の上で肉球をプニるのをやめてはくれなかった。

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