第弐音目 「拾う楽聖、拾われた歌曲王」
研究所から逃げてから二日が経った。
兎に角、腹が減った。
そして気持ち悪い。
その辺の草を食べすぎて、
死にそうなくらいの痛みに耐えて、
下痢を下しても、
吐いても、
とれなかった。
「死ぬ。」
と呟くのも、しょうが無い。
それが2回経った頃、雨の降る空の下の、
人が居ない路地裏で限界が来たのか、
膝から崩れ落ちるようにして倒れた。
「死ぬんだな。」
と思った。不思議と瞼を閉じてしまいそうになる。
傘が遠くに見えたような気がしたが、痛さと異常な程の眠さに目が霞んではっきりとは見えなかったが、
「こんな所にやせ細った
と聞こえ、研究所の奴がここまで捜索してきたのだと思い、死ぬ直前なのにこんな奴の声を聞くなんてと口を少し動かしたところで。
ぷっつりと、記憶は切れた。
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「マッタク、研究対象者に優しくないやり方は嫌いだから全部賛成って訳では無いのだけども、私と同じ境遇であれば、先生のように助けなきゃ行けないねェ。よっこいせ。」
そうすると、白髪の女性は傘を閉じ、
研究所から脱出した軽い少女を背負って
路地裏を抜けて行った。
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…さて、
この世界が少々狂っている事が
分かるだろう?
だから、私は諦めて狂う事にしたのさ。
えっ、私を可笑しいと笑われるのですか?
ははっ、そこな淑女、
貴方も行ってみれば分かりますよ。
苦しくなるだけなのですから、
もう、なるしか無いのですよ。
ほら、見てみれば分かりますよ。
笑えるくらいの狂いようですから。
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目が覚めるとそこは白い天井があった。
「ここは何処だ?」
身体をガクッと急に起こして言った。
(死んでは……いない。良かった。
いや、良かったのか?
もしかしたら捕まったのかもしれない。)
「目が覚めたか、脱柵者。」
見たことがあった。
私が倒れる前に現れた、
白髪で黒い外套をまとった女、
多分研究所の関係者かも知れない。
警戒しておこう。
「一応言っておくが、
私は"研究所の者"では無い。」
すると内ポケットから何かを取り出し、
「これは、"警察特殊部隊所属証明"という
警察にある特殊部隊、MusicParadeだけが持てる物だ。持っている人間は、研究所出身が多い。現に私も君と同じ研究所から逃げた者だからな。」
腕を捲り、酷い火傷の跡を見せ、
「これは、仲間を逃がす為に檻を破壊して、やっと全員逃げれると思った矢先に、
私以外の奴が灼熱の能力で焼き殺された。
私だけが、火傷で命だけは助かって逃げれた。其れが、私なんだよ。」
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