三十一曲目:山田オルタナティブ『詩人と祝聖』

 最近ジャンクロックを漁っていたのですが、その流れでThis Heatの記事を読んだ際、その途中に目を引く記事のリンクが貼ってありました。

 私は一度This Heatの記事を読み切った後その記事に跳んでみたのですが……久々に「これはヤバイな」と思う音楽と出会いました。

 山田オルタナティブ、というバンドらしいです。軽く検索をかけてみたのですが、主に検索に引っかかるのは軒並みコンピュータウイルスの方で、バンドに関する情報はそれこそその記事ぐらいのものでした。

 そして、そこで公開されていた音源を聞いたのです。結果、頭が壊れそうな感覚に陥りました。少し心臓が痛くなったり吐き気がしたりもしましたね。

 一応ジャンルとしてはノイズミュージックやアンビエントミュージックという括りになるのでしょうか。ですが、正直そんな生温い言葉ではこの楽曲の闇の深さはこれっぽちも表現できておりません。

 真面目な話、怖いもの見たさでその記事を検索し、そこで公開されている音源を聴くのはやめてください。少なくとも初期Butthole SurfersやSilencerがつまらないと感じるレベルの方でないととても耐えられたものではないと思います。

 延々と続くノイズと環境音、機械音、その他諸々……サウンド自体は簡素なものですが、どこまでも聞いた人の心を闇に引き摺り込もうとする底の無い暗さと狂気性に溢れていて、とてもまともな精神状態とは思えない。

 正直『名曲選』とタイトルにあるこちらの評論で紹介するのはどうかとも思いましたが、かといってこのバンドを紹介するためだけに別枠を作るのも憚られたので、こちらで紹介させていただきました。

 ……さて、今回タイトルに挙げさせていただいた『詩人と祝聖』という楽曲は、山田オルタナティブなるバンドが唯一公式にアップロードしている(と思われる)音源で、どこかのライブハウスでの演奏の記録となります。

 これは例の記事で紹介されていた音源の中で最もマイルドなものです。めちゃくちゃ聞きやすいです。

 内容としては『本の朗読をノイズミュージックにのせる』の一言で片付きます。ですが、そのノイズというのがギターだったり電子音だったりあるいはテレビやラジオの音源だったりと、非常に雑多でかつ混沌としており、ぶっちゃけこの時点で無理な人は多いと思います。

 MCによると、朗読しているのは市倉宏祐さんの『ハイデガーとサルトルと詩人たち』という書籍の一節らしいです。ただこの音源、かなり音が潰れていてとても聞き取りづらいので、気になった方は買ってみてください。

 さて、音源を聞いた記憶を辿っているうちに再び気分が悪くなってきたので、ここで一度筆を置かせていただきます。

 誰も知らぬであろうバンドの狂気に満ちた音楽。熟成された闇に身を投じる覚悟がある方は、一度聞いてみても良いかもしれません。

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