二十四曲目:Grey Daze『Sometimes』

 少し気持ちの整理をさせてください。

 今回取り上げるこの曲ですが、聞いていると涙が出てきて、胸が締め付けられるように痛くなるんです。

 何というか、自分にとって何よりも大事なものが壊された時の様な、そんな苦しさがあるんです。

 私は、実を言うとLinkin Parkをそれほど聞きこんでいたわけではありません。大好きなバンドではありますし、オリジナルアルバム六枚、リミックスアルバム一枚(以前書いた記事にもある『Reanimation』です)、Jay-ZとのコラボEP、未発表音源集(『Songs From The Underground』)と、結構そろえてはいますが、『Hybrid Theory』と『Meteora』そして『Minutes To Midnight』以外は三回も聞いていません。そして、例外の三枚も他のバンドの好きなアルバムに比べたら聞いた回数は結構少ない筈です。

 ですから、何十回何百回と聞いたRed Hot Chili PeppersやGreen Day、The Beatles、Blur、Radioheadなどに比べれば思い入れは当然少ないのです。この時期にこういう言い方は不謹慎極まりないですが、恐らくDamon AlbarnやThom Yorke、Billie Joe Armstrong、John Frusciante、Paul McCartneyやRingo Starrが亡くなった場合の方が、チェスターの時の何倍も悲しくなります。これははっきりと言えます。

 そんな、私の中で決して大きな存在感を持っているわけではないはずの彼が、こうして今も私の心に食らいついてくると言うのは、特別な事なんだと思います。

 何せ、Rushのドラマーが亡くなった時やThe Monkeesのメンバー(勿論どちらのバンドも大好きで、アルバムも何枚も持っています)が亡くなった時は、残念だったね、で終わってしまった私です。自分でも薄情な奴だという自覚はありますが、その程度でしかなかったのです。

 なのに、彼らと同じ程度の存在感だったはずのLinkin Park、そのヴォーカリストたる彼の死は、妙に重くのしかかってきました。……もしかしたら、自覚していなかっただけで彼の存在はかなり大きかったのかもしれません。

 今こうやって再び彼の力強い声を聞いて、胸が締め付けられ、そして『彼は本当にすごい人だったのだな』というのを再認識すると同時に、悲しくて、苦しくてたまらなくなっています。

 今こうして、彼の声を再び聞ける日が来た事に、感謝しかありません。本当に、ありがとう。

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