第28話 meet

「君はどこでMと会うことが出来たのかな?」天城さんからの質問に答えあぐねていると


ピンポーン


呼び鈴が鳴った。出ない訳にもいかないので、玄関の様子が映る画面を見ると、あの警察官が映っている。まだ通報もしていないのに...


「はい」とりあえずこんな状況だ通報する手間も省けたし、まあとりあえずと対応をする。


「こんにちは、近所の人から通報が入ったんで見に来たんだよ。なんか怪しい男が入っていくのが見えた後、すごい物音がし始めて、見てくれないかってね。」


「実はこの有り様で、特に盗られてそうなものとかはなさそうなんですが、こんなに散らかってては正確に分からないので、これから掃除をしようかと思っているんです。」


「そうですか、奏くんがヒステリック起こした訳じゃなさそうだね、それは大変でしたねぇ、おや?そちらの方は?」


「天城と申します。奏くんの彼氏です。」


「ちょっと何言ってるんですか!!違いますからね!」


「あんまりムキになると余計疑われますよ?」


「変な誤解を受けたくないだけです!」


「あはは、まあまあ。もしお手伝いできることがあれば、遠慮なく言ってくれ。これでも一応警察やってますんで。ところでもう奏くんの方から警察に通報はしたのかい?一応被害届出す会かい?一応この辺りの写真だけでも撮っておくとしようかな?」


「あっ、いや何も盗られてなさそうですし、特に今回は何もしません。」


「でも、良いのかい?後から何かあったとして言ってこられても対応が難しくなってしまうけど。」


「はい、構いません。」


「じゃあまた何かあれば僕に連絡くれるかな?気を遣わないで良いから、君の力になるよ。それじゃこれで失礼するから、そこの彼氏にもよろしくね。」


「だから違うって言ってるじゃないですか!」


笑いながら、散らかっている荷物の隙間を上手く通り抜け、笑いながら帰っていった。


何か引っかかることがあったが、その何か分からずにすぐに忘れてしまった。




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