第27話 Confirmation
「亡くなっているって確証はあるんですよね...」どうしても亡くなっているということに納得がいかない、信じられない、信じたくない自分がいる。
「残念だけど」天城蓮は、今までの中で1番優しい声で真実を告げる。
「分かりました、僕の家まで来てください」見せたいものがあります。
覚悟を決めた奏は早速家に天城蓮を連れていくことにした。
「あっそうそう僕のことは蓮って呼んでくれてもいいよ、実際歳もそう変わらないし、僕は君のことが好きになってしまった。」
さらりと気持ち悪いことを言ってのける。
「いや気持ちは嬉しいですけど、そっちの気は無いんで、天城さん」
「つれないねぇ、まあこれからもよろしくお願いしますね奏」
平気で呼び捨てにしてくるあたり、どういう心臓をしてるんだろう。
ますますこの人のことが嫌いになりそうだ。
家に到着し、ドアに鍵を差し込もうとした瞬間だった。
「ちょっと待って!先客が来ていたみたいよー?」天城さんは鍵がかかっていたはずのドアをカチャリ簡単に開けて、ズカズカと部屋に入って行こうとする。
部屋が荒らされている...エビチリがナーナーと鳴いている。特に怪我とかは無いようだ、しかし何も取られていないような、ただただ部屋をひっくり返しただけの状態に見える。
「ほらね、どう?少しは身の危険を感じてる?」
さすがに目の前の現実と向き合い、血の気が引いていく。
俺が何をしたというのだろうか、絵を描いたら現れた謎の男 M
Mの歌っていた曲を編曲しネット上で発表。その後その曲をCDとしてリリース
しばらくして2人目となる謎の女性
You 同じく曲を作りCD制作中
曲の方か、それとも人物に対してか、はたまたその両方か
「金目の物も盗られてなさそうですし、目的の物も見つからなかったのでしょうね。しかしこんなに派手に散らかしているわりには犯人の痕跡らしき物も見当たらない。犯人は相当注意深い人間かプロですね。巧妙にその気配を消し去っているような感じですね。」
「やっぱり天城さんが追っている件と関係があるんでしょうか?」
「恐らくは」
「物が見つからなかったとなると、今度は直接コンタクトを取ってくる可能性もありますね。」
「まずは警察に届けて様子を見てみます。」
「ふむ、ではその前に見せていただこうかな、君の描いた絵を」
キャンバスもイーゼルからは落ちているものの、特に傷もついていないようだった。
「ほうさすがですね、ですがこれといって...これはCDのジャケット絵とは少し違うようだね、もう一枚あったりはしないかい?」
あぁ、Mがいた方の絵の方か、Mが消えてしまって以来、すっかり放置してしまった。
「この絵です。」
ジッと眺めては、絵の周りをぐるぐると周り、時々ルーペのような物を取り出して、一部分をマジマジとみたり、ようやく探偵らしい一面を見ている気がする。
「何か分かりそうですか?」
「いや全然分からないが、質問を一個いいかな?」
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