第23話 Detective

店長に音源を渡し感想を聴く。やっぱり最初の反応と一緒で目を丸く白黒させながら、興奮気味にレコーディングするぞっ、とぶっきらぼうに言葉を短くきった。


奏は分かったと日程を確認し合って、ライブハウスを後にした。


帰路に着く途中、またあの警官に出会してしまった。


「やぁ少年また会ったね、どうだい?あれから何か思い出したこととか分かった事はないかい?」


「いえ特にありませんよ」


「そうか、じゃあまた何か分かったら連絡くれるかい?そうだ連絡先を教えておくよ。」


携帯番号が書かれた紙を渡される。


「そういえばさっきライブハウスの店長と話をしてたんだけど、このCD君が作ったんだって?すごいなーネットで話題になってた曲で、僕も好きだったんだよ。いやーまさかご近所さんだったとはねぇ」


何故か僕のCDを持ちヒラヒラとさせている。


「ありがとうございます。」


「このジャケットの絵もやっぱりあの土手の絵なんだね。ちなみにこの男性はお知り合いか何かなのかい?」


警官の目がキラリと光った気がした。本題はこっちか...


「いえ、知り合いでもなんでもありません。架空の人物ですよ。」


面倒くさくなって、適当にごまかす。


「ふぅーん、そうか架空の人物ねぇ...」


「どうしたんですか?この絵に何か気になることでも?」


「いや何でもないよ、じゃまた何かあれば連絡ちょうだいね。」


ふぅ、短く息を吐きまた歩き始めた。警官も何か隠しているというか、あからさまに僕を疑っている。


どうせ本当の事を話したところで、こんな御伽噺は信用されるどころか益々怪しまれるだけに違いない。


帰ってCDのジャケット作業にでも取りかかるかー!


レコーディングも決まり早速音楽脳へと切り替わる。そうだyouにも一応断っておくか、ついでにジャケットの絵にも入れてもいいかな?


家に帰り早速youのところに、CDを出すこと、ジャケットの絵に描くことを説明した。


ジャケットの方は少し恥ずかしがってなかなか了承得られなかったが、ゴリ押しをして何とか首を縦に振らせた。


歌の方はなんかあっさり、

勝手にしたら?と素っ気ない感じでサラリと了解が得られてしまった。


あっという間にレコーディングも進み、完パケに近づいた頃、ライブハウス店長から連絡があった。探偵と名乗る男がまた来ているとのことだった。


僕は急いでライブハウスに向かい、その探偵とやらの話を聴いてみることにした。


「はじめまして、奏多奏です。」


「君か...」


自称探偵は名乗りもせず唐突に話しはじめた。


「君は死んだ人間はどうなると思う?」

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