第20話 Upside down
絵を持ってくると言い扉の前で待機してもらった、さすがにいきなり部屋に入れて、もし彼女の歌でも聞こえようものなら、完全にアウトだ。
すぐに絵の中に入り、彼女に説明をする。声を出さないこと、姿を見せないこと。
全くこの短時間で汗がダラダラと流れてくる。これではまるで嘘をつく人間そのものじゃないか。まぁ実際少々の捏造をする訳だが。
汗を拭き少し水を飲んでから絵を持っていった。
「これですが」
警官に絵を渡すと上下さかさまに渡してしまい、思わずあーっと声が出てしまった。絵の中の世界までもが上下さかさまになっていたら大変な事だ。いきなり彼女が地面から空に向かって落ちていく姿を想像して思わず声を上げてしまった。
「いきなりごめんなさいまだ乾いてないかもしれないと思って...」
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「なるほどいい絵を描くね、すごく上手だ。でもさっき夜通しって言ってたけど、この絵は夜の絵ではないね?」
「はい、数時間で頭の中にイメージを作り上げて、そのイメージで描くことが多いんです。一回止まってしまうとまたイメージ作りから始めないといけないので一気に描き上げてしまう方が楽な時もあるんです。」
「ふぅん、ありがとう。事件のことについてはまもなくニュースでも報道されると思う。何か気付いた事があったら教えてくれるかい?」
僕に名前と連絡先を教えてほしいと言われ、素直に応じる。きっと僕は容疑者Aになってしまったのだろう。
警官も帰り、ソファーに倒れ込むと、疲れていたのかいつの間にか眠りについてしまった。
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