第14話 shower

帰路に着きシャワーを浴びながら、答えの出ない問答を続ける、結局はMの記憶が戻らないことには...いやそれすらも疑わしく本当は記憶なんて失ってなかった可能性すらも...ぐるぐると考えが巡るなか、あの曲のメロディが頭を駆け抜けていく。


これであいつがクロだとしたら、この歌は悲劇かはたまた喜劇か、どちらにせよもし仮にMが殺人犯だとして、このメロディを作ったのもMだとすると、音楽に対する憎しみしか湧いてこない。何故殺人者にこの曲を作る才能が、なんで俺には才能がないのか、自分への情けない気持ちと、音楽に対する不平等な感情が黒い渦になり、自分の血管を駆け巡っている。


拳を強く握り壁に打ち付けたい衝動を堪えながら、水のようなシャワーで冷やすことで冷静になろうとしたが、無理だった。


「確かめに行こう」


俺は台所から果物ナイフを取り出し、自分のズボンの後ろに携帯し、Mのいる場所に向った。



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