第7話 promise

「なぁM」何のためらいもなく、自分の描いた絵の中へ入り、その中に住む人物に話しかける。


「意外と早かったね」

その男の名はM《エム》、名前を忘れてることから俺がつけた名前だ。


「実はMの歌っている曲のことなんだけど、すごく自分でも気に入ってて、勝手にアレンジして音楽サイトに投稿してたんだ」とりあえず俺が描いた絵の中の男の曲だからと言い訳もしないで正直打ち明けてみた。


「そっか、で?」


「うん、実はCD出さないか?ってオファーが来てる。でもこれは元々はMの曲だから....」


かなではどうしたいと思ってるの?」


「そりゃアレンジだけって言っても、自作した曲が形になるって事は喜ばしい事だと思う。それにひょっとしたらMも嬉しいんじゃないかと思って...」


「私が?」Mはふっと軽く息を吐くように笑い「実は自分が何者かとか、そんなに気にはしていないんだ。むしろ君の描いた絵の中にいる事は、きっと何か大切な目的があるんだろうって考えている。ひょっとしたら奏がCDを発売する事がそれにあたるのかもしれないね。好きにすれば良いと思うよ。どうせ私はここからは出られないんだから」少し自虐的になりながらも少し嬉しそうに笑みを浮かべてる。


「分かった、じゃあ発売したらここに持ってくるね、いつになるか分からないけど。」


「うん、楽しみに待ってる」

また会うことを約束し、早速レコード会社に連絡を入れた。

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