第3話

---

--

エステルがサイキッカーだとわかった日からその家族の生活は一気に変わった。


「いい?エステルだけに"できること"を人の前ではやっちゃいけないからね」


「それが先生でも友達でも、だ。」


朝、両親はいつも言ってきたんだ。


『うん、わかった』

私はそれを聞き、頷くのが日課だった。


それからは幼稚園へ行き、友達と遊ぶ

けど、その"できること"というものを隠すのは難しかった。


5歳の子供は特技を隠すよりも自慢したいものだからね。


今日の幼稚園は少し違った。

教室でみんなと遊んでいると先生が入ってきた。


「はーい、みんな!先生から悲しい話があります。今日から花菜ちゃんがα地区アルファへ転園します。」


悲しむ子もいれば花菜ちゃんに別れを告げる子もいた


私は仲良くもなかったから何もせずにいた


さよなら会は終わり、エステルはいつものように幼稚園の裏庭へ行った


ここなら誰も見ていないし、少しくらいいいよね!


そう思い、エステルは雪を作る"はずだった"。

『え…?!』


雪の代わりに出たのは、炎だった


エステルは直ぐに出すのをやめたが、さっき出した炎は近くにたっていた木にうつり、木はだんだんと燃え始めた


『(ど、どうしよう…!火事だ…!)』

エステルが焦り始め、後ずさった。

そして、石につまずき、尻もちをついた


「エステルちゃん!早く退きなさい!」

そこで、先生が消火器を持ってこちらへ走る


先生の声にハッとし、私はその場から離れた。


「…。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る