第3話前編「さばんなちほー」


ジャパリクルーザーが海辺の道を走り、だんだん海から遠ざかって行く。

このきれいな海とさよならするのは、少し寂しい。


道の先に、またトンネルが見えた。どうやらトンネルは、別の場所、地方とを分けるゲートみたいなものなんだね。

♪かわいい二匹

「海もいいところでしたね。」「うん、つぎはどんな場所に行けるか、楽しみ!」


このジャパリパーク、フレンズ図鑑にマップがあったんだけどめちゃくちゃ広いみたいで、今あたしたちがいるのは、マップの左下の方、「ゴコクエリア」らしいんだ。


トンネルが近づいてきた。この方向は「さばんなちほー」に向かうトンネルかな?

サバンナがどういうとこなのかはしらないけど、きっとまたかわいいフレンズちゃんに会えることは間違いないよ!


‥まあ、あたしにとっては、イエイヌちゃんが一番だけどね!


「んふふ。なでなで‥」「‥!?‥(まんじゅうのような笑顔)」


かわいいいいいいいいいいい!!!!!!!


「うひょひょ~かわいいなあイエイヌちゃん!」

「えへへ‥あまりにも嬉しかったもので‥」

「そう? じゃあもっとなでてあげる!わしゃわしゃ~」

「わふぅ~‥もっとしてくださいぃ~」

「かわいいいいいい!!くぁわいいよおおおお!!!あっはっはっは!何か笑いが!止まんない!うひゃははははは!!」


﹝映像記録‥撮影中‥﹞

(いい思い出ですよこりゃぁ‥)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



イエイヌちゃんをしばらく愛でたあと。もうあっという間にさばんなちほーについていた。

時間たつの早くなぁい?もうついちゃったの?


さばんなちほーは一面黄色い草っぱらで、傘みたいな木がちょいちょい立ってたり、遠くのほうには岩の山がある。

フレンズちゃんもたくさんいる。あれは‥シマウマちゃんかな?

あそこには、ガゼルちゃんかな? がいるね。

みんな楽しそうに、おしゃべりしたりかけっこなどをして遊んでる。




ん‥?あそこを歩いてる三人組‥



ひとり、あたしにそっくりな子がいるような‥?



ももも、もしかして‥!



「ラモリさんっ!いったん車止めて!」

「ど、どうしましたぁ?」

「あの子に、ちょっと会ってみたくて」

「分かりました。お安いご用です。」

「ともえさん、なにが‥」

「あの子だよ。あたしにそっくりじゃない?髪とか服とか。」

「確かに‥気になりますね。」


「さあどうぞ。降りてくださいな。」

「ありがとう、ラモリさん!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


あの子、フレンズちゃんんと一緒に歩いてるみたい。あたしと同じだ‥


ガサリ


「あっ! 誰!?」

近づいて話を聞こうとしたら、いち早く、黄色い、耳の大きい方のフレンズちゃんに気づかれた!

どどどどうしよう!?!?


「ああいえそのそんなべつにあたしはあやしいものでは」

「ああっ、ごめんね! おどろかせちゃった?」

「あ~えっと、だ、大丈夫。」

「それならよかった~」

「まったくもう。気を付けなさいよね、サーバル。」

「まあまあ、そこまで言うことじゃないと思うよ、カラカルさん‥」


やっぱり、いい人たちだった!

サーバルサーバルちゃんに、カラカルちゃんかぁ。

図鑑図鑑っと。


えっ何この文章は‥


♪動物紹介

〈サーバルはですね、基本的にはアフリカの、サバンナと言われる、地域に、過ごしていまして、若干ゃ草が生えているので、そういったところで歩きやすいようにサーバル、あの、細長い個体で。で後耳も大きいので、遠くの、音を、聞こえるように。ジャンプ力ゥ‥ですかねぇ。高いところに、スッと、ジャンプ、できる、動物でして、けっこ高いところが好きなので、軽々と、1m2mは余裕でジャンプしてくれますのん。〉

解説:多摩動物公園 新崎慶太さん



何か読みづらい文章だったけど、つまりは耳もいいしジャンプ力もあるスッゴい子ってことだよね。

♪楽しい仲間たち

「はじめまして!わたしはサーバル!」

「あたし、カラカル。まあ、よろしく。」

「ぼくは‥キュルル‥です。」


「よろしくみんな! あたしはともえ!」

「イエイヌですぅ。ともえさんのお供してますぅ。」


「ともえちゃんにイエイヌちゃんだね!よろしく!」


「ふたりは何してんの? こんなとこで。」

「ちょっと、そこのキュルルちゃんが気になってね。」

「えっ、ぼく、ですか?」

「そうそう!

あたしたち、あのクルーザーでここを通りすがったんだけど、ちょうどみんなの姿が見えてね。何かあたしにそっくりな子がいるなーって思って、降りてきたの。」

「それが、キュルルさんだったわけです。」

「そうだったんだー。確かに、キュルルちゃんとともえちゃんって、にてるね~。」

「‥うん。目の色とか、髪の毛とか、ぼくにすごい似てる。」

「そうだよね~、まるで姉妹みたいに‥‥んん?」


突然。頭の中に文字が浮かんできた。

「レ‥リア‥」

「ゲシ‥ルト‥??」

「えっ?キュルルちゃんも?」

「あっ、うん。何か文字が浮かんできた。ゲシ‥ルト‥って。」

「あたしはレ‥リア‥って文字が浮かんできたよ。」

「?? なんの話~?」

「難しい話はよくわかんないわ‥」




(‥‥‥‥‥ともえさんも、ですか。)




「まあ、今は気にするべきじゃないかもね。」

「‥そんなもんかなぁ。」


「んん、じゃあ次こっちが聞くね。」

「はい、どうぞ。」

「キュルルちゃんたちは、どこに向かおうとしてたの?」

「えっと、ぼくはヒト‥らしくて。おうちを探してたんだ。」

「あたしと一緒じゃん! あたしもおうちをさがしてるんだよね~!」

「そうだったんだ! 見た目もにてるし、目標もおなじなんだね!」

「じゃあさじゃあさ! あたしたちと一緒に来ない?」

「えっ!? えっと、ぼくは‥ちょっと、迷惑かけるといけないから‥遠慮します‥。」

「そ、そっか。わかった。無理につれてったりはしないよ。」


「それで、おうちの手がかりを探すために、ジャパリスタジアムってところにいこうとしてたんだ。サーバルちゃんに案内してもらって。」

「とりあえずヒトのいた建物で近かったのがあそこだったからね。」


「人がいた建物!? あたしもいってみたい!」

「では、クルーザーにみんな乗っていきませんか? 一緒にいきましょう!」

《おおーっ!》


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ただいま、ラモリさん!」

「おお、おお、おおお!なんだかたくさん来ましたねぇ!」

「でしょ? みんなのせてってもいいよね?」

「もちろん、いいとも!」


「うそ‥あのボス、しゃべってるよ‥!」「ええ‥! しかもスッゴい自然に‥!」

サーバルちゃんとカラカルちゃんが、ラモリさんがしゃべっていることに驚いている。

普段、ラッキービーストちゃんはしゃべれないからね‥


「初めまして、皆様。わたしはラモリ、といいます。何でもお申し付けください。」

「じゃあ早速、ぼくたちをジャパリスタジアムにつれていってくれませんか?」


♪けものたちの息づかい(ハシビロコウがすっごいみてるときver)


「‥‥ほう。ジャパリスタジアムですか‥。」

‥いつもの、楽しげなラモリさんの声色が変わる。なにか、行っちゃいけない理由でもあるのかな‥。


「‥どうしたんですか?ラモリさん。怖いですよ‥」

「‥どうしても、あそこに行きたいのですか?」

「う‥うんっ!」

「そこで、❲セルリアン❳が襲いかかってきたとしても?」

「大丈夫!もしその場所で❲セルリアン❳が出てきても、自慢の爪でやっつけちゃうよ!」

「それに私だっているんだから、心配無用よ!」


「‥イエイヌちゃん。セルリアンって?」

「私たちフレンズを食べてしまう、恐ろしい存在です。

フレンズでも立ち向かえなくはないですが‥最近は大人数で向かっても倒せない強力なセルリアンがいるみたいなんです‥」


「みんなで戦えば、きっと楽勝よ!」

「だと、いいのですが‥

よし!分かりました。案内いたしましょう。

ただ、絶対に、無理はしないでくださいね。」

「‥うんっ‥!」「はい‥!」




ジャパリクルーザーが走り出した。

セルリアン‥まだどんなのかは見たこともないけれど、きっと恐ろしい怪物なんだろうね‥

言葉が分かれば、戦わずに済むかもしれないんだけど‥



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




♪洞窟の奥

「ここが、ジャパリスタジアム‥ボロボロで、今じゃ誰も近づかないんだってね。」

「一部のくらいところが大好きなフレンズは、時々来てるらしいですよ。」


「今回はわたしも同行します。もし、セルリアンが襲ってきたら、倒せそうなのは倒す。無理そうなのは逃げる。これを守ってください。」

「はい‥」

「では、いきます‥」



スタジアムの受け付けに入る。中もボロボロだ。


気になったところがある。何一つ、モノが置いていない。

普通、ソファとか椅子とか、受付の台とか、テレビとか。

ホントに何もおいてないから、不自然なまでに静かで、不安になる。


「‥なーんにもないよ。」

「おかしいです。ヒトがいる場所は、いつもたくさんのものに溢れているのに‥」


「これじゃらちが明かないわ。まっすぐあのドアまでいけばいいんじゃない?」

「ぼくも、そう思う。それ以外ないんじゃないかな。」

「ともえさん‥なんだか嫌な予感がします‥」

「それでも、いこうよ。そこしか道はないんでしょ?


じゃあ、開けるよ‥」



ゆっくりと、競技場に繋がるドアを開けた。

みんなが一人ずつ入ってくる。

そして最後に一人が入った瞬間。

〈バタァン!〉

勢いよく、後ろのドアがしまった‥!

「えっ!?(ガチャガチャ)うっそ、開かないよ!!」

「ええ!何でよ!」


「やだぁぁ!! 助けて、イエイヌちゃん‥!」

「ともえさんッ! ともえさんは、私が守ります‥!」

「くぅッ‥やはり、こうなりますか‥」



突然、スタジアムの屋根の上から声が響いた。




❲レディィィーッス エェーンド ジェントルメエェェェーン!!!!❳



❲サアサア皆さんお立ち会い!今日の犠牲者は~フレンズ団体五名様ァ!❳

「誰‥!?誰なの‥!?やめてよぉ!」



❲まんまと誘われるその姿、まさに飛んで火に入る夏の虫ィ!

ジャパリまんに誘われるフレンズの如しィ!!❳


❲前置きはこれくらいにして~、ルール説明~!❳


❲今から皆さんには~、限界までセルリアンと戦ってもらいマース!そんだけェ!❳

「なっ‥!どういうこと!?」

❲だーかーらー、そのまんまに意味ですよォ、子猫チャン。❳


❲今から、この俺様のォ‥❳


声の主が、落ちてくる!

〈ダァァン!!〉


❲青い悪魔、ピューパ様の餌食になっていただくんですよォ!!!!❳





        W A R N I N G

▪─────────────────────────▪

      AI搭載水陸両用戦機型セルリアン

          青い悪魔こと

           ピューパ


♪メタルギアソリッド ピースウォーカーより VS pupa





後編に続く‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る