第1話後編「ようこそジャパリパークへ」
謎の建物のドアを開けたその先には、キレイな緑が、キラキラしながらどこまでも、広がっていた━━━
♪水辺の恵み
「うわぁ‥!すっごーい!! めっちゃ絵になりそー!」
気づいたらあたしは、スケッチブックの白紙のページに、本能のまま、その風景を描いていた。
走り出した色鉛筆は止まらないッ!
あたしはその絵をあっという間に描き終えた。
「ここはジャパリパークと言います。
どうですか?とってもいいところでしょう!」
「うん!めちゃくちゃキレイで、キラキラしてて、すっごく楽しそう!‥ほら見て!あたしの絵!」
イエイヌちゃんにあたしの描いた絵を見せた。
「これって、ともえさんの描いた絵ですか?」
「そう。さっき、本能のままに描いてみたんだ!」
「ほ、本能のままに、ですか‥
でも、とてもキレイな絵ですね。もっと見てみたいです、ともえさんの絵。」
「そう?じゃあ、これはどうかな?」
あたしが見せたのは、草原の真ん中に立つ大きな木の絵だ。
ツリーハウス?なのかな。木の真ん中辺りにお家みたいなのがある。
「へぇ‥!‥あ!この絵って、もしかして‥あそこのことですか?」
「えっ!?イエイヌちゃん、心当たりでもあるの?って言うかこの絵、ホントにある場所の絵なんだ‥」
「はい!きっとあそこだと思いますよ!」
「じゃあ、案内してくれないかな?あたしすっごい気になる!」
「わかりましたっ!いきましょう!」
♪風を感じて
あたしはイエイヌちゃんと一緒に、どこまでも広がる緑の草原を歩いた。
風が気持ちよく吹いている。キラキラが風にのって、それが体に当たると‥なんだか言葉では表現しづらいような、何となく満たされた感じになる。
「そういえばさ、さっきから飛んでるキラキラってなにぃ?」
「ああ、それはですね、サンドスターっていうものなんですよ。
それはそれはふしぎなモノでして、よく分からないことが多いんです‥‥
わかってるのは、私たちフレンズには欠かせないモノってぐらいです。」
「へぇー、サンドスターねぇ‥フレンズちゃんたちに欠かせないモノ‥っと。覚えとこ。」
━━━━━━━━━━━
♪ジャングルの中で
「あ!あれかな?あたしのスケッチブックにあった木って」
「はい!そうだと思いますよ!」
しばらく二人で歩いていると、スケッチブックに描いてあった大きな木が見えてきた。
このキョリであの大きさってことは、近くにいったらもっとスゴいんだろうなぁ‥‥
「‥おや‥? 見てくださいともえさん、あの大きな木から誰か出てきました。」
「ホントだ! 誰なんだろう、めちゃくちゃ気になる!」
きっと、あの木に住んでる子だよね!?
我慢できず、あたしは全力ダッシュ! でその子達のところに向かった。
「おああ~、待ってくださいともえさーん!」
‥‥走ってたら、あたしはイエイヌちゃんを置いてきぼりにしてしまったことに気づいた。
「あっ!イエイヌちゃんごめん。つい興奮しちゃって‥てへ。」
「いえいえ気にしてません。大丈夫です。それに、わざわざ止まる必要はないですよ。私がともえさんに合わせていっしょにはしりますから!」
「そっか!ありがとうイエイヌちゃん!じゃあ二人で挨拶しに行こっか!」
「はいっ!」
「いやぁ~、最近はあの二人が活躍しまくってて嬉しいよ~私は。」
「そうですね、アルマーさん。私たちの仲間から''しゅっせがしら''が出てくれるのは嬉しいものです。」
「そうだね~」
「う~む」
「‥ねぇ、センちゃんさあ。」
「おっ、どうしました?」
「あっちから誰か走ってこない?
‥ハァッ! もしかして''いらいにん''かなぁ!」
「この辺りでは見ない方たちですね。いったい何の用なのでしょうか‥?」
「「こーんにーちはー!!」」
「こんちはーっ!」
「こんにちはなのです」
やっぱり初めて会うフレンズちゃんたちだ!何となく格好が似ててコンビみたいに見えるかも。
「どうしたの?私たちに用!?何でも言って!」
黒髪ロングの方のフレンズちゃんが、食いぎみにあたしたちに聞いてきた。
どうしよう、何て言おうか考えてなかった‥。
「あー、いや。特に用って程じゃないんだけどね、ただ初めて会うフレンズちゃんだから挨拶しようと思って‥」
「うム、そうでしたか。」
今度は金髪ショートの方の子が頷いた。
♪かわいい二匹
「そんじゃ、まずは私からね!」
「私はオオアルマジロのアルマーだよっ!よろしくね!」
「私はオオセンザンコウのセンちゃんです。よろしくです。
二人合わせてダブルスフィアって呼ばれてるです。」
黒髪ロングの方がアルマーちゃん、金髪ショートの方がセンちゃんっていうっぽいね。
続いて、あたしたちも自己紹介をする。
「あたしはともえ! ‥‥っていうらしいんだ!アルマーちゃん、センちゃん、よろしくね!」
「わたしはイエイヌですぅ。ともえさんとお家に帰るお供してます。」
「よろしく!イエイヌちゃんにともえちゃん!」
「うんっ、よろしく!
ねねね、アルマーちゃんとセンちゃんってさ、このツリーハウスに住んでるの?」
「うム、住んでいる、というよりはそこで仕事をしているのです。」
「へぇー! どんな仕事?」
「あそこの''じむしょ''で、悩みがあるフレンズちゃんの相談に乗ったり、なくしものを探したりしてるんだ~!」
あそこのツリーハウス、事務所だったんだ!すっごいオシャレな事務所だなぁ。ああいうところに住んでみたい‥‥
「それにしてもすっごい大きな木ですよね。わたしここの陰にいるの好きなんですぅ。」
「でしょでしょ!? この木の下は絶好のおしゃべり&お昼寝スポットなんだ~!」
「今日はもうお昼を過ぎたからか、あんまりいませんね。」
「‥ところで、二匹ともこの辺りでは見かけないフレンズなのです。何しにここまで?」
「わたしは、ひとりでおさんぽして、ここまで来ました。」
「‥‥あたしは‥分からない。」
「分からない、とは‥?」
「あたし、あっちの方にある変な建物の中にいて、さっきそこから出てきたばっかりなんだ。イエイヌちゃんに起こされるまでは、寝てたっぽいんだけど‥それより前の記憶が全然ないの‥。」
「おおう‥中々に深刻な問題だねぇ‥」
「とりあえず、話は''じむしょ''で聞くのです。」
「私たちが案内するから、ちゃんとついてきてね~」
「はーい!」「はいっ!」
♪サンドスター
あたしたちは、ダブルスフィアの二人に案内されて、木の横にある階段をどんどん上っていく。
だんだんと上にいくにつれて、ジャパリパークの景色がよく見えるようになる。
「うわぁ‥スッゴい景色‥」思わず声が漏れていた。
しかも階段はらせん状になっていて、360度すべての景色を見れる。
これは‥描かなきゃ!
あたしは階段を上りながら、360度に広がるジャパリパークの光景を描いた。
美しくて、素敵で、とってもワクワクする、冒険の舞台。
まだ冒険は始まったばかりなのに、もうドキドキとワクワクがとまんないよ!
ちょうどその絵を描き終わったころ、あたしたちは事務所のドアの前についた。
「さ!ここだよ、私たちの''じむしょ''!」
「おじゃましまーす!」
事務所の中は意外と広く、正面に大きな窓と机、その手前に相談用のソファーとテーブル。
周りには棚、いろんな書類や絵などが入っている。
「あ!これはもしや‥!」 イエイヌちゃんが何か見つけたみたいだ。
「なになに? どうしたのイエイヌちゃん?」
「これ、お湯に葉っぱをいれたやつの素じゃないですか!」
「あ、飲む? それ。お茶って言うらしいんだけどね。」
「いえ! ここは是非、わたしにお茶を淹れさせて下さい!」
「おお、ありがとね~」
「さ、ここに座るのです、ともえさん。」
「ありがとう。失礼します。」
「まあ肩の力を抜いて、気楽にね。」
「はい、どうぞ。お茶です。」
「うん。ありがとうイエイヌちゃん。」
「あっそうだ! 最初に見てもらいたいものがあるんだけど‥
これに見覚えかなんかはある?ともえちゃん。」
アルマーちゃんが取り出したのは、青いショルダーバッグ。
‥なんだろう、とても懐かしいモノのような気がする。
「あと‥この中にある、これ。」
ショルダーバッグの中から、「ジャパリパークジオグラフィック フルカラー フレンズポケット図鑑」
と書いてある、古ぼけた小さな本が出てきた。
「あっ‥! それは、あたしの‥」
‥‥なんでだろう。とっさに、あたしの、といっていた。
正確には思い出せないけど、あたしにとってはとても大事なものというのは何となく分かった。
「やはりそうでしたか」
「実はこれ、結構前にそのともえちゃんのいた建物の近くで拾ったんだ。」
「拾った当時は誰のものだか分からず、私たちが保管していましたが‥」
「持ち主が見つかってよかったよ~!はいこれ。大事にしてね?」
アルマーちゃんからそのショルダーバッグと図鑑を受け取ったとき。
なんか、よく分からない安心感を感じた。
「うんうん。早速問題ひとつ解決したね!
じゃ、この話は終わりにして、''じじょうちょうしゅう''、させてもらっちゃいます!」
「まずひとつ目。イエイヌさんはともえさんをどこに連れていこうとしたのでしょうか?」
「は、はいっ! えっと、いっしょにお家に帰ろうとしてて‥」
「ほうほう、お家ですか。結構遠いですけど‥乗り物とか、使わなかったんですか?」
「あっ、えっと、使いませんでした。」
「オッケ把握~。んじゃあ次! [ボス]は見たかな?」
「ボスって誰?」
「見てないみたいだね‥ボスっていうのは、青くて、小さくて、尻尾は大きくて‥無口なヤツ。
乗り物を動かすにはボスの力がいるから、探しておいた方がいいよ。」
「うん。わかった。」
「次!ともえちゃん。体力は自信ある?」
「体力かあ。自信無くはないけど、イエイヌちゃんほどじゃないなぁ。」
「ふんふん。」
「大体わかったのです。
まず、お家に帰るためには乗り物をさがしましょう。
そのために、まずはボスを探すのです。」
「ボスを探すのは私たちも協力するから、いっしょに頑張ろうね!」
「なるほど。わかった!」
「では探しにいきましょう!ともえさん!」
あたしたちはボスを探しに、事務所をでた。
近くにいればいいけどなぁ。
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しばらくみんなで探してみたところ、今は休憩時間で、どこかで寝ているのではないかという話になった。
「うーん、ここかっ!? ‥いないや。」
「おかしいですね。」
「くんくん‥」
イエイヌちゃんは匂いを辿ってボスを探している。
「はぁ! わかりましたっ!」
「ほんと!? どこにいるの?」
「多分‥こっちです!」
ボスの匂いを嗅ぎ付けたっぽいイエイヌちゃんが、一気に駆け出してった。
「あっ!あれじゃないでしょうか!?」
そこには、青くて、小さくて、尻尾は大きい、特徴がぴったり一致した子を見つけた!
「ホントだ、あれだよ!でもなんでこんなとこに‥?」
なんでこんないかにも裏道っぽい所にいたんだろう‥見つけてイタズラとかする子でもいるのかな。
「うム‥そこら辺はよく分かってないんです。」
「でも、見つけたから一件落着ってことで!」
まあ、確かにあんまり気にすることじゃないかもね。
‥ちょっと待っていると、ボスが変な機械音を出し始めた。
[‥‥‥接客プロトコル開始。]
「ハジメマシテ、ボクハラッキービーストダヨ。」
「マズ、キミノナマエヲオシエテネ」
「えっ?えっと、ともえ。」
「ヨロシクネ、トモエ。キミハナニガミタイ?」
「えーと、おうち?」
[(おうち)を検索中‥‥ファミリーパスのお客様の可能性の示唆。]
「ワカッタヨ、トモエ。チョットマッテテネ。」
[初期型パークガイドロボットの召集開始‥‥]
「え‥うそ、ボスって喋れたの‥!?」「これは新発見なのです‥!」「??? なんでしょう皆さん‥」
ボスが喋っていたことに、ダブルスフィアの二人は驚いてたけど、イエイヌちゃんは驚いてないみたい。まあ、あたしも正直、ちょっと驚いたけど。
‥ボスに言われた通りに、しばらく待っていると、これまた裏道っぽい所から、違う感じのボスが現れた。
「ハイどうも皆さん、こんにちは~。」
「こ、こんにちは~。」
さっきのラッキービーストっていう子とは違って、話し方が流暢だ。
「さて、あなたがともえさんかな?」
「はいっ! そうです。」
「私(わたくし)はラッキービースト・モデル・リーダー、略してラモリ、とお呼びください。」
「今から皆様にピッタリの乗り物のところまで案内致します」
「みんなついてきてくれるかな?」(いいとも!と書かれた札をだす)
「‥いいともー!」「わっ、わたしもいいともー!」
「よおし。元気がよろしい!では皆さん、ついてきてください。」
そう言うと、ラモリさんは旗を何処からかとりだし、掲げた。
面白い子だな~、ラモリさん。いや、そもそも子、なのかな‥?
とりあえずついていこう!いやー乗り物、楽しみだな~。
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♪けものたちの息づかい
「こちら、全天候、全地域に対応できる万能大型車両、ジャパリクルーザーです。」
「うっわスッゴーい!! デカイ!」
「すごいですね‥!ともえさん!」
「これは‥普通のボスでも動かせなかったのですが‥」
「もしかして、動かせちゃったりするのかなぁ!?」
ラモリさんがジャパリクルーザーのなかにはいると、なにかガチャガチャと鳴り始め‥
ブルゥゥン!!といったような音がなり、動き出した!
「うわぁ!すっごーい!動いたよー!」「ちょっとビックリしちゃいました」
「ほんとに動いた!?これは新発見ね!」「驚きなのです。」
「さあさ、みなさん、お乗りくださーい。」
「ともえちゃん!」「ともえさん。」
ジャパリクルーザーに乗ろうとしたとき、ダブルスフィアの二人に呼び止められた。
「なに?アルマーちゃんにセンちゃん。」
「お家を見つけるの、がんばってね!」「私たちは応援してるのです。」
「‥うんっ!ありがとう! じゃあ、また会おうねー!」
「オールオッケー、出発進行!」
「じゃあねー!アルマーちゃーん!センちゃーん!!ありがとー!!」
「また会いましょうねー!みなさーん!」
‥ダブルスフィアの二人は、見えなくなるまで手を振ってくれた。
いよいよ始まった、あたしと、イエイヌちゃんと、フレンズちゃんたちの大冒険。
次はどんなフレンズちゃんに会えるのかな? あたしは期待に胸を一杯にして、パークセントラルを後にした。
ED:みゆはん-足跡
「あらいさーん、そっちで大丈夫なの~?」
「間違いないのだ!あらいさんはその辺バッチリなのだ!」
「いつになく張り切ってるね~。まあまあ気軽にいこうよ~。道のりは長いよ~?」
「それじゃダメなのだ! だって今回は、誰でもない、あのかばんさんからのいらいなんだからな!」
「まっ、それなら張り切るのもムリないか~。」
第一話おしまいです。ちょっと誰が話してるか分からないところもあるかも知れませんが、そこは実力不足ってことで‥
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