第11話 PR07 小夜山みかん
“憑き物”新幹線が走り去った後、東京駅周辺は、未だ大混乱の最中にあった。
交通整理もままならず、消防、警察、救急車のサイレンがあちらこちらで響きわたり、鎮まる気配がまるでない。
駅前の上空から見降ろすレイアと舞子。
「あら、もうほとんど終わりみたい」
警察車両で築かれたバリケードの外側で特0の結界師と部隊が待機。さらにその外側の、ロープが張られたところから一般人が見守る中。
「もー…ワラワラ、ワラワラと、飽きもせずよく湧いてくるわね……こいつら……」
「でも、縁ちゃん。穢れがもうほとんど引いてるから、こいつらで最後じゃない?」
「だね…行くよ珊瑚!、左のヤツ、ヨロシク。3、2、ゴー!」
「ええっ?!…ちょ、早い……」
九十九里縁は、扇子型の
フワッ…と魔光の粒子が縁の体から浮き立ち、
波状に切り裂かれた鬼魔蟲がまとめて2鬼、黒塵と化し、ボロボロと崩れていった。
縁のフライングで一歩出遅れた珊瑚だったが、尖り貝殻を模した
息を呑んで見守っていた人々から、「おおっ…凄え…」と、
まるで大道芸のパフォーマンスショーにも見えるその光景だったが。
ゼー…ゼー…と疲弊し切っている二人の
「もう大丈夫そうね」
「縁ちゃん、珊瑚ちゃん、ありがと」
「はぁ…ほんと疲れたわ。ざっと300以上は浄化したはずよ。きっと世界記録よ。ギネス認定が欲しいわ……」
縁は、膝に手をつき、力なく言葉を吐いた。
珊瑚がキョロキョロする。
「あれ?…彩乃さんは?」
埼玉スカーレットファング機の墜落現場に降り立った彩乃は、驚きで目を丸くした。
落ちた機体の下に、大きな街路樹が6本も、不自然に折り重なるように倒れていたからで。
彩乃は、忙しそうに消化ホースを片付けている消防士の背に訊く。
「ねえ、あれに乗ってた隊員は?」
振り向いた消防士は、突然そこにいた緋色髪の美しい少女に、心臓が飛び出るほどに驚いた。
「うわッ!……えっ?…ぁ……あの……」
「…ぁ……驚かせてごめんなさい。わたし、埼玉の御子です。これに乗っていた隊員は?」
……埼玉の御子さん?…すげぇ美人……
「…ぁぁそれなら、もう救出されてます。ほら、あそこに……」
消防士の視線を追った彩乃は、ちょうど救急車に運ばれる担架を見つけてフワリと浮いた。
ストレッチャー上の若い隊員は、上空から舞い降りてくる緋色の御子に驚く。
天から迎えが来たのかと思った。
「…彩乃様…?!」
「ふふっ、しぶといわね」
「残念ながらまだ生きてますよ。左手と左脚がボッキリ折れましたけど…」
「パイロットさんは?」
「先に運ばれました。俺より重傷ですが、あいつらもしぶとく生きてます、ははっ…っ痛てて……」
「そう…よかった…」
彩乃の頬に一筋の涙が伝う。
「…ぇ……彩乃様……」
「…ち…違うの…これは……」
慌てて琥珀色の目尻を拭う彩乃だったが、その頬はカァ…と紅潮していた。
若い隊員はドキッとした。
まさか一兵卒の自分たちの身を、泣くほど心配してくれてるとは思わなかったから。
そして、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「……すいません。不用意に近づいた俺らのミスでした」
「まあ、いいわ。生きていたから許してあげる。ところで…ね?…あれは?」
グス…と鼻を啜りながら、彩乃は、機体の下敷きになってる街路樹を指差した。
「あれがクッションになったみたいです……って、あれ?…彩乃様の
「……えっ?」……あの時……
ぁぁ…そっか……
ありがと、舞子ちゃん、レイちゃん。
「浄化活動、お疲れ様でした」
特務
「今のところ穢れは引いたみたいだけど、まだしばらく警戒が必要かも」
「そうね、しばらくここに残った方がいいかもね」
「ありがたいです。では我々は救助活動を再開します」
グー…っと、舞子のお腹が、大きな音で返事を返す。
……やだ…恥ずかしい……
「……ぁ……浄化活動後は、”補給“が必要と聞いていますので。ささ…あちらへどうぞ」
「…ぁ……ありがとうございます…」
舞子は、耳まで真っ赤になって
隊員に促されて歩み始めようとした時、舞子は、ホームで見かけた女の子とその母親が、担架に乗せられて救急車に運び込まれるのを見つけた。
「先に行ってて…」
レイアたちにそう告げ、舞子は救急車に駆け寄る。
担架の上の幼女は、酸素吸入器を口に当てられ、すやすやと眠っているように目を閉じていた。
救急救命士が、初めて見る御子に恐る恐る声をかける。
「…ぁ…あの…この親子なら大丈夫ですよ。二人とも比較的軽症のようです」
「…そう……よかった……」
舞子は、安堵の手を胸に当てる。
そして、そっと幼女の手を取り、その温もりを確かめると…
不意に、ポロポロ…と
この騒動で、多くの人の命が失われた。
あの地獄絵図を目の当たりにした。
…もっとわたしが……と、自責の念に囚われそうになる。
でも……
救えなかった命もあったけど、こうして救えた命もあった。
それを確かめるように、舞子は、幼女の小さな手を優しく握り直す。
救急救命士の一人が、静かに涙を流す御子の横顔に、おずおずと声をかける。
「…ぁ…あの…ありがとうございます。俺たち、こんなことしか言えませんが……」
「うん、ありがと。その言葉だけで、すごく嬉しいです」
舞子は、彼らに泣き笑顔を隠そうともせず。
「じゃ、あとはお願いします」
ぺこり、と丁寧に一礼をしてから、御子仲間の方へ小走りで戻って行った。
救急救命士たちは、その後ろ姿を見つめ、はぁ…と熱い嘆息を
「あれが噂の御子さんか。なんか…まるで…女神様だったな……」
こんな時に不謹慎だが、いい香りがした。
「ああ…俺もつい見惚れちゃったよ……」
「さて…俺たちも、俺たちにできることをしよう」
富士川の田園地帯では。
「そろそろ来るがね」
「ひああぁ…緊張するぅぅ。ねえねえ、乙葉ちゃん。アルティメットスパークと
「どっちでもいいだども…どう違うん?」
「名前が違う!」
「んじゃ、昨日考えた必殺技は?」
「スペシャルギャラクティカ静岡スペシャル」
「どう違うん?」
「名前が違う!」
無い胸を張るみかん。
「はぁ…全部同じゃんね。しかも、スペシャル、思いっきりかぶったじゃんね」
ガックリと肩を落とす乙葉。
「みかんちゃん。じゃあ、アルティメットギャラクティカ静岡富士山ビリビリスペシャル、でお願い」
「おお、ノノちゃん、さすが。了解。それでいってみるにゃ」
「いや…長すぎるじゃんね…それ……」
そして、その会話の全てが司令室内に筒抜けだった。
が…
力が抜けそうになったオペレーターは、気を取り直すように声を張り上げた。
「ターゲット!エンカウトまで60秒!全ユニットに向けてカウントダウン……57、56、55……」
特0司令室内、そして富士川バックアップ部隊の緊張が一気に高まっていく。
「たのむぞ……」
五郎は、祈るようにメインモニターを見据える。
日本最高峰の
その
「ドキドキするじゃんね」
「お覚悟を……」
そして、静岡を護る御子、小夜山みかん。
「
得意気に構え、ニンマリする。
「さー…必殺技ぶっ放しちゃうよ」
その頃、京都。
鴨宮あずきは、特0からデータ送信された動画を、特0から貰った最新のパソコンで再生していた。
東京駅に突如出現した
その
……チッ……
あずきは紅白に
「ちひろはん、何やと思う?この
リング通信の相手は島根の御子、
鴨宮家同様、古来から御子を代々受け継ぐ
「確証は持てませんけど、かなり昔のタイプかと…」
「昔?」
「うん、
「昔話かぁ…鴨宮1000年の歴史よりも遥か前っちゅうことやな」
「古代種、と言ってもいいかもしれません。それこそ
「そんなごっついもんが何で今頃?」
「さあ……でもこれが紫兎ちゃんの言ってた、近い将来に起こり得る危機、の”始まり“なのかも」
「…始まり……か…」
あずきは、ちひろの言葉が胸に刻み込まれる間をとってから、動画の再生をクリックした。
画面の中で、線路から空へ離脱する御子たち。その下を“嗤う”新幹線が走り去っていく。
「ん…まあ、分からへんことは考えてもしゃあないな。ウチら御子は、鬼魔衆から大切なもんを護るだけや」
「そうですね」
「ところで、ちひろはんも引き
「ひ…引きこもりと違うもん!人混みと乗り物が苦手なだけです!……では、こうしましょう。めぶきちゃんが出雲に遊びにおいで」
MCリングが
「おっ、と…紫兎ちゃんや……ちひろはん、ほな、また」
あずきは、頭の中で紫兎とのリンクをつないだ。
使い始めは他の御子と混線もしたが、かなり慣れてきた。
「紫兎ちゃん、そっちはえらいことになってんな。たばかりさんどす」
「
「ウチの出番がないこと祈ってるで…」
パソコン画面を切り替えると、小夜山みかんたちが浮いてるのが映った。
「みかん…乙葉、ノノちゃん…頼むで、そこで食い止めんと、えらいことになる」
「どんな作戦なんだ?」
特0司令室で五郎は、紫兎にこっそりと顔を寄せる。
「んっ?…何の話?」
キョトンとする紫兎。
「…って、さっき言ってなかったか。ほら、できるだけ作戦通りに、とか…」
「そうだっけ?…まあノノちゃんがいるから大丈夫よ。
「…ぅぅ…マジか……」
五郎は泣きたくなってきた。
オペレーターのカウントダウンが続く。
…39…38…37…
箱ヶ咲みらいを乗せた神奈川みらい機は、山を越えた先のトンネル出口の上空で、ヘリモードでホバリングする。
「みらい様!お気をつけて!」
「まっかせて!…行ってくるよ!」
横の開口扉から、みらいが飛び出す。
機体はツインローターの可変翼をそのままに、小山の方へ離脱していく。
「来るわよ。
埜乃が提案した。
「かくよく?」
「???」
みかんと乙葉が、何それ?、と首を傾げる。
「わたしがこっちで、乙葉ちゃんは、そっちから……」
埜乃が配置の方向を指し示す。
「わたしは?」
「みかんちゃんは大将よ。正面からタイミングみて、思いっきりぶっ放してちょーだい」
「おお、大将かぁ。よーし、がんばっちゃうよ」
みかんは、嬉々と腕
乙葉と埜乃が、みかんを中心にして左右に展開した位置で待ち構える。
みかんを最後方の頂点とした扇三角形。つまりV字である。
「ほう……鶴翼の陣、プラス1やね」
モニタースクリーンを見上げて、二條いちみは、感心する。
高速で直進してくる鬼魔衆を迎え撃つには、最適の陣形だった。
さらに背後から追い込むようにプラス1の箱ヶ咲みらいが追い込む形となる鬼魔衆包囲網。
「…10……9……8……7……」
小夜山みかんがフルパワーの構えに入る。
富士の麓からの地脈の神霊気が、みかんに蓄積されていく。
その小さな体から魔光の粒子が沸き立ち、
「……2……1……出ます!!」
ゴゥッッ!!
“憑き物”新幹線がトンネルから猛烈なスピードで飛び出してきた。
……出た!……
トンネル出口で旋回しながら待ち構えていたのは、箱ヶ咲みらい。
タイミングを合わせて宙を蹴った。
そのまま上空からいきなりトップスピードで追走する。
…うひっ……うひひっ…うふっ…ひゃはっ……
「ううっ…何あれぇ?…顔があるぅぅ…」
「うぅ…キモイじゃんね…」
御子たちは、その禍々しさに
狂ったように高嗤う能面の裏側から、縮んでいた節触手が広がるように一気に伸び、その
その数8本。
ここに来るまでに再生したらしい。
「ターゲット、速度が上がります!……200!…いえ……一気に250!」
「くっ!…何だと?」
五郎が耳を疑う。
「スピードで振り切る気ね……」
いちみは驚きを隠せない。
新幹線を走らすだけでなく、節触手を再生までして、さらにスピードを上げるこの鬼魔衆に。
……いったい、どこにそんな妖力が……
「逃っがさないよ!…ええい!超電雷演舞!!」
鬼魔衆のスピードが上がったのを見て。
みらいは、考えるより先に、節触手に向かって避雷針のような
…バリッ…!!っと。
その切っ尖から放出された浄化の放電龍が、鬼魔衆の節触手を2本まとめて貫く。
さらに…
「もーーーう、一発ぅぅぅ……!」
周りは田園地帯。
何も気にせずフルパワーを放てる。
振り下ろした
「いいっ……けえぇぇぇーーー!!」
バリバリッ…!と雷鳴が
「おおぅ…ナイスコントロールじゃんね!みらいっち!」
右翼で構えていた乙葉が胸の前でグッと拳を握る。
渾身の2連発を放って、箱ヶ咲みらいは、ゼー…ゼー…と肩で息をしながら、宙で膝に手をついた。
「ふぅ……もうエネルギーゼロ…あと、よろしく……」
残った節触手は左右に2本づつ。
「乙葉ちゃん!…来るわよ!!ウネウネの根元を狙って!」
埜乃が
時速250キロで向かってくる“憑き物”新幹線の速さは、尋常じゃない。
節触手に当たるだけで、いや、かするだけでもかなりの衝撃に違いない。
左右の二人が外せば、“憑き物”新幹線は一瞬で通り抜け、孤立したみかんの身が危なくなる。
だが、地の利はこちら側にある。
「いぃくじゃんねぇぇぇーー!」
「はあぁぁ!」
乙葉と埜乃は、左右から、残った節触手に狙いを定めて神起具を振り下ろす。
2条の魔光の大砲が、残った節触手を撃ち抜き。
根元から千切れた節触手は宙に放り出され、黒塵状に消し飛んだ。
……うぉぉマジか…!?…
「…凄えぇ……」
ここまでわずか30秒たらず。
あの御子たちは、あっという間に鬼魔衆を無力化してしまった。
…何というチームワーク……
富士川のバックアップ部隊は、“攻める”御子の強さに呆気にとられた。
二條いちみが明言した通り、来ると分かっている所に直線で向かってくるだけ。
“憑き物”新幹線がどんなに速くとも、節触手をくねらせ伸ばしたとしても、その生え際は動かすことはできない。
そこを狙えばいいだけ。
「よし!!…いいぞ!」
五郎がガッツポーズを見せる。
これで敵の厄介な武器を全て封じた。
あとは…
「みかん!」
「みかんちゃん!」
足下を高速通過する“憑き物”新幹線を見送るように振り返る乙葉と埜乃。
バトンを渡すみかんのフルパワーの巻き添えを食わないように、陣形を左右に開いていく。
今や丸裸同然の能面鬼魔衆。
そのド正面で待ち受ける小夜山みかんは、ただその
「んんんっ……アルティメットォォォ〜えーと……なんだっけ??」
振り上かぶった神起具の三叉に、溜まりに溜まった霊峰富士の神霊気。
形成された電磁結界波の光球が膨らみ切って、ブォーンと、今にも爆ぜそうな音を立てている。
「何でもええから早よ撃てーーー!」
大声で叫ぶ乙葉。
「とにかく!…スペシャルーーー!!!」
小夜山みかんの渾身の一撃。
「うおおぉぉぉっ…何だ!?」
田園一帯がスパークするように大きな光に包まれ。
富士川バックアップ部隊は、目を
渦巻く超電磁波結界砲(みかん自称)が、龍の
そのまま、魔光の大渦は、竜巻のように車両を包み込み、その後方へと突き抜けて行く。
「やったじゃんね!!」
乙葉が拳を突き上げ、歓喜をみせる。
京都で
「うえぇぇ…光って何も見えへん。みかんの一撃、えげつないな……」
「ターゲット、速度落ちます、180…140…100…70…」
「やったか?」
五郎が白光るモニターに手をかざす。
ハァ……ハァ……ハァ……
小夜山みかんは、肩で大きく呼吸をしながら、
手応えは十分。
渦巻いた魔光が新幹線の最後尾を抜け切り、蒼穹へ駆け昇っていくのを見届けて……
---ゾクリ…と、みかんの背筋に、嫌な戦慄が走った。
安曇埜乃が、それを目にし驚愕する。
「そ……んな……信じられない……」
能面の……蒼白い顔がまだ残っていた。
相当なダメージはあったらしく、ブスブスと燃え尽きたような
しかし……
グ…グ…っと持ち上がる能面の、その不気味な
「…ターゲット……ぅっ……」
「何だ?…どうした?」
「そ……速度が、上がります!……120……150…ぅ…ぁ…200!」
ビキ…ビキ…と、ヒビ割れていた蒼白い能面が再生していく。
「……嘘やろ……信じられへん……」
いちみは、驚愕に言葉を失う。
「……くぅ…ぅ…もう一発……」
みかんがフラつきながらも、神起三叉戟を頭上に振りかざすが、もう一撃も放つ力は残っていなかった。
そんなみかんの体を、埜乃が支え。
その
…ふひ…っ……ふひゃ…は…
能面が嗤う。
茫然自失の御子たちの足下を、
富士川の橋で待機していた自衛隊が騒然とし出した。
「御子が突破されたらしい!……こっちに来るぞ!」
「橋の爆破準備は?」
「いつでもいけます」
爆破起動のキーが回され、起動ボタンが赤く点灯した。
東京駅の特0の特殊車両内。
供物の
……あの木の根のようなモノ……あれだ……
この“能面”は、鬼魔蟲から妖力を吸収している。
つまり、車両内にパンパンに詰まった蟲鬼の群れは、
「…くっ…そ……止まらんぞ…」
五郎は歯噛み、モニターを見上げる。
「大丈夫、五郎ちゃん。二の矢は、準備してあるのです」
それまで黙って戦況を見つめていた紫兎が、コンソールパネルに指を走らせながら微笑んだ。
「二の矢?」
……そう、奥の手…
「
“能面”新幹線が爆進する線路上で。
ひときわ大きな
赤とオレンジ色の巫女装束に、
「ウチの出番じゃけんね。
「なっ!?…紅葉だと!?」
メインモニターを見上げる五郎の口が、馬鹿みたいに開いたままになった。
……広島の御子が、なぜ…そこにいる!?
さらに…
なんと、大分の御子、
「…ぇっ?…嘘やろ…大分のけむりちゃんまで……」
いちみも唖然と見上げる。
いくら最高時速500キロのSMT194だとしても、彼女たちの地元からこの短時間で、到底駆けつけられる距離じゃない。
なぜだ?…と振り向く五郎に。
紫兎は、クスッ…と。
「説明は後でね…」
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