ダンジョンの街カルセドニー
1
それにしても、何度(2回だけど)乗っても馬車はお尻と腰が痛くなるな。
そんな事を思っていたら
「私前々から、思っていたんですけど……りん君って聖女様に生まれるはずだったんですよね」
シンシアさんが真剣な眼差しで私を見て言い出した。
「なので、りん君の事をこれからは、りん様とお呼びした方がいいのでは、ないかと思ったんです。だからりん様とこれからお呼びしますね!」
えぇーとっぜんなにを言い出すのかと思ったら、何を言い出すんだこの人は少し混乱気味の私だ!?
落ち着け、私!とりあえず深呼吸だ……スーハースーハー……よし、これで少し混乱がとけたぞ!
「えっと、シンシアさん、あのですね。私は今は聖女とかじゃなくて、ただのゴブリンなので様と付けないでください」
「いえ!そんな事はできません!りん様は神聖魔法を使い黒金様を従えている方なので!」
うーん……どうしよう、シンシアさんに変なスイッチ入っちゃってるぞ。
「あのですね。シンシアさん「あと、私の事はシンシアお呼びください」」
えぇ……完全に変なスイッチ入ってるな、そうだ!ここはナユナに助けてもらう。
私はナユナを見て見たら
「……そうですね。りんさんって聖女に生まれ変わるはずだったんですよね……わたしもやっぱり……りん様ってお呼びしないといけないかも……」
あぁ、なんかナユナまで変なスイッチ入っちゃったよ!?
そうだ!こういう時こそ
前にガイ達の状態異常も回復できたしね。
「二人とも落ち着いて……ヒール」
「……これが!聖女の神聖魔法……!あぁ、なんて素晴らしい魔法なの!」
あっこれ、逆効果だったは!
うーん……これはどうしよう……考えるのも、面倒になって来たし。
もうこれは、どうにでもなれ~
「シンシアさん、ナユナ落ち着いて!私に様なんて付けなくていいですから」
「はっ!すみません。前にりんさんに言われてたのに……」
ナユナは元に戻ってくれたけど、問題はシンシアさんだ。
「シンシアさん、前に私が神聖魔法が使えるのがバレたら暗殺される。危険があるって言ったじゃないですか、だから、様付けで呼ばないでくださいよ」
そう私が言ったら
「そうでした!私ったらりんさ……りん君とパーティが組めた事に舞い上がってました……ではこれからは、りんさんってお呼びさせていただきますね」
あっシンシアさん私の事は様って付けそうになったな、そしてシンシアさんが私をさん呼びで呼びたいみたいだけど……
「シンシアさん、今までの呼び方でお願いします。むしろ呼び捨てでも構いませんよ」
と私はシンシアさんに言った。
だって、シンシアさんってSランク冒険者だよ、ギルドの受付をやってる時はさん付け敬語でもいいだろうけど、だけどこれから、SランクとDランクが身分違いのパーティを組むだよ、絶対に他のパーティの注目の的になりそうだから、敬語も辞めてもらう事をシンシアさんに伝えたら
「わかりました。そうですね。私達はパーティを組むんですもんね……りん君、ナユナさんこれからもよろしくね。だから、りん君もナユナさんも敬語はやめてね」
シンシアさんが納得してくれたけど
「いや、シンシアさんって年上ですし、それに冒険者の先輩ですから、私はこのままで話しますよ」
「はい、わたしもです」
私がそう言うとナユナも便乗して言った。
「二人ともずるい~!」
とこんな感じにシンシアさんと打ち解けられた。
しばらく馬車に揺られながら、二人とたわいもない話をしていたら、馬車がとまった。
「あれ?もうカルセドニー着いたんですか」
私がシンシアさんに聞いたら
「りん君、まだカルセドニーじゃないわよ。これは馬をちょっと休ませるための休憩よ」
そうか、まだカルセドニー着かないのか、カルセドニーって遠いんだなってな事を思ってたらシンシアさんが
「ずっと、座りっぱなしだったし、他の乗客も外に出てるから、私達も外に出ましょうか」
「うん、私も外に出て気分転換したいかも」
「そうですね。ちょうどお昼ですし外に出てお昼ご飯でも食べましょうか」
ナユナが時計を見て言った、そうかお昼かだから少しお腹がすいてたんだってお昼って聞いたら余計にお腹が空いてきたよ!
外に出て辺りを見回すと他の乗客もそれぞれの場所でお昼ご飯を食べていた。
「お昼ご飯にとナックさんがお弁当を持たせてくれたので、それを食べましょう。量が多いのでシンシアさんもご一緒に食べてください」
そう、ナユナが言うとナユナがいつものバッグからお弁当と飲み物を取り出した、取り出したお弁当は時間が経ってるのに出来たてのままのようだった。
「ナユナさんって空間魔法が使えるから、ダンジョンの中でも新鮮なご飯が食べられそうね」
シンシアさんがボソッと独り言を言った、私はその独り言が気になったのでシンシアさんにどういう事か聞いた。
「シンシアさん、新鮮なご飯ってどういう事なんですか?」
「そうか、りん君はダンジョン初めてなんだもんね。そうね、ダンジョンの中って広いからダンジョンを攻略してる時はダンジョンに入ると何日もダンジョンに潜ってないといけないの、だから、普通のパーティだと食料が日持ちする物しか持っていけないから、空間魔法を持ってる人やアイテムボックスを持ってる人が居ると食事の幅が増えるから、パーティ勧誘とかが凄いのよね」
「それは、勧誘凄そうですね」
なるほどな、日持ちする物って事は干し肉とかビスケットみたいな物とかだろうし、確かにそればかり食べてたら、飽きるだろうなって事は私のパーティはナユナが居るから恵まれてるんだな。
私はナユナの顔を見てナユナありがとうって心の中で感謝して見たけど、ナユナは、不思議そうな顔をして私を見返してた、まぁ、そういう反応になるよね。
そして私達がお昼を食べ終わると、馬達も充分休憩がとれたのか、馬車の御者が馬車に戻るようにと言ったので、次々と乗客が馬車に戻って行ったので、私達も馬車に戻った。
そしてしばらく経つと、また馬車が走り出した。
「シンシアさん、後どのくらいでカルセドニー着きますか?」
「そうね。途中休憩も入れてあと7~8時間くらいかしら」
シンシアさんが時計を見て言った、えぇーそんなにかかるのか。
私達はしばらくしたら、話すこともなくなってきたので各々好きに時間を潰した。
ナユナは前に馬車に乗った時みたいに、本を読んでいるし、シンシアさんは椅子に立てかけてあるクロをじーっと見てるけど、ちょっと怖いので見なかった事にしよう。
たまにクロからのSOSが来るが多分シンシアさんがパーティにいる時はこういう事も多いだろうから、クロ頑張れっと応援しておいた。
うーん、私はやる事もないから、寝るかな……zzz……
「りんさん、りんさん、起きてください」
私は肩を揺すられて目が覚めた。
「はっ!ナユナおはよう」
「はい、おはようございます。りんさんぐっすり寝てたのでもう少し寝かせてあげたかったんですが、カルセドニーに着いたので起こさせてもらいました」
「えっ!カルセドニーに着いたの!?」
「そうよ。りん君がぐっすり寝てた間に着いわよ。さてと、私達が最後の乗客だから、さっさと降りましょう」
「そうですね。早く降りないと御者さんに悪いですから、りんさん降りましょう」
「うん……」
やっぱり時間つぶしには寝るのが一番だね……そんなわけで、寝てる間にカルセドニーに着きました。
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