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何とか、シンシアさんが別の世界から、戻ってきてくれて話し合うことが出来るようになった。
「すみません。何度も取り乱してしまって、それでは、気を引き締めてダンジョンの話をしますね」
「はい、お願いします」
「今、カルセドニーのダンジョンは活性化してまして、そこで出る魔物達も、活性化の影響で強くなってます。なのでりん君のレベルあげには最適なダンジョンなんですよね。ただし、活性化したダンジョンはダンジョン内部が再構築化が起きてしまうので、今まで使っていた地図がまったく役に立たなくなります……でも、安心してください。私、地図のマッピングが得意なので大船に乗った気持ちでいてください」
そうか、今までの地図が役に立たなくなるって事は地図が読めない私と何とか地図にマッピングをする事が出来るナユナでダンジョンに入ったら……
うーん……高確率でダンジョンで迷子に……と私は思った時にライカさんの『 いくら、りんちゃんが強くてもダンジョンで遭難したら、死ぬことになるかもしれないんだよ』って言葉を思い出してた……そうだな、迷子じゃなくって遭難するかもしれないんだな……でも、シンシアさんが来てくれるなら、安心だな。
「そうだね。今ダンジョンは再構築化してるから、オレよりもマッピングが得意なシンシアさんが居ればダンジョンで迷う事はないから、安心だね」
ライカさんも太鼓判を押してるし、マッピングはシンシアさんに任せようっと。
それと、ダンジョンを攻略しながら、シンシアさんにマッピングの仕方も教えてもらう、今後役に立つと思うしね。
「それでは、カルセドニーに向かうのは明日でよろしいでしょうか」
「はい、わたしはそれで構いませんよ」
「私も明日で大丈夫ですよ」
「そうか、明日には、りんちゃん達居なくなっちゃうんだね。オレもりんちゃん達とダンジョン行きたかったけど、ここの調査もあるから、行けないんだよね……そうだ!シンシアさんオレと変わってくれない?」
「いやよ!せっかくの有休なんだから、なんで仕事をしなきゃならないのよ!それに私の有給消化は全部、ヴェルザンディ教関連で使いたいのよ!」
「アハハ、冗談ですよ。シンシアさん、でも本当、シンシアさんは熱心なヴェルザンディ教信者ですね」
ライカさんも言ってるけど、本当にシンシアさんって熱心なヴェルザンディ教信者なんだな。
「ライカ……言っていい冗談と言っちゃダメな冗談がある事くらいわかるわよね……」
シンシアさんが静かに怒った声でライカさんに言った……シンシアさんめちゃくちゃ怖いんですけど。
私はライカさんに早く謝ってくださいよと言う表情してライカさんの方を見たけど……私って仮面を付けてるから、意味ないじゃん!
でも私の想いが通じたのか、シンシアさんが怖かったのかどっちか、わからないかどライカさんは
「ごめん、シンシアさん、軽い冗談だったんだけど、ここまで怒るとは思わなかったよ。本当ごめん」
ライカさんが素直に謝ったら、さっきまで静かに怒ってた、シンシアさんが
「わかればいいのよ。次やったら、私の最大火力の魔法が飛んでくると思う事ね」
と言ったけど、以外にシンシアさんって暴力系なんだね、もう少し冷静な人なのかと思ったけど……あっでもクロ関連の事を見てると。
うーん、やっぱり残念な人かも知れないな。
「シンシアさんの最大魔法なんて食らったら、オレ一瞬で消し炭になっちゃうから、ハハ……」
シンシアさんの魔法ってSランクのライカさんを一瞬で消し炭にしちゃう程なんだ……私にはバリアがあるけど、シンシアさんを怒らすことはしないでおこうっと……
「ゴホン、何度もお見苦しい所を見せてしまって、すみません」
「いえ、大丈夫ですよ。寧ろ私は意外なシンシアさんの一面が見れて、良かったですよ」
「それはそれで、恥ずかしいですね……あっそんな事を話していたら、もうこんな時間なんですね」
シンシアさんは部屋に置いてあった時計を見て言った、私もつられて時計を見たら、もう夜の10時になっていた。
「結構、遅くまで話してしまいましたね。りん君達が泊まってる場所はギルド宿舎じゃないんですよね」
私はシンシアさん問いかけに頷いた。
「そうですか、私は今日は宿舎に泊まるので明日の待ち合わせは朝ギルドの食堂で待ち合わせでもいいですか」
「はい、そこで大丈夫ですよ」
「それでは、明日、食堂でお会いしましょう」
「それじゃあ、私達は宿に帰りますね。シンシアさん、ライカさん」
「はい、気をつけて帰ってくださいね。また明日ね、りん君、ナユナさん」
「はい、ありがとうございました。シンシアさん、ライカさん」
「うーん、この街は安全な街だけど夜も遅いし、宿まで送っていこうか二人とも」
ライカさん紳士だわ、でもライカさんも言ってたけど安全な街だから大丈夫だし、気持ちだけ受け取っておこうっと。
「ライカさん、心配してくれてありがとうございます。でも、二人で帰れるのでお気持ちだけ受け取っておきますね」
「そうかじゃあ、二人とも気をつけてね、バイバイ」
ライカさんとシンシアさんに見送られて私達は癒しの小鳥亭に帰った。
◆◆◆
さてと、朝になり私達は身支度をして、下に降りてナックさん達に別れの挨拶をしに行った。
「ナックさん、ククルさん今までお世話になりました」
「いやいや、こっちこそ、命を救ってくれてありがとうね。またこの街に来たら、うちに泊まりに来てよ。最高のおもてなしをするからさ」
「はい、またこの街に来たら、ここに泊まりに来ますね。ココナちゃんもいろいろとありがとうね」
「うん、りん君またこの街に来たら、今度は色々な冒険したお話をしてね」
そう言えば、たまに暇な時にココナちゃんとお話したな。
「うん、今度この街に来たら、今度はダンジョンに行った話をしてあげるね」
「本当!約束だよ」
ココナちゃんが私の両手を掴んでブンブン振り回った。
「うん、約束するよ。それじゃあ私達は行きますね」
「気をつけて行くんだよ」
「はい、ありがとうございました」
向こうでナユナがククルさんに別れの挨拶をしていた。
「それじゃあ、ナユナ行こうか」
「はい、行きましょうか」
ちょっと寂しい気分になったけど、レベルを上げて進化したら、またこの街に戻ってこよう。
◆◆◆
私達は、昨日約束した待ち合わせ場所のギルドの食堂に来たら、奥の席で座っていた、シンシアさんが手を振ってくれた。
「おはようございます、シンシアさん」
「りん君、ナユナさん、おはよう」
と私とナユナがシンシアさんに挨拶をしたら、シンシアさんも挨拶をかえしてくれた。
そう言えば、私はライカさんが居ないことに気がついてシンシアさんにその事を尋ねてみた。
「そう言えば、ライカさんは一緒じゃないんですか?」
「あぁ、ライカでしたら、今朝早くに緊急依頼が来たので、依頼を受けに行ったのでこの街にはもう居ないんですよ。お二人には見送りが出来なくてごめんねと言ってました」
そうか、ライカさんは、もうこの街には居ないのか、なんかいつもちゃんと挨拶が出来ないままお別れしてるなって事をシンシアさんに伝えたら
「そうですね。Sランクを隠してる冒険者って結構いろいろとギルド的には使いやすいから、忙しくなるんですよね」
へぇーそうなんだ、だったらなんで隠してるだろう?
「あっ、今りん君達はなんで、Sランクを隠してるんだろって、思いましたね、実はSランクだと公表してると、何年かの周期でギルドマスターをしないといけないんですよ、結構これが大変なので、Sランクを隠してる人が何人か居るんですよね」
なるほど、Sランクになると管理職もしないといけないんだ、それは大変だな。
「それじゃあ、馬車が出る時間もそろそろなので行きますか」
シンシアさんが椅子から立ち上がって言った。
私達も頷いて椅子から立ち上がって出口へと向かった、その時に
「あっ、りん!」
私を呼ぶ声が聞こえたのでそちらの方へ向いたら、ガイ達が私を呼んだみたいだ。
「ガイ、どうしたの?」
「いや、お前達が居たから、今日も残党狩りでも誘うと思って声をかけたんだ」
「ごめん、私達ライカさんの知り合いの人が来たから、これからカルセドニーまで行くんだ……だから、今日でみんなとお別れなんだけど、最後に会えてよかったよ」
「まぁ、寂しくなるけど、頑張れよ」
「ガイったら素っ気ないわよ。りん、ナユナまた会った時はまたパーティ組みましょうね」
「うんうん、本当ルフラの言う通りガイって素っ気ないよな。りん、ナユナ、オレが言うのもなんだけど、二人とも気をつけてね」
と三人が思い思いに別れの挨拶を言ってくれた。
「うん、三人ともまた会ったら、パーティ組もうね」
「皆さんお元気で、またお会いしましたら、その時はよろしくお願いします」
「ナユナは最後まで敬語なんだな。次会った時はタメ口で話してくれよ。それじゃあ、気をつけてな」
まぁ、そんな感じで三人と別れた、次会う時は進化して仮面を外した素の私でみんなに会いたいなって思いながら、私はギルドを出た……
◆◆◆
「この馬車に乗ってだいたい1日くらいしたらカルセドニーの街に着きます」
とシンシアさんが教えてくれた馬車に三人で乗って、馬車の支払いはシンシアさんが出してくれたのでお礼を言いつつ、私は今回も馬車代が浮いた事が嬉しいなってちょっと下衆な考えをしていた私だった……
そして、しばらくしたら、馬車が出発した。
私は馬車の窓を見ながら、この街では本当いろいろな事が合ったな、ナックさんに会ったり、最初はガイ達に因縁を付けられたけど、和解して仲良くなったり、あと、オークの巣壊滅とボスオークを倒したから報奨金もいっぱい貰えたり、そのおかげでしばらくは、お風呂付きの部屋に泊まれるな……って考えてたら……何か忘れてるなって思っていたら、クロの鞘を作るのを忘れてた……
これは後でクロがうるさく言って来そうだなって事を考えると頭が痛くなるな……そんな私を乗せて馬車はカルセドニーに向かうのであった。
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