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森から出て、1時間くらい歩いただろうか、道が舗装されていて歩きやすくなってきた。
「りんさん、そろそろ街に近づいて来たのでこの仮面を被ってください」
「うん!わかったよ」
この仮面って目立つだよな、ナユナはそんな事ないって言ってたけど、街でいい感じの仮面があったら買うっと!
「あ!そう言えば黒金様をどうしましょう!」
「あっ!そうだ、忘れてた!!」
昨日から色々な事がありすぎて忘れてたけど。
普通、剣がふよふよと浮いてたら駄目じゃん!!
「うーん……どうしよう……そうだ!ナユナの空間魔法で一時的にクロを入れておくのはどうかな!」
「それは無理ぞ。我をナユナが作る亜空間に入ったとしても、我の魔力が邪魔をして、ナユナの亜空間に亀裂が入り亜空間事態が消滅してしまうぞ」
「はい、黒金様は普通の武器と違うので、私の作る亜空間ではすぐに壊れてしまうと思います」
「そうか……」
いいアイディアだと思ったんだけど、ダメか……
それにしても、クロってごつい大剣だから、目立つんだよね。
そんな大剣を子供みたいな、私が持ってたら目立つから、ナユナに持ってもらうかな。
それと、鞘がないから刃が剥き出しなんだよね。
ナユナ、クロを包める大きさの布持ってるかな?
「ナユナ、街の中ではナユナがクロを持ってくれる。こんな小さな私が持ってるより、ナユナが持ってる方がまだ怪しくないから、あとクロを包めるくらいの布、持ってる?」
「はい、ちょうどいい大きさの布ですね。今出しますね」
「ありがとう、ナユナ」
クロを包めるくらいの大きさの布受け取った。
「それじゃあ、クロ布に包むから、布の上に来て」
「うむ!?我はこんな布ではなく、せめて鞘に入りたかったぞ」
《 えぇー!りん、本当にこれに包まらないとダメ?!布じゃなくて持っと立派な鞘に入りたいよ!!》
クロがブーブー文句を言うのを聞きながら私はクロを布で包んだ。
《 ブーブー文句を言わないで、今はこれで我慢してよ!街で鞘を作ってくれる所があったら、そこで鞘を作ってあげるから、それとも街の外で待ってる?》
《 1人で、待つのはイヤだから、この布で我慢するよ!街で鞘作ってくれる所があったら、かっこよく作って貰ってね!》
《 わかった、わかった。かっこよく作ってくれるように言うよ》
《 本当!絶対だよ!約束だよ!!》
なんとか、クロを宥めて、布に包んだ。
「それじゃあ、ナユナ、クロを願いね」
「はい!わかりました……伝説の神武を持てるなんて、感激です!」
感激してる、ナユナにクロを渡したら……ドシーンと音と共にナユナがひっくり返って、クロの下敷きになってた!
「グッ!くっ黒金様が……おっ重いです……!!」
「だっ大丈夫!?クロって!そんなに重かったけ?!」
「うむ……すまぬ……忘れていたが、我は主と認めたもの以外が持つと、重くなってしまうのだ……すまぬ……言い忘れておった」
「ちょっとクロ!そう言う事はちゃんと言ってよ!ナユナ大丈夫?怪我してない?」
「ちょっと、尻もちをつてしまったけど、大丈夫です」
とナユナが言ってたけど、念のためにヒールを掛けておいた。
「ありがとうございます。りんさん……でも、わたしが持てないとなると、結局りんさんが持つことになりますね」
それは困ったな~目立たない為にナユナに持ってもらおうとしてるのに、これじゃあ意味がないや、仕方ない……
「クロ、ナユナが持てないなら、意味が無いから街の外で待っててよ」
「オッ我も街に行きたいぞ!……しばし待たれよ……」
あっ!クロの奴一瞬だけ、素に戻りかけたな!
ってな事を考えていら、クロが光だし、少しずつ縮んでいった!
私たちはクロが縮み終わるまで呆然と見ていた。
「うむ!もう一つ忘れておったが、我は大きさを自由に変えられるのだった!これなら、りんが持っていても怪しくないだろう」
短剣サイズになったクロが偉そうに言った……このサイズになれるなら最初っからなってよー!
「クロー!!短剣サイズになれるなら最初っからなってよー!だいたいさっき、イノシシ茸を倒す時にそのサイズだったら、私はちょっとは、上手く立ち回れたよ!そのサイズなれるなら最初っからなってろー!」
「うっ……うむ……すまぬ……」
「でも、このサイズならりんさんが持っていても大丈夫ですね!ちょっと待っててください、良いものがあるので!」
とナユナがカバンをガサガサ漁ってた。
そこから出てきたのはベルトだった。
「このベルトをりんさんの腰に巻いて、黒金様をベルトに挿せば、これで完璧です!」
「ナユナ、本当にナユナが居てくれてよかったよ~」
「うむ、ナユナよ。礼を言うぞ」
「いえいえ、お役に立てて良かったです」
何度も思うけど、本当にナユナが居てくれてよかった~
あと、クロは忘れてる事が多すぎるぞ!
「あとは、街道を真っ直ぐ歩けば最果ての街、ジルコンに着きます」
「街の名前ジルコンって言うんだ。あと気になったんだけど、最果ての街ってどう言うこと?」
「えっと、今から行く街はこの大陸の一番南の端っこにある街なんです。そしてりんさんが居た森は、最果ての森と呼ばれてまして、たまにわたし見たいな冒険者が薬草を取りに行く、くらいな森なんですよね。だからゴブリンたちが巣を作ってるのにはビックリしましたよ……」
「そうなんだ。ここって大陸の端っこなんだ……」
「はい、もっと北の方に行くと、この国の中心地の帝都があります」
「へぇ~、そうなんだ」
まぁ、今の私には帝都に行く用事もないでしょう……一応頭の隅にでも入れておけばいいかな。
「あ~!街が見えてきましたね!あそこがジルコンです」
よーく見ると城壁に囲まれた街が見えてきた。
「うん!見えてきたね。最果ての街って言ったけど、結構大きな街なんだね」
「はい、確かに人口が30000人くらいだったと思います」
30000人か中世風な世界だから多い方なのかな?
そんな事を考えていたら……城壁の門に着いたけど……
「ナユナ、門番が居るけど、身分証とか無くても平気なの?」
「あぁ、多分大丈夫ですよ。私の身分証があるので私の親戚の子って言えば多分大丈夫だと思いますよ」
えぇ~それで通してくれるの?適当過ぎない!?
そしたら、門番がこちらに気づき……
「あ、ナユナちゃん、昨日は森に行くって言ってたけど、帰って来なかったから、心配したよ。あれ、その子どうしたの?」
「あっ、この子ですか親戚の子なんです。昨日は森じゃなくって、しばらくこの子を預かるために親戚の家に行ってたんです」
「そうだったんだ。安心したよ!最近オークがうろついてる噂を聞いたからもしかしたら、オークにでも襲われたのかと思ったからさ、あっそうだ、君お名前は?」
ゴブリンの次はオークか……
優しそうな感じの門番が私の名前を聞いてきたので
「……りんです」
「そうか、りん君でいいのかな?その仮面かっこいいね!あとお顔が見たいからその仮面外してくらないかな?」
「……」
今は性別が男なのでとりあえず頷いた……やばい、大丈夫だって言ってたけど、やっぱりこの仮面怪しいじゃん!
「あっあのう、その子顔に大きな傷痕があって……それを隠すために仮面を付けてるので……あの」
「そうだったんだ……ごめんね……ナユナちゃんとりん君、もう大丈夫、通っていいよ」
と勝手に門番さんが納得してくれたので街に入れました……
「ナユナ!今の危なかったじゃん!」
「えっと……あの門番さんは優しい人なので、りんさんの顔に傷痕があるって言えば大丈夫だと思ったんですよ!実際に何とかなったんで良かったですね……」
ナユナの目をジーッと見ていたらすごく目が泳いでた……
ナユナは、頼りになることもあるけど今回のでちょっと不安が残る私であった……
けど!これから、冒険者ギルドに行くのにちょっとわくわくしてる私がいるのであった!
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