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「このまま順調に行けば、あと少しでこの森を抜けられますよ」


順調って言われると、何かのフラグが立った気がするのは私だけか!?


「ナユナはこの森によく来るの?道に詳しいみたいだけど」


「たまにギルドで依頼されている。薬草が森の入口辺りに生えているので、それを取りによく来ます。あとたまにうさぎゆきと言う魔物が居るのでそれを見かけたらそれを狩ったりしますね」


うさぎゆきって兎みたいな魔物かな、たまにゴブリンたちが食べてたなそう言えば……


「あと、昨日はイノシシ茸を見かけてそれを追いかけていたら、森の奥まで来てしまって……ちょうど倒したイノシシ茸をしまってる時にゴブリンに見つかってしまって……その後は……りんさん昨日は本当にありがとうございました!!りんさんが居なかったら、わたし今頃……っぐすん」


「ごめんね。嫌な事思い出させちゃって……」


「いえいえ、わたしが迂闊だったんです。まさかゴブリンがこの森に居るとは思いませんでした」


まぁ、私が人間だった頃にゴブリンに捕まってたら、トラウマものだわ

ナユナも早く忘れられるといいけど……と思ってたらナユナの後ろの茂みがガサガサと揺れてそこに現れたのは……


「ナユナ後ろ!イノシシ茸!」


「え!あぁ!!」


ナユナがイノシシ茸を見る目は獲物を発見した、肉食獣の目のようだった?!


「りんさん!!イノシシ茸絶対に倒しましょう!」


「え!あぁ、うん」


思わず頷いたけど、ナユナの目が怖いんだけど……


イノシシ茸は少し戸惑って動かなかったがターゲットを私に決めたのか私の方に突進して来た!


《 りん!オイラを使って!》


そうだ!今の私は昔の私じゃない!なんでも切れる剣クロを持っているのだ!

さぁ!こい!このイノシシが!叩き切ってやる!!

クロを構えて私がイノシシを叩き切ろとした時、突然ドーンと音がした……どうやら私はイノシシに跳ね飛ばされたようだ……それを理解した後に強烈な痛みが身体に走った!?

このままじゃ、やっヤバい……!痛いのを通り越して意識が落ちかけてる……


「ヒ……ヒール」


なんとか気絶する前に回復できた!危なかった……!

離れたところから二人の声が……


「りんさん!大丈夫ですか!?」


《 りん!大丈夫!!》


「大丈夫!今回復したから!」


どうやら二人を心配させてしまった、そんな事を考えていたら、両手に持ってたクロが居なかった……って!ヤバいあのイノシシ私をまたターゲットにして来たのか、またこっちに向かってきた!!私は慌てながらイノシシの突進を避けていた!

クロどこだ!クロが居ないと攻撃もできないよ……!そんな事を思ってたら、クロが私の手に帰って来てくれた?!


「クロー!おかえりー!!怖かったよ~!!」


《 りん!混乱してないで!神聖魔法を使うんだ!盾を作る感じでバリアを張るんだ!》


「わかった!盾を作る。作るんだね!?」


全身に盾を張る感じでバリアでいいんだよね?


「バリア!?」


ちょうど私が魔法を唱えた時にイノシシが突進してきた!

フッフッフ馬鹿め!わた…………私はまた……イノシシに跳ね飛ばされたようだ……

あれ?なんで?全身にバリア張ったのに?!

ドサッと地面に落ちたけど今度は痛くなかった?!

そしてまたイノシシに跳ね飛ばされた……!?

あれ?これって私の体がバリアでコーティングされてる感じ?!イメージと違う!!

何度か……跳ね飛ばされては落ち、跳ね飛ばされては落ちを繰り返してると……


「風よ刃となれ!」


ナユナの声を聞いた後に……スパッーと音がした方を見たら、イノシシの首がぱっくりと切れていた!!


「りんさん!大丈夫でしたか?!」


「うん!うん!大丈夫!イノシシを倒したのってナユナ?」


「はい、本当はもっと早く助けたかったですが……魔法がりんさんに当たりそうだったので、すぐに助けられなくて、すみません!」


「大丈夫だよ!助けてくれて、ありがとうね!ナユナが居なかったら、私……一生イノシシのボールになってたよ!」


「うむ、ナユナの風魔法、見事であった」


「ありがとうございます。黒金様」


「それにしても、りんよ!我の主であるのに我を使いのなせなくてどうする!」


「……」


せっかくチート武器とチート魔法があるのに使いこなせてないなんて……ぐうの音もでないよ!

これから、頑張って使いこなせるように頑張ろうっと!


「りんさん、大丈夫ですか?さっき吹き飛ばされてたから、痛いところでもあるんですか?」


「大丈夫……怪我は魔法で治したから、それにしてもナユナの魔法ってやっぱり凄いね!でもなんで風の魔法なの?」


「いえいえ、そんな事ないですよ。風の魔法にしたのは、火の魔法だとここは森なので火事になる危険もあるので使わなかったんです。あと、イノシシ茸はなるべく傷がついてない物の方が高く売れるので!」


最後の高く売れるって言った時のナユナの目が鋭く光ったような気がした?!


「それじゃあ、このイノシシ茸もしまいますね」


嬉しそうにナユナはイノシシ茸をしまった。


「そう言えば、ナユナ魔力大丈夫?」


「あっ!今ので少ししか魔力が残ってません」


「ヒール!」


「やっぱり凄い……魔力が戻りました。ありがとうございます」


「いえいえ」


よし!今の私は魔法でナユナの魔力を回復することしか出来ないけど、少しはパーティの役にたったな!



◆◆◆




「ここを抜けると森の出口です」


ついに私は森を出ることが出来たー!

昨日まではゴブリンの村で一生を終えると思ったけどナユナに会いクロに会い

そしてついに森を出ることが出来てー!

次は街に行ける!やったー!


「ここから、歩いて3時間くらいなんだよね?」


「はい、そうです、イノシシ茸を倒すのに時間がかかちゃいましたが、今からならお昼すぎくらいには着くと思います」


「そうか、お昼すぎか……そうなるとお昼は街の外で食べるって感じか……」


せっかくお昼は街で食べたかったのに、あのイノシシめ!


「あっ、冒険者ギルドなら、24時間ご飯が食べられる所があるので、魔物を買取してもらう時に時間が掛かるから、そこでお昼にしましょうよ!」


「うん!そうしよう!」


あぁ~どんなメニューがあるんだろう楽しみだな!

本当に私は食いしん坊キャラだな~

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