はじめての街へ

1


昨日は興奮して眠れないかと思ったけど意外に寝れるもんなんだな……

しみじみ思ったけど、そう言えば昨日は色々な事があったから、結局疲れて寝てしまったんだな……


「おはようございます。りんさん」


「おはよう。ナユナ」


「昨日はりんさんの結界のおかげで安心して眠れました!」


「それは良かったよ。普通は野宿の時は見張りが必要なんだっけ?」


「えぇ、ここみたいに森の中だと魔物が出たりするので見張りとかが必要ですけど、安全な街道沿いとかで野宿する時は盗賊が頻繁に出る所じゃなければ、一人でも野宿が出来ますよ」


「そう言えば、たまに野宿するって言ってたもんね」


「はい、わたしまだ駆け出し冒険者なので、街から街に移動する時は普通は乗合馬車を使うんですが、お金が余りないのでわたしはほとんど徒歩で移動してます。だからたまに野宿してるので野宿は得意なんですよ!」


とナユナは言ってるけど女の子一人で野宿って危なくない?!

そんな事を考えてると


「りんさん、わたしはもう顔も洗ったので、これから朝ご飯の支度をしてますので川で顔でも洗ってきてください」


「あっうん!それじゃあ顔洗いに行ってくるね」


「我も一緒に行くぞ」


「顔洗うだけだから、付いてこなくてもいいよ」


「いや、付いていく、りんは我の主なのでな」


「わかったよ。付いてきていいよ。それじゃあ、ナユナ行ってくるね」


「は~い!いってらしゃい」


昨日もそうだけど、やたらクロは私に付いて来たがる。

なにか理由でもあるのかな。


《 クロなんで、そんなに私に付いてくるの?結界もあるしこの辺安全だから付いてこなくてもいいのに》


《 だって、ナユナと二人だけだとボロが出そうなんだもん。だからりん、オイラがボロを出しそうになったら、フォローお願いね》


《 だったら、今のままで話せばいいのに》


《 それはダメだよ。本当はりんの前でも威厳がある感じで、いきたかったんだけど、りんの前で素が出ちゃったから、りんの前では素でいるけど。これ以上バレたら、女神様のお姉ちゃんに怒られちゃうよ》


前も思ったけど、どんだけ怖いんだ女神の姉!

まぁ、しょうがない、クロには手違いとはいえ命を助けてもらったんだから、ボロが出そうな時はフォローしてあげようっと



◆◆◆



顔を洗い終わって帰ったら、ちょうど朝ごはんが出来上がってた。


「おかえりなさい。りんさん、黒金様、ちょうど今ご飯が出来上がったところです。それじゃあ、食べましょうか」


「うん、お腹すいてたから、早く食べれるのは嬉しいけど。ナユナご飯作るの早いね。凄いよ!」


「いえいえ、昨日残ったスープと、あとはパンと卵を焼いただけですから、そんなに凄くないですよ」


とナユナは謙遜してるけど、スープを温め直すにも火が必要だし、もちろんパンと卵を焼くにも火が必要だ、こんな短時間で火を素早く起こすなんて、ナユナは凄いな。

さすが、野宿になれてるって言っただけはあるな。


「だって、こんなに火を起こすの早いしさ~」


「火を起こすのは簡単ですよ。見てて下さいね」


ナユナが「炎よ」っと言ったら指先からライターくらいの大きさの火が出ていた。


「こんな感じで、火を起こすので簡単なんですよ」


「そうか、ナユナって火の魔法も使えるんだったね」


「はい!」


何だかんだで、やっぱりナユナは凄いのであった。


「それじゃあ、ご飯が冷めちゃうので、食べましょうか」


「うん!それじゃあ、いただきます!」


あぁ~やっぱり、ちゃんと調理されてる、食べ物って美味しい~

それにナユナの料理の腕が良いから、パクパク食べちゃえるよ。


「りんさん、まだおかわりあるのでなくなったら言ってください」


と言ってくれてる間にもう、スープがなくなったので


「ナユナおかわり!」


「はい、どうぞ、たくさん食べてくださいね」


あぁ~私は今とてもしあわせだな~ゴブリンだけどさ~!


「ごちそうさまでした!ナユナの料理美味しすぎだよ。また料理作ってね」


「そんなに喜んでもらえて嬉しいです!これからもいろいろ作りますね」


「うん!たくさん作ってね!それじゃあ、私は食べてばかりじゃ悪いから、食器を洗ってくるね!」


「ありがとうございます。その間わたしは、旅の支度をしてますね」


「うん、じゃあ、行ってくるね」


「はい、よろしくお願いしますね」


やっぱり、食べてばかりじゃダメだからね。

少しはお手伝いしないと!



◆◆◆




「はい!これ洗った食器」


「ありがとうございます。こっちも旅の準備が終わった所です」


小さいカバンに食器を入れながらナユナは言った、それにしても空間魔法便利でいいな~


「ナユナの空間魔法って便利でいいね。あと気になったんだけど、なんで日用品はそのカバンに入れてるの?」


「あぁこれですか、これはですね……前に狩った魔物と日用品や衣服を一緒に入れていたら、亜空間で混ざってしまったみたいで、日用品や衣服が血塗れになってしまって、日用品は洗えばなんとか使えたんですけど、衣服はほとんどダメになってしまったので……それで今は、空間を分けるためにカバンの中に日用品や衣服を入れてるんです」


「そうだったんだ。空間魔法って難しいんだね」


「うむ、確かに空間魔法は難しいと聞く、未熟者が失敗して出す物を間違えて潰されたと言う事故もよく聞く」


「あぁそれ、わたしも昔やった事があります。幸いそんなに大きい物じゃなかったので助かりましたけど。あれにはビックリしたな~……」


「へぇ~空間魔法って便利に見えるけど。とんでもない失敗とかもあるんだね」


「でも、なれてしまうと手放せない魔法なんですよね。旅をする時に大きい荷物とか持たないですむので」


私には使いこなせそうにない魔法だな、なんか失敗して荷物に潰されそう……


「それじゃあ、食器もしまいましたし。これから森を抜けて街まで行きましょうか」


「うん!そうだね。出発しよう!」



よし!街に行くぞ!そして美味しいお昼ご飯をたべるぞ!

だって、ナユナの作ってくれた美味しいご飯とか食べたら、ゴブリンの村での食事には戻れないもん!

どうやら、私は食いしん坊キャラになってしまったみたいだ!!

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