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久しぶりの人間らしい食事だったのと、イノシシ茸がとっても美味しかったから沢山食べてしまった。
うーん、お腹が苦しい
「イノシシ茸も美味しかったけど。ナユナは料理が上手なんだね」
「ありがとうございます。りんさんのお口に合って良かったです」
「そう言えば、気になったんだけど、何しにこの森に来たの?イノシシ茸を狩りに来たの」
「あぁ、いえイノシシ茸は偶然で、本当の目的は冒険者ギルドで依頼されている薬草を取りに来たんです」
そう言えばさっき倒したゴブリンの耳を持っていくと冒険者ギルドでお金が貰えるって言ってたな。
それにしても、ナユナって魔力がなくなってゴブリンに捕まったけど、イノシシ茸を倒せるほどだから、もしかしてナユナって結構強いのか!
「ナユナってイノシシ茸を簡単に倒せるみたいだけど魔力があったら、ゴブリン達を簡単に倒せたんじゃないの」
「いえ……さすがにあの数を相手にはできませんよ。余裕を持って倒せるのは、せいぜい3~4匹くらいしか倒せませんよ」
それでも、3~4匹は倒せるのか!私はクロが居ないと不意打ちでやっと1匹倒せたくらいだからな……あ!でも槍をがむしゃらに振ってたら何匹倒せたな……
よし、私も意外に強いな!
そう言えば、気になる事があったんだ……
「聞きたい事があるんだけど、ナユナは冒険者なの?」
「はい、まだ駆け出しですけど」
「駆け出しなのに、あんな大きい魔物を倒せるの!?」
この世界の冒険者は私が想像してたより、強いみたいだ……
「うむ、ナユナはまだ駆け出しなのか、それなのに空間魔法を使えるとは、大したものだ」
「クロ、空間魔法ってすごいの?」
「うむ、生まれつき才能がないと使える魔法ではないぞ……それに才能があっても使いこなすのは難しいと聞く」
「そうなんだ、ナユナって凄いんだね!」
「いえいえ!私はそんなに凄くないですよ!りんさんの方が凄いですよ、だって伝説の神武の主で神聖魔法も使えるなんて凄いです!!」
ナユナは興奮して早口で私を褒めちぎった……いや~褒められるのは嬉しいけど~
「ちょっと!ナユナ、落ち着いて!」
「あっ、すみません……わたし興奮してしまうと周りが見えなくなるんです……あと、考え事をしてると独り言が出たりしてしまうんですよね……この癖直そうとしてるんですけど、なかなか直せなくって……」
どうやら、たまにブツブツ言ってたのも癖だったらしい。
「まぁ、そう言う癖ってすぐに直せないから、ゆっくり直していけばいいんじゃないかな」
「はい、頑張ります!そう言えば、りんさんもたまに独り言を言ってたりしてますよね」
え!私も独り言を言ってたの!それなのに偉そうな事言ってたのか……
恥ずかしい!!私はガクッと地面に膝をついて頭を抱えた!
「りんさん!大丈夫ですか!?」
「ちなみにどんな事を言ってたの?……」
「黒金様が、お側に居る時に言ってたりしますね……」
それ!もしかして!クロが念話してくる時じゃん……って言うか常にクロは側に居るから、なんか危ない人見たいじゃん!
「そうか……私もその癖直すようにするね……」
《 あっ!りん、実は言うの忘れてたけど、オイラとりんだけで念話出来るんだよね、ごめんね》
《 そうだったの!そう言うのは先に言ってよ!さっきまで私が独り言をブツブツ言う危ない人みたいだったじゃない!》
《 だから、ごめんって言ってるじゃん》
《 わかったから、今度からは、大事な事はちゃんと言ってよ》
《 うん!わかったよ!》
まぁ、街に行く前でよかったよ。
独り言を言う怪しい奴だって言われて捕まったらゴブリンだって事がバレちゃったら、危ないからね。
「また、話が逸れちゃったけど、冒険者ギルドってどんな所なの?」
「えっとですね、駆け出しだとだいたいが薬草とかを採取して、それをギルドに持ってお金にするって感じですかね、あと今回見たいにイノシシ茸見たいな高値で売れる魔物を買い取ってもらえたりもします」
「え!イノシシ茸って高値で売れるんだ……ごめん!調子に乗って沢山食べちゃって……」
「いえいえ、助けて貰ったお礼ですし、イノシシ茸はあれだけ使ってもまだまだたくさん残ってますから、大丈夫ですよ」
ナユナが申し訳なさそうに……
「それと……ゴブリンとかオークみたいな害獣を駆除した時とか、あと巣を見つけた時に情報料として賞金がもらえます……すみません」
「謝らなくて、大丈夫だよ!気にしてないし、それに私はすぐに進化してゴブリンとは、早くおさらばするつもりだから!!」
「はい!わたしも早くりんさんが進化出来るようにお手伝いしますね!!」
「ありがとうね!ナユナ!」
《 良かったね。りんいい仲間出来て!》
《 そうだね!もちろんクロも私のいい仲間だよ……》
《 うん!オイラも頑張るね!りんが早く進化出来るように魔物をたくさん倒すね!!》
本当に今日、私はいい仲間出会えたな……
よし!この二人がいれば早く進化ができるような気がするよ!!
「それじゃあ、りんさん、今日は早く寝て、明日はやく起きて、明日中には街に着くようにしましょう」
「街ってそんなに近いんだ!」
「ええ、この森を出て3時間くらい歩けばすぐですよ。なのでお昼くらいには街に着くと思います」
おぉーやっと人間文化に触れられる!
昨日までは、今世はゴブリンのまま終わるのかと思ってたけど。
今日一日で私の運命が変わったな……本当にナユナを助けて良かったよ……
……うーん?!待ってよ!私どうやって街に入るんだ!?
「ナユナ、ちょっと寝る前に聞いていい?」
「むにゃむにゃ……どうしたんですか?」
「私、明日どうやって街に入るの?!ローブを着てるけど、どう見てもゴブリンだよ!」
「あっ!りんさんがゴブリンだって事忘れてました!?」
「えぇー!!」
「すみません!あっ!ちょっと待っててくださいね……」
と言ってナユナが小さいカバンに手を入れて「確か、前にお土産でもらったやつがあったはず……」なにかを探してるみたいだけど、あんなに小さいカバンで何してるんだろ!?
「ナユナなにを探してるの?そんな小さなカバンなら、すぐに探し物見つかるでしょう?!」
「あっ、りんさん、これは私の空間魔法のひとつでこのカバンの中に日用品を入れてるんです……あっ!あった!りんさん!これを被れば大丈夫です!!」
ナユナの手には前世で見たことがある……ペストマスクがあった?!
「ナユナ、私これ被るの?……これ被って街を歩いたら怪しくない……?」
「大丈夫です!冒険者の中には顔に大怪我した人が仮面を被ってたりする人もいるので、それにりんさんの肌の色はピンクなので誰もゴブリンだと思いませんよ」
「え!ピンクのゴブリンって居ないの?!」
私は的はずれな質問をした。
「うぅーん……わたしが知ってる限りではゴブリンの肌の色は緑色って事くらいしか知らないでね……だから顔を隠せば大丈夫ですよ!」
「そうなんだ……ピンクのゴブリンって居ないんだ……」
あ!こう言う時こそクロだ!!
《 クロ!ピンクのゴブリンって私以外にも居るの?》
《 ううん、りん以外にピンクのゴブリンは居ないよ!だから、ナユナも言ってたけど顔を隠せば大丈夫だよ!》
へぇーって事は私は超レアなゴブリンって事なんだ!?
そして、ここでピンクである事が役にたったな!
そうか、じぁあ顔さえ隠せば、ゴブリンだって事はバレないんだね!
よし!明日この世界に生まれて、はじめての街に行くから早く寝ないとな……ZZZ……って興奮して眠れ…な……ZZZ
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