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あれから、クロの文句を聞きながらゴブリンの耳を集めていたら、いつの間にか、辺りが薄暗くなっていた。

そんな事を思ってるとナユナが


「やっと、全部削ぎ落とせしました!……これ全部でいくらくらいになるんだろ?……30体近くあるから、だいたい金貨1枚と銀貨5枚くらい……!あと、わたしがさっき狩った魔物たちも入れれば……これだけあれば!……欲しかった書物が買えるかも!……いや、ダメ、ダメこれはりんさん達との旅の資金だから……」


ブツブツと言って、なにかと葛藤してた。


「そろそろ、夜が来そうだし。今夜はここで野宿する?」


「あの、言いづらいんですが……ここは、ゴブリンの死体があるので、ここではない場所で野宿をしたいです……それに!りんさんはゴブリンの返り血を浴びてるし洗い流さた方がいいですよ。だから水辺のある場所を探しませんか?」


たしかに、ゴブリン達の死体の側で寝たくないよね。

前世の私だったら絶対に嫌だって言ってたわ!

あと、ゴブリン生活が長かったから……最近、衛生関係に麻痺してたわ!

って事は私もしかして物凄く臭いかも……


「あのさ~もしかして、私、臭い?」


「え~っと……ちょっと獣臭と言うかなんて言うか……ちょっとだけ臭いです……あっでも、水浴びとかして身体を洗えば……きっと!臭くないですよ!!」


「そうか……私臭いのか……」


なんか、気を使わせちゃったけど……私臭いんだね……落ち込むわ~

そう言われるとお風呂は無理でも水浴びがしたくなってきたよ。


「そうだね!今日の野宿は川の近くにしよう。たまに行ってた川が近くにあるから、そこに行こう!」


「はい、それじゃ完全に夜になる、前にそこに向かいましょう」


そんな訳で私たちは川に向かった。



◆◆◆



「いい場所ですね。ここ開けた場所なので野宿するのにぴったりです」


ナユナが気に入ってくれたみたいで、良かったよ。


「でも、水場の近くなので夜中に魔物が出そうで危ないから、夜は見張り番を決めないといけないですね」


そうか、魔物対策しないといけないかって思ってると


「うむ、こう言う時こそ神聖魔法だぞ。りんよ!」


「なんで?ここで神聖魔法なの?」


「あっわかりました!結界ですね。黒金様」


「うむ、ナユナは察しがいいぞ……りんよ……我は前にも言ったが神聖魔法は癒しと守りの力だと前にも言ったはずだぞ!《 りん!ナユナは直ぐに分かってくれたのに、りんは察しが悪いよ!》」


なんかクロの呆れた顔が目に浮かぶ……あと、直接の声と念話のステレオは辞めろ!


「察しが悪くて悪かったわね!で!どうすればいいの?!」


「簡単に説明するとだ。この一帯を魔の物が入らないように、聖なる守りを張るのだ」


「要はこの辺一帯を私たち以外は立ち入り禁止にすればいいのね」


「うむ、その通りだ」


「なるほどね……それじゃあ、結界!」


私が結界と力を込めて言ったら、この辺一帯の地面から淡い光が湧いた。


「凄い……やっぱり……りんさん、神聖魔法が使えるんですね!凄いです!」


「うむ、これでこの辺は安全だぞ。安心して休むがよい」


私が結界を張ったのに、なぜかクロが偉そうにしてた。


「りんさんのおかげでこの辺は安全なので、わたしは野宿の準備をするので、りんさんは川で身体でも洗って来てください」


「うん、それじゃあお言葉に甘えさせてもらうね」


「はい、わたしたまに野宿をするので、まかせてください!」


それじゃあ、野宿の準備はナユナに任せて、私はさっさとこの返り血を落としたいから、川で身体を洗おうっと、川に向かおうとしたら


「りんさん!これ石鹸です。持っていってください……あっ使い方わかりますか?」


「大丈夫わかるよ。泡立てて使うんでしょう」


「はい、あとこの布も持っていってください。布があると洗いやすいので、それと、このローブわたしのお古ですけど着てください」


ナユナがいろいろと渡してくれた。

ナユナは本当、気が利く子だよ。


「いろいろとありがとうね。ナユナ」


「いえいえ、それじゃあ、わたしは野宿の準備をしてますね」


っと言ってナユナはさっきの場所まで戻って行った。


《 ナユナいい子だね。りん》


「うん……ってクロ!私これから、水浴びするんだからナユナの所に行ってよ!クロのエッチ!」


《 えー!オイラ、りんが心配だから、着いてきたんだよ。それなのにりん酷いよ!》


と言いながらクロはふよふよと浮いていた。


「心配してくれるのは、嬉しいけど、恥ずかしいからナユナの所に行っててよ」


《 ナユナ所に行っててもいいけど……りん弱いじゃん!水浴びしてる時に魔物に襲われたら、神聖魔法があるけど、りん一発で死んじゃいそうだから、着いてきたんだよ!》


「魔物って!私はさっきこの辺一帯に結界張ったじゃん!」


《そう言えば!そうだった!オイラ忘れてた!あと、りんってほぼ裸だよね。今さら隠すところなんてないじゃん 》



この剣はバカなのか!そしてデリカシーがなさすぎる!


たしかに今の私はボロ布を腰に巻いただけの格好で半裸だけど……全裸では決してない!

それに、ナユナにローブを貰ったから、これからは半裸でもない!


「フッ……これからの私はナユナから貰ったローブがあるから、半裸じゃないからね!」


クロにビシッと言ったやった!決まったな!


《 わかったよ。りん……格好つけてないで、早く、水浴びして来なよ。ナユナも待ってるたろうし》


急にクロは気を使いだした……なんだか釈然としないけど、ナユナが待ってるので、急いで川に入った。


ナユナから渡された布で石鹸を泡立た。

ほぼ水浴びだけど、石鹸があるから、久しぶりのお風呂だ!嬉しいな!

と思って身体を洗ったら全然石鹸の泡が立たない……!

そうか!私はゴブリン生まれ変わってから、1度も身体を洗ってないんだ……

それじゃあ、なかなか泡立たないよね……でも、やっぱりお風呂はいいね!(水浴びだけど)


濡れたからだを絞った布で拭きナユナから貰ったローブを着たらなんか、人間に近づいた気がしたけど……

早く進化をしてゴブリンから早くおさらばするために頑張らないとなって思うのだった。



◆◆◆



ナユナの所に戻ったら立派なテントが張ってあった……!


「ナユナ!」


「あ!おかえりなさい。りんさん、ローブちょっと大きかった見たいですね」


「いや!ローブはいいとして!このテントどこから持ってきたの!?こんな大荷物なかったよね?!」


「あぁ、りんさんたちに言ってなかったんですけど、わたし空間魔法が使えるんです。あと火魔法と風魔法も」


「ほぉ、ナユナは空間魔法の使い手か」


「空間魔法ってなに?!」


「うむ、空間魔法とは熟練にもよるが少しの距離を瞬間移動が出来たり、こういった荷物を亜空間に保存することが出来る魔法のことだ《 簡単に言うとね。物を出したり入れたりできる魔法なんだよ!》」


クロのステレオも少し慣れたけど、要はゲームのアイテムBOXみたいな物か

よく見たら、ナユナの服がさっき着てたのと違う服だし、私に渡したローブもアイテムBOXから出したのか、なんか違和感あったけどそう言うことか


「そうなんだ、だから小さいカバンなのにローブとか出てきて変なだなって思ったけど、空間魔法のおかげでいろんな物が出し入れできるんだね」


「はい、だけど……この魔法を使うと魔力を結構使うんです……今日ゴブリンたちに襲われたのも、空間魔法を使ったあとで、魔力がなかったから、何も出来ずに捕まってしまったんです……りんさんが神聖魔法を使ってくれたおかげで魔力が回復したので、空間魔法も使う事ができました」


「そうだっんだ。そう言えば何を入れて魔力がなくなったの?」


「それはイノシシ茸を倒したので、それを入れたら魔力が無くなってしまって……」


イノシシ茸?!

まさか!!


「それってイノシシにキノコがはえてる。魔物の事?!」


「はい、そうです!」


やっぱりか!!


「イノシシ茸はキノコの部分が一番美味しいんですよ。なので、りんさんの為に今から、イノシシ茸のスープを作りますね」


「そうなんだ、ありがとう」


「じゃあ、亜空間に入れたイノシシ茸を出すので、ちょっとどいてもらえますか」


「うん、わかった……」


「よいしょっと!!」


ナユナのアイテムBOXから出てきたのは私が出会ったイノシシ茸だった……

そりゃ、こんなに大きいの入れたら魔力もなくなるよ……


そして、ナユナに作ったもらったイノシシ茸のスープは美味でした。

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