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しばらく涙が止まらなかったけど、鼻をかんだらスッキリした。
「あの……大丈夫ですか?ゴブリンさん」
「うん……ハンカチありがとう……一応、聞くけど鼻かんじゃって汚いけどハンカチ返した方がいい?」
「あ!いえ!それは、差し上げます!ゴブリン達から助けてくれたお礼です」
当たり前だけど、ゴブリンが鼻をかんだハンカチなんて返されたら、困るよね~。
前世でも鼻をかんだハンカチ返すって言われたら私もその人にあげるよ。
改めて彼女の格好を見たら、ひどい格好だ。
ゴブリン達に襲われた時に殴られたのか、顔が半分腫れ上がってるし、それに何本か歯も抜けている。
服もゴブリンが服を無理やり脱がそうとしたのか、服の襟の部分が裂けてる。
ちょっと試したい事があったので彼女に神聖魔法を使ってみた
「女神より預かりし力よ。聖なる光となりこの者のを癒したまえ」
っと適当な詠唱を言ってみたら、淡い光が彼女を包み、一瞬で怪我が治った。
よく見ると抜けてた歯も生えていた。
そんな事を思ってると、回復魔法をかけられた彼女も歯が生えたことに困惑したのか、口のあたりを何度も触っていた。
それにしても、さっきの詠唱はちょっと恥ずかしいぞ!
でもこれで、適当な言葉でも魔法が使えることがわかったから、今度からはヒールでいいや。
「……今の魔法はでも、ゴブリンが魔法なんて……しかも回復魔法……あと回復魔法はこんなに一瞬でこんなひどい怪我とか治らないし……それに、失った歯も生え変わってるし、それに魔力が回復してる!」
なんか、この子ブツブツ言ってるけど、この世界の回復魔法って一瞬で回復しないんだ……まぁ、前の世界には魔法なんてないから、基準がわからないけどね。
「あの、ゴブリンさんは何者なんですか?」
って聞かれたけど本当の事を話そうか、一瞬迷ったけど、私この世界の事よく分からないしクロは、役に立ちそうにないし……
よし!この子も私のゴブリン脱出計画に巻き込もう、この子が居れば街とかにも入れそうだしね!フフフ
「……私は前世は人間だったんだけど。女神の手違いでゴブリンに生まれ変わちゃったんだ……」
ちょっと、悲壮感をだして、同情を誘えばイチコロでしょう!
「そうだったんですか……だから、言葉が喋れるんですね」
「え!ゴブリンって喋れないの?」
「はい、わたしが知る限りではゴブリンは、ゴブリン同士でゴブゴブって鳴き声で会話するって事しか知らないです」
話がちょっと脱線してしまったけど。
へぇーゴブリンの鳴き声ってゴブゴブなんだって事は私も、ゴブリンと話していた時はゴブゴブ言ってたのか!恥ずかしいわ!
「ゴホン!ちょっと話が逸れてしまったけど。さっきも言ったけど女神の手違いで私は人間に生まれ変われなかったの……だけど!女神から黒金の神狼の剣と神聖魔法(説明面倒だから貰った事にしとこう)とゴブリンから進化できる進化システムを女神から授かったの!」
「そうだったんですか?!……ゴブリンから進化する?!そんなのって聞いた事がない……それに神聖魔法なんて。あ!だから、さっき一瞬で怪我と魔力が回復しのか!……熟練者の回復魔法でも、一瞬であの怪我を治す事なんてできないし、ましてや魔力を一瞬で回復するなんて、まさに奇跡!……それなのにわたしは……」
またブツブツ言い出したぞ、この子は癖なのかな?
まぁ私も、こんな怪物に怪我を治してもらったら驚いて色々な事考えちゃうか……
「あのさ!」
「あ?!はい!すみません……色々な事が起きすぎて、ちょっと混乱してしまいました!ゴブリン様!」
ゴッゴブリン様って急にどうした?!この子!
「ゴブリン様って!あ、そう言えば…私たち、自己紹介がまだだったね。私の名前はりん(もう、今はただのゴブリンだし苗字はいいか)あなたの名前は?」
「あっはい!わたしの名前はナユナ 、ナユナ ・ロンベェーと言います。りん様!」
「様とかつけないで呼び捨てでいいよ。ナユナ」
「いえ!助けて頂いたのに呼び捨てはできません。それに!女神に選ばれた方で黒金様の主様ですから!」
「いやいや、女神に選ばれたと言っても、手違いでゴブリンに生まれ変わったからだからね。だから呼び捨てでいいよ」
「あっじゃあ、りんさんでどうでしょうか?」
「うーん、わかったよ。ナユナ」
何とか、自己紹介は終わった。
「あ!ナユナ、
「なっ!りん、我は威厳ある女神に造らりし剣ぞ!一応、主のお前ならともかく《 え?!酷いよ!りん、オイラはちゃんと威厳を示さないと女神様のお姉ちゃんに怒られちゃうよ!》」
ちょっと!クロ、直接の声と念話でステレオ状態でうるさいよ!!
あと、新事実!!女神には姉がいるのか!?
それにしてもクロ……女神に怒られるんじゃなくって女神の姉に怒られるのか、なるほどだから威厳、威厳って言ってたのね……それにしても、相変わらず残念な剣だな
「りんさん、ごめんなさい……黒金様の事は呼び捨てには出来ません!」
《 エッヘン!どうだ!りん、オイラの威厳の勝ちだ!!》
うわぁ、剣なのにクロのドヤ顔が目に浮かぶわ!!
「わかったよ!ナユナ……あとお願いがあるんだけど私がゴブリンから進化するまで着いてきてくれない……私、前世が人間だった事くらいしか覚えてないから、この世界のことあんまり覚えてないんだよね」
私は真実と嘘を交えてお願いした……
ナユナ!うんと言ってくれ!クロと知らない世界を旅するのは不安なんだ!!
「助けてくれて頂いたのに……いいえ、なんて言えません……なので、私でよければ、りんさんのお役に立てるよう頑張ります!!」
良かったー!!
これでクロと二人旅じゃない!!
私は気持ちを引き締める為に……
「あらためて、よろしくね!クロ、ナユナ!」
「はい!よろしくお願いします!りんさん、黒金様」
「うむ、二人共宜しく頼む!なに!我が居れば二人共、大船に乗ったつもりで居るが良い!!」
よし!これで私の旅は始まるぞって思っていたら……
ナユナがナイフでゴブリンの死体の耳を削ぎ落としてた!?
「ナユナなにしてるの?」
「これですか?ゴブリンの耳を冒険者ギルドに持っていくと1匹に対して銅貨5枚になるんですよ!せっかく、りんさんが倒してくれたので、耳を持っていかないと勿体ないじゃないですか!それにこれから旅をするのにお金も必要ですよ。だからちょうどいいお金稼ぎにもなりますね……これだけあれば、いくらになるかしら……」
ナユナ……なんて逞しい子なの、そうだよね!
快適な旅をするにはお金が必要だよね!
よし!私もクロを使って手伝おうと!!
「ナユナ、私も手伝うね!」
「ありがとうございます。りんさんはそっちに転がってるゴブリンの耳をお願いします!」
《 りん、もしかしてオイラを使うき?》
「そうだよ。私クロ以外刃物もってないし、さっき散々ゴブリン達を切り刻んだから大丈夫でしょう?」
《 ちがうよ!りん、気持ちの問題だよ!さっきのは戦いだったから、良かったんだけど。今はただの道具見たいに使うとしてるからって言ってる側からオイラを使わないだよ!!》
そんなこんなでクロの文句を聞きながら私は快適な旅の資金になる。
ゴブリンの耳をクロを使って集めるのであった!!
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