インド料理屋
僕はカレーが好きです。家でカレーが出る時は嬉しかったですし、学校給食でその日のメニューがカレーだったらテンションが上がりました。もしかしたら、ステーキとかケーキとかそういったものより好きな食べ物かも知れません。
カレーの何が僕をそんなに魅了するのかは分かりませんが、スパイスの香りと溶け込んだ野菜などがハーモニーを奏でて、最高の状態で口の中に入ってくるからなのかも知れません。
ごちゃごちゃ色々なモノを混ぜまくると、美味しいとは程遠い味になりそうなものですが、たくさんのモノを混ぜまくって、調整して、最高に美味しい物を作るカレーは人類の作った料理の中で1番だと言っても過言ではないでしょう。いや、過言かもしれません。言い過ぎました。
たくさん混ぜると1つ1つの食材の調和を保つのは大変ですからね。人間でも、5人のグループをまとめるのと、100人のグループをまとめるのとでは、やはり100人のグループの方が難しいでしょう。その分、数が多い方がまとまった時に大きな力にはなりますが。
そんな感じでカレーが大好きな僕ですが、ある時衝撃の出会いを果たします。そうですインド料理屋との出会いです。
僕が大学生になり、地元を離れてしばらく、長期休暇に実家に帰った時に「近くにインド料理屋が出来た」という話を聞き、家族で行きました。親は一度、インド料理屋を経験しているらしく「お前の人生変わるかもね、ふふふ」と怪しく笑っていました。
さて、インド料理屋につきます。出迎えてくれるはゾウの神様?の像。店内全体が異国情緒あふれるというか、初めて味わう雰囲気でしり込みします。いたるところに、なんかこうありがたい感じの像とか絵が飾られ、良い香りのお香が焚いてありました。そして、現れるインドの人。
「いらっしゃいマセ。何名様デスカ?」
「ナマステ言わへんのかい」と思いながらもインドの人についていき席に案内されます。こんなに近くでインドの人を見たのは初めてだったので、これがグローバル社会か、と一人感動していました。
さて、注文する時になりました。おすすめはチーズの入ったナンだそうで、とりあえずそれと、後、適当にチキンカレーとか頼みました。
「カレーの辛さはどうされマスカ?」
なんと辛さが選べるシステムなのね。下は甘口、上は激辛、うーん。とりあえず、僕は辛いのが好きなので……。
「辛口で」
「かしこまりマシタ」
厨房に消えていくインドの人。店内はインドっぽい音楽が流れていたのでそれを聞きます。なんか浄化されそう。
「お待たせシマシタ」
料理が届きました。
チーズナン、デカッ!!4等分されて出てきましたが、繋げて元の丸に戻してみると、おぼんと同じサイズ、普通のピザぐらいある大きさの中にチーズがあふれるぐらい入っています。実際あふれていました。なんだこのサービス精神……。
いきなりインド料理屋の洗礼を浴びてしまいましたが、気を取りなおして……。ナンを少しちぎり、カレーにつけてパクリ。
インドカレー辛い!!
割りと辛い物が平気だった僕ですが、そのカレーは辛いと思いました。全身というか主に顔が真っ赤になって暑くてたまらない。水、水をくださいっ!!
「どうデスカ?辛いデスカ?」
「いえいえ、この程度、もっと辛いのもいけます……、ます……」
「じゃあ、次来た時には激辛ネ!」
「えっ」
インド料理屋の人って、日本の料理屋の人よりなんかフレンドリー。初めて会った人なのにめちゃくちゃ話してくる。僕があまりフレンドリーに話しかけてくるお店に行かないからなのかな?コミュニケーション苦手な僕はちょっとおさちゃう……。
この時、人生で初めてラッシーを飲んだのですが、めちゃくちゃ美味しいですねこれ。僕の口にすっごく合いました。辛いカレーで口の中が火事になっているのを、上手いこと消火してくれたからかもしれませんが。
その他にタンドリーチキンなどのインド料理も食べました。スパイシーなチキンは美味しいですね!お腹いっぱい、幸せいっぱいです!!
「兄サン、ナンおかわりスルネ?」
どうやらこのインド料理屋には「ナンおかわり自由」というサービスがあるようです。すでにお腹がいっぱいの僕でしたが「おかわり自由」の言葉に踊らされ……。
「お願いします」
「おかわりナン一つネ!」
頼んでしまいました。
おかわりナンが届くまでの間、店内を見回します。ディナータイムで一番人が入る時間にも関わらず、他にお客さんはいません。大丈夫かこの店?
「お待たせシマシタ」
おかわりナンが届きました。ナン、デカっ!!チーズナンは丸い形でしたが、おかわりナンは縦長で、完全におぼんからはみ出しています。
こいつはキツイ戦いになりそうだぜ……。汗をぬぐいながら、僕は一人ナンかと戦っていました。
しかし、このナン、チーズも入っておらず、カレーもつけていないのに、美味しい。タンドール?とかいう窯で焼いているからですかね。ふわふわのもちもちで、口に運ぶ手が止まらず、気が付くともう無くなっていました。あら、意外に楽勝ね。
「お兄サン、もう一枚イル?」
「あっ、今日はこの辺で勘弁します」
少し怪しい日本語を使いながら、僕の初インド料理屋は終わりました。すごく大満足でした。
うーん、世界は広い。こんな美味しい物があるとは、しかもそれが向こうからやってくる。すごい世の中だな。また、機会があればインド料理屋に行こう、そう思いました。
帰り際のインドの人との会話。
「美味しかったデスカ?」
「美味しかったです。ごちそうさまでした。ところで、インドってどんな所なんですか?」
「ワタシ、ネパールの人だから分からないネ!ハハ!!」
インドの人ちゃうんかい。
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