いつまでも健康でいたいのですが

「今日、この授業が終われば、強制的に運動するという機会は無くなる。自発的に運動を続けないと、体力が無くなって、身体が動きにくくなって、太っていくから気を付けるように」


 これは、僕が大学生の時、最後の体育の授業で先生が言った言葉です。

 記憶が定かではないのですが、確か、僕の通っていた大学は、1年生は体育が必修で、2年生からは選択制になる仕組みでした。選択制なので、他の科目で単位が取れれば体育をしなくても良くなりました。

 高校生の頃は野球部でがっつり運動をしていた僕でしたが、大学生になったら「文化系のことしたい」と、運動から離れていきました。なので、選択制の体育は選択しませんでした。


 「自発的に運動しないと、体力が無くなって身体が動かなくなって、太っていく」

 そう言われても20代前半の僕にはいまいちピンときませんでした。高校時代の野球部で作った体力の貯金や、がっつりした運動はしませんでしたが、それでも身体を動かすのは好きなので、軽くジョギングしたり、小さな山にピクニック感覚で登ったり、街をうろうろしたり、まったく身体を動かさないということが無かったこともあると思います。

 

 それでも、大学4年生になるごろには少し考えることは出てきました。軽く運動はしているとはいえ、それ以上に色々なものを食べていました。甘い物が好きなので、コンビニでお菓子を買ったり、さらに二十歳になってからお酒も飲むようになったので、どんどん太っていき、大学1年生と4年生で10キロぐらい増えたと思います。

 大学1年生の時に、地元に帰って高校の時の友達に会った後、数年会わず大学4年生になった時に同じ友達にもう一度会うと「お前何があったんだ?」と驚かれたこともあります。僕の顔がアンパンマンに酷似していたそうな。菓子パンの中でもあんぱんが好きな僕なので、顔まであんぱんになっていたのかも知れません。


 ただ、体重は増えたとは言え、まだまだ身体は動いていたので、それほど危機感はありませんでした。むしろ「親しみやすい体型になったので、これから愛されキャラになっていくだろうな」ぐらいに思っていました。


 しかし、次のインパクトでいよいよ危機感を抱いてきます。大学卒業後、メンタルを壊して、僕の暗黒期が数年続きます。この時、さらに10キロ以上体重が増えました。大学1年生の時に比べて20キロ以上。さすがにこうなると身体が動かなくなってきます。

 まず、首回りが常になんか苦しいという状態になります。

 あごのところに、「あついしぼう」がついているので、それが首を圧迫して常に軽く首絞め状態で生活しなくてはならなくなりました。襟のある服なんか着たら窒息します

 身体全体が重いので布団から起きるのもだるく、歩くだけでめちゃくちゃ疲れるようになりました。しかも常になんかぼーっとしている。頭があまりはっきりしないです。

 そこそこ腕立て伏せが出来ていた僕でしたが、この時は5回やったらもう身体がプルプルして倒れてしまいました。ランニングしても、10メートル走ったら歩きたくなります。

 正直生きているだけで疲れるという状態になっていました。寝てる時が一番楽みたいな。精神的にもどんどん悪くなります。

 でも、寝てばかりいて運動せず、食べる量は減らないのでまたぷくぷく太っていきます。するとまた身体がだるくて何もする気が起きずまた……。最悪のスパイラルです。このままでは動けなくなる日も来るでしょう。


 さすがにまずいと思った僕は、身体を鍛えることに決めました。食事の栄養バランスを気を付け、ジャンクフードとか身体に不要なものは極力取らない。適度に運動することを心掛ける、体内のリズムを作るために夜更かしをし過ぎない等々、よく言われることをです。


 それほど大きく生活習慣を変えたわけではありませんが、少しづつ意識するだけで、だいぶ身体は動けるようになりました。体重も落ちましたし、だるさが無くなる。太っていた時のだるさを思い出すと、もうあの頃にはもどりたいとは思いません。


 それから数年経ちましたが、今はあの頃よりも色々気を付けるようになっています。何にも考えずに日々を過ごすよりも、毎日少しづつ何かを意識して生活していので、その積み重ねが大きくなり、身体にも表れたようです。今の体調はここ数年で一番良さそうです。身体がだるくて動けないということは無くなりましたからね。簡単なことでは息切れしませんし、長距離を走れるようになりましたし、50メートル全力ダッシュも平気で出来ます。

 身体が上手く動くとメンタルも上手く動き、すべてが調子よくなりました。まあ、まだ20代だというものあると思いますが。


 40代、50代の人が「歳を取ったからもう動けない」とか「若いのは動けて良いね」とか言ってるのを聞きますが、そんなこと言って諦める人には僕はなりたくないので、いつまでも例えめっちゃジジイになっても野球出来るような、そういうアグレッシブ老人になれるように、20代でまだ体力的に余裕あるうちから色々気をつけて頑張ろうかなと思う今日この頃です。


 自分の身体に本当に必要なものを探してく作業は時に苦しい時もあります。あれだけ好きだったお酒を飲めなくなったり、甘い物をあまり食べられ無くなったり、少しキツイ運動しなきゃいけなかったり、でも、その努力に身体はしっかり答えてくれました。すると少し楽しくなってくる。もっと身体に良いことしたいと自然に思えるようになってくる。そしてどんどん健康な体に……。良いスパイラルです。

 とはいえ、度を過ぎた健康の追及は逆に健康を壊しかねないので、ほどほどに健康的な体でおじいちゃんになるまで過ごせたら良いなと思います。

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