6.エピローグ

「開発者自身が最初の被害者だった、ってことだ」

 都内に住む一人暮らしの男がひっそりと死亡していた。無職で知り合いも居ないため、異臭により近隣住民から通報されるまで遺体が発見されることが無かった。

 遺体の状況は"サメ"に襲われた他被害者と全く同じ。だが違う点が1つ。その男の持つパソコンから、あのサメプログラムのソースが発見された。

 そしてその男の死亡推定日時は、最初の被害者が出るよりも前だった……。


「何が目的だったのか? 何を思って開発したのか? そのあたりは完全に闇の中だな」

 今後、この男の過去や趣味などが明らかになるにつれ、そのあたりの謎は解けていくかもしれないが……。


「……、って、わざわざそれを教えに来てくれたんすか?」

「まっ、見舞いがてらな」

 左術さじゅつは意識こそあったが、全身打撲と裂傷による重傷だった。全治1か月で入院中だ。


「はぁ、いいすね先輩は。俺も早く退院したいっす。この状態じゃ『帝国浪漫エピックAW』できないっす。そろそろ我慢が限界っす」

「お前はゲームのやりすぎだ……、っていうか、お前やっぱり自分がやりたいから『帝国浪漫エピックAW』でサメと戦うように言っただろ!」

「はて、そんなことはないっすよ」

 左術さじゅつは顔を背けながら言う。


「だが、ヤツを倒せたのもお前のおかげだ……、ありがとな」

 途端、左術さじゅつは首が壊れそうなほどの速度で振り返り「先輩がデレた」を連発している。やはり一度本気で殴った方がいいかな……。


「今なら言える! 退院したら一緒に『帝国浪漫エピックAW』どうすか! なんなら先やっといてくれてもいいっすよ!」

「やらん! 俺はもうAWゲームはやらん!」

「え、高級リゾートとかあるっすよ?」

 左術さじゅつの言葉に、リアバケで少しだけ見たビーチの風景が思い出される。確かにすごいリゾート感だったが……。

「……、いや、やらん!」

「一瞬考えたっすよね!? これは脈ありか!?」

「脈は無い!!」


「病院ではお静かに」


「「はい、すみません」」

 看護師さんにすごい目で睨まれた。




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【MOAWアクションアドベンチャーゲーム「ゾンビパニックAW」】


 湿っぽい洞窟内を男女が歩いている。

「こ、こわいよぉ~」

「大丈夫だって、この"マグナム"があればどんなゾンビも一撃だって」

 自慢気に銃を見せる男の背後で、水場からのそりと這い出る者……、そして男の脚を──


「うわぁぁぁぁぁっ!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 洞窟に響く銃声。


「んだよ、ただのゾンビだよ、脅かしやがって……」

「大丈夫? 脚怪我してるよ?」

「大丈夫大丈夫、ハーブつけとけば──」

 水中から突然現れたサメが男の胴体に食いつく!


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 to be continued...?

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アナザーワールドシャーク ~恐怖の殺人サメ、電脳世界を蹂躙す~ たろいも @dicen

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