第7話 マヌケな手がかり
▽
ー2日後。
俺とゼノンは二手に分かれて
それぞれの調査をしていた。
で、俺は今例の喫茶店でレモンティーを飲んでる
いや、サボってるんじゃないよ?
休憩してるだけだよ?
しかし、ここのレモンティー結構美味い。
ミルクレープと一緒に食べるとさらに美味い。
最高だね。
えっ?調査はどうなったって?
横浜駅はもちろん、子安駅だとか西横浜駅にも黒沢の姿はなかった。
つまり、市内にいる可能性の方がまだ大きいと思う。
ゼノンの心配通りにならないならね。
タクシーとかやばい、マジで。
市内だけでも何台あるのか知らねえし、
関東のタクシー会社に絞って調べてもきつい。
と、いう事でただいま休憩中。
・・・げ、現実逃避じゃないよ?
▽
レモンティーを飲み終わり、仕事に戻るかと席を立った時、
「今、大丈夫ですか?」
後ろから店の主人に話しかけられた。
「・・・え?」
▽
ゼノンがホテルに着いた時、まだクロイツは戻っていなかった。
(まだ、帰っていないのか)
ゼノンも未だ情報をつかめていない。
黒沢が無職だったことから、宿泊にあまり金がかからない、漫画喫茶などを集中的に調べたが、全く手がかりがないのだ。
(もっと値段が高い所をあったてみるか・・)
カップ麺の蓋を開けながら、ゼノンは思考を巡らす。
トゥルルル。
電話が鳴った。
ゼノンは不意打ちに弱い
故に体を強張らせた。
そして、受話器を取る
「もしもし?」
「あっ、ゼノン?」
「クロイツか?どうした?」
「手がかりが見つかったかもしれない!
今から下に来い!」
やつのニュースは当てにならないだろう
だが、聞かないよりは聞いた方が良い
故にゼノンはエレベーターで下に降りる。
▽
ーホテルの玄関前。
「どうした?」
ゼノンは下でソワソワしているクロイツに話しかけた。
「ああ、ゼノン。行くぞ」
「どこに?」
「宮下加恋のところだ」
「はあ?」
▽
クロイツの話はこうだ
喫茶店で休んでた(ゼノンに怒られた)クロイツは帰りに店の主人に話しかけられ、
応接室で話を聞いたと言う。
「クロイツさん?達には、仕事に邪魔になってしまうかもしれないのですが・・・
あの事件以来、宮下くんに元気が無くなってしまったんです。
笑顔が少しずつ減っていって
今では一回も彼女の笑顔を見ていません。
ですから、聞いたんです
『どうしたの?』って。
最初は渋って喋ってくれなかったのですが、何度も聞いたら、少しづつ話してくれて・・・」
・・・・?
何が言いたいのかわからない。
「それで?」
「そしたら『この頃ストーカーに遭ってる』って言ったんです。
それで、もしかしたらあの男の人じゃないかと思って・・・」
確かに時期的に、宮下加恋が黒沢にストーカー被害を受けていてもおかしくはない
もしかしすると、いや、もしかしなくても
これはすごい手がかりなのでは!?
思い立ったが吉日だ。
俺は主人に断って急ぎ足で、店を出た。
▽
「どうよ?」
ゼノンはさっきから腕を組んで「うーん」と唸っている。
そして、ゼノンが出した答えは
「まあ、確かめる価値はあるな・・・」
だった。
と、いう事で即行動・・・・
と思ったが、ゼノンに止められた。
「明日、宮下加恋が喫茶店のバイトから帰る所を見張る」
と言って聞かなかった
「変に、宮下加恋と接触して、犯人を警戒させるのは良くない。」
む・・・。
確かに・・・。
作戦実行は明日になった。
▽
ーその夜。
あるホテルの一室にて。
ある男が電話機に手をかけようとしてやめるのを繰り返していた。
頭に特徴のあるバンダナをかぶっている男
・・・黒沢である。
(ど、どうすれば)
黒沢は焦っていた。
(俺が『DAYS』だってバレた。
多分もうすぐ、『GIO』が来る
いや、もう来てるかもしれない
た、助けを・・・)
黒沢が電話機に手を伸ばす
が、手を止める
(だ、駄目だ。
あの人・・・にこんな失敗がバレたら・・・
し、死ぬ。
い、嫌だ。死ぬのは嫌だ。)
黒沢は葛藤していた。
自分の失敗によって命が危険にさらされる
黒沢は憤慨した
(どうして、俺がこんな目に。
どうして、どうして、どうして、どうして!)
自分を恨んだ。
「GIO」を恨んだ。
「DAYS」を恨んだ。
そしてその歪んだ憎悪のベクトルは
弱者へと向けられた・・・。
(全部あいつのせいだ。あいつのせいで、俺はこんな目に。
・・・・宮下加恋っ。
お前のせいだ・・・)
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