第7話 マヌケな手がかり


ー2日後。

俺とゼノンは二手に分かれて

それぞれの調査をしていた。


で、俺は今例の喫茶店でレモンティーを飲んでる

いや、サボってるんじゃないよ?

休憩してるだけだよ?


しかし、ここのレモンティー結構美味い。

ミルクレープと一緒に食べるとさらに美味い。

最高だね。


えっ?調査はどうなったって?

横浜駅はもちろん、子安駅だとか西横浜駅にも黒沢の姿はなかった。


つまり、市内にいる可能性の方がまだ大きいと思う。

ゼノンの心配通りにならないならね。


タクシーとかやばい、マジで。

市内だけでも何台あるのか知らねえし、

関東のタクシー会社に絞って調べてもきつい。


と、いう事でただいま休憩中。

・・・げ、現実逃避じゃないよ?



レモンティーを飲み終わり、仕事に戻るかと席を立った時、


「今、大丈夫ですか?」


後ろから店の主人に話しかけられた。


「・・・え?」




ゼノンがホテルに着いた時、まだクロイツは戻っていなかった。


(まだ、帰っていないのか)


ゼノンも未だ情報をつかめていない。


黒沢が無職だったことから、宿泊にあまり金がかからない、漫画喫茶などを集中的に調べたが、全く手がかりがないのだ。


(もっと値段が高い所をあったてみるか・・)


カップ麺の蓋を開けながら、ゼノンは思考を巡らす。


トゥルルル。

電話が鳴った。


ゼノンは不意打ちに弱い

故に体を強張らせた。

そして、受話器を取る


「もしもし?」

「あっ、ゼノン?」

「クロイツか?どうした?」

「手がかりが見つかったかもしれない!

今から下に来い!」


やつのニュースは当てにならないだろう

だが、聞かないよりは聞いた方が良い


故にゼノンはエレベーターで下に降りる。



ーホテルの玄関前。


「どうした?」


ゼノンは下でソワソワしているクロイツに話しかけた。


「ああ、ゼノン。行くぞ」

「どこに?」

「宮下加恋のところだ」

「はあ?」



クロイツの話はこうだ


喫茶店で休んでた(ゼノンに怒られた)クロイツは帰りに店の主人に話しかけられ、

応接室で話を聞いたと言う。


「クロイツさん?達には、仕事に邪魔になってしまうかもしれないのですが・・・


あの事件以来、宮下くんに元気が無くなってしまったんです。


笑顔が少しずつ減っていって

今では一回も彼女の笑顔を見ていません。


ですから、聞いたんです

『どうしたの?』って。


最初は渋って喋ってくれなかったのですが、何度も聞いたら、少しづつ話してくれて・・・」


・・・・?

何が言いたいのかわからない。


「それで?」

「そしたら『この頃ストーカーに遭ってる』って言ったんです。

それで、もしかしたらあの男の人じゃないかと思って・・・」


確かに時期的に、宮下加恋が黒沢にストーカー被害を受けていてもおかしくはない


もしかしすると、いや、もしかしなくても

これはすごい手がかりなのでは!?


思い立ったが吉日だ。


俺は主人に断って急ぎ足で、店を出た。



「どうよ?」


ゼノンはさっきから腕を組んで「うーん」と唸っている。


そして、ゼノンが出した答えは

「まあ、確かめる価値はあるな・・・」

だった。


と、いう事で即行動・・・・

と思ったが、ゼノンに止められた。


「明日、宮下加恋が喫茶店のバイトから帰る所を見張る」


と言って聞かなかった


「変に、宮下加恋と接触して、犯人を警戒させるのは良くない。」


む・・・。

確かに・・・。


作戦実行は明日になった。




ーその夜。

あるホテルの一室にて。


ある男が電話機に手をかけようとしてやめるのを繰り返していた。


頭に特徴のあるバンダナをかぶっている男

・・・黒沢である。


(ど、どうすれば)


黒沢は焦っていた。


(俺が『DAYS』だってバレた。

多分もうすぐ、『GIO』が来る

いや、もう来てるかもしれない

た、助けを・・・)


黒沢が電話機に手を伸ばす


が、手を止める


(だ、駄目だ。

あの人・・・にこんな失敗がバレたら・・・

し、死ぬ。

い、嫌だ。死ぬのは嫌だ。)


黒沢は葛藤していた。


自分の失敗によって命が危険にさらされる

黒沢は憤慨した


(どうして、俺がこんな目に。

どうして、どうして、どうして、どうして!)


自分を恨んだ。

「GIO」を恨んだ。

「DAYS」を恨んだ。


そしてその歪んだ憎悪のベクトルは

弱者へと向けられた・・・。


(全部あいつのせいだ。あいつのせいで、俺はこんな目に。

・・・・宮下加恋っ。

お前のせいだ・・・)

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