第4話 川田クエストの予感
▽
「あんた、少女マンガとか読んだことある?」
座席に座ると同時に横から声をかけられた。
たらこ唇のチョイカッコいい青年だった。
「はあ…」
何この人、
誰⁉︎
「少女マンガの内容ってさあ、もどかしいよなぁ。なんつーか、『早く付き合え』だとか、『はやくヤっちまえよ』だとかって思ったりするよなー。
だからよ、、、、
嫌いなんだわ。わかる?」
いや、わかんねえよ。
でも、やっぱちょっとだけわかるかも。
しかし
何言ってんだ、この人?
今言う話か、それ
困っていると、後ろからお婆さんが助け舟を出してくれた。
「黙りな、困ってるだろう」
「あぁ?お前も混ざりてえのかよ、ババア!てか、お前が黙れ!」
「困ったねえ、会話が成り立たない。どうやら、猿に注意しても意味を組みっとてくれないらしい。」
「誰がどう見たら、俺が猿なんだよ!」
すると、また別の女性が青年に追い打ちをかける。
さっき、
「まあ、たしかに出会って3秒で下ネタぶち込むような変態猿には何も通じないかもしれませんね、キクさん。」
「その通りね」
女性陣が結託して青年をボコる。
ちょっと、可哀想になってきた
俺と話してだけなのに。
まあ、困ってたけど。
っと言うか、若い方の女性、どっかで聞いたことある声してるなあ
部屋暗いから顔わかんないし。
「なあ、ゼノン。」
「なんだ?」
「あの人、俺どっかで会ったことあるような気がする。」
俺が耳打つすると、ゼノンは鼻で笑った
鼻で、笑いやがった。
「何がおかしいんだ?」
「いや、ネームドになっても、お前は変わんねえなw」
「だから、なんだよ!持ったぶってねえではやく言えや。誰だよ、あれ!」
思っ切り叫んでしまった。
周りが女性陣にボコられた青年からこっちを見る。
もちろん、あの女の人も。
そして、クスリと笑い
こっちに来る
「すっ、すみません、先輩。誰だって叫んでしまって。」
一癖も二癖もある人達の集まりだろ
ネームドって。
笑ってたけど、
「ザ・マッドサイエンティスト」ってパターンあるぞ、これ。
「へえ、『愚者』君はそーゆう事言うんですか。
私、ちょっと傷つきました」
傷ついた?
まあ、たしかに失礼だったかもしれないけど・・・
傷ついたとは?
いやいや、だから変人かもしれないだろっ
「い、いえ、今のは、なんてゆーか、言葉の綾っていうか。」
「『言葉の綾』ってそんな使い方するんですー?初めて知りましたー。」
「い、いえ。」
なんなの、この人ー!
めっちゃ、怖いんだけど。
一歩、また一歩とどんどん近づいてくる。
そして、窓からの月明かりから
照らされた女性の顔は、
俺がよく知る顔だった。
「改めて、ネームド昇格おめでとうございます。クロイツ君、ゼノン君。
『
▽
・・・・・(。´・ω・)ん?
んんっ!?
ま、まじ、かよ・・・・!
まさかのミットが、ネ、ネームド!?
しつこいけど、
まじかよ・・・・!
さっきの青年先輩の小言が始まる。
「おいおい、まさか知らなかったのかよ」
「うっ・・・・」
「いやいや、ないわー。自分の組織のトップぐらい・・・知っとくだろ、フツー」
青年先輩の追撃と、
外野の呆れた目は
俺にかなりのダメージを与えた。
その後、ミットの仲裁が入り、
「まあ、本人がそういうなら」と、一時は収まった。
▽
「はぁ?」
後日、俺とゼノンは歓迎会(?)でいつの間にか
帰っていた川田さんに呼ばれ、
「事務室長室じむしつちょうしつ」という
いかにもお堅い部屋にいた。
「ほんとにお前ら、知らなかったのかよ」
どうやら、川田さんは俺らがとっくの昔に、
ミットがネームドであることを知っていると思っていたらしい。
「いや、知らなかったのはこのバカだけで、俺は知ってました。」
「バ、バカじゃねえし!」
「なるほど、正に『
なんだよ・・、俺に恨みでもあんのかよ!
本人の前で、そこまで言う!?
ここは、何としても話を変えなければ!
「あの!早く本題に入ってもらえませんでしょうか!!」
すると、ゼノンと川田さんはヒソヒソ話を始めた。
「おい、ゼノン。こいつ、露骨に話を変えようとしてるぞ」
「だめですよ、露骨なんて言っちゃ。これが、こいつの限界なんですよ」
「なるほど、バカ知恵ってやつだな?」
「聞こえてますよー!?それ言うなら猿知恵ですよ!」
「まあ、聞こえるように言ったからね」
川田さんは、真顔でそう答え、
隣でゼノンが首を頷いている。
こいつら・・・・。
当たり前みたいな顔で言いやがって・・・・!
「っこほん。気を取り直して。」
何もなかったかのように言うのが
少し癇にさわるが・・・・・・、
どうやら本題に入れるようだ。
「・・・・、連れてきてほしい男がいる」
と言うと、川田さんは一枚の写真を取り出した。
▽
男の名前は
年齢は34歳で無職。
住所不定。
独身。
身体的特徴は、175センチ以上で、右腕にやけどの跡。
服装は、バンドのドラマーがいかにも、被りそうなバンダナに黒いふちのあるメガネ。
数週間前。
ある喫茶店で、黒沢が喫茶店の店員に言ったことを、
主人が通報したことが
発端だった。
主人によると、
「俺は、あの『DAYS』に所属している」
といきなり言い始めたそうだ
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