第1章

第1話 潜水艦見ユ(1)

俺はこのとき、艦長日誌を書いていた。



護衛艦『斐伊』艦長日誌


平成26年12月27日

本艦の慣熟航行を兼ねた、任務もあと、3日で終了する。

しかし、港に帰れるということで、乗員の気が少し緩んでいる。これをどうするかも、艦長の大事な仕事だろう。

北の不審船に対して発令された海上警備行動について…


ここまで書いたところで、

…艦長は、至急、CICまで来て下さい。繰り返します、…


という館内放送が聞こえたので、俺、片岡弘樹二等海佐は、ベッドの上においていた帽子を手にとって、CICへと向かった。

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