第3話

 体育祭の日が過ぎて、わたしは一学期の期末テストが終わってすぐに病院に行くことになっていた。

 今日は検査入院する。

「お姉ちゃん、ごめんね! 気がついた」

「あ、そうか。検査だっけ?」

「うん。検査だよ」

 わたしはそのまま検査結果を待つことにした。







 翌日、わたしは主治医の先生に呼ばれた。

 検査結果を教えてくれるみたいだった。

 なんか、先生が暗い表情をしていて、少しだけ不安になってしまう。

 口のなかが乾いて、手が震えそう。

 胸騒ぎがして、先生は結果を話してくれた。

「検査の結果だが……その前よりも悪化してました」

「え、そんな……」

「はい、こんなに進行性のある症例はごく稀で、なかなか根治させるのには時間を要すると思います」

「先生、あの」

 わたしは思いきって、聞いてみることにした。

 自分の将来にも繋がる大切なことだ。









「わたし、あとどれくらい、生きられますか?」

 先生はそのまま事実を教えてくれた。






















 わたしは家に帰ってから、部屋に閉じこもった。

「はぁ……どうしよ」

 あの言葉は聞いても信じられなかった。

『高校卒業できるか……その辺りです』

 先生が言ったのは、覚悟をしていたけど、現実を受け止めきれない。

 高校卒業、それが実現になるか……その前に死ぬのかと思うと、背筋が凍る。

 心のなかで、叫びそうになった。

 ――龍樹、助けて!

 自分の体はもう病気に蝕まれている。

 必ず助かるという保障はできない、いつ病気が悪化するのかもわからない。




 検査入院から戻ったときに、龍樹とは全然話すこともなくなっていた。

 野球部の試合があと数週間で始まるらしく、追い込みをかけているという。毎週末はどこかと練習試合もしているし。

「龍樹~、お疲れ様」

咲悠良さゆら、大丈夫か?」

「どうして?」

「入院したって聞いたから」

「うん、大丈夫だよ」

 龍樹は少し首をかしげて、再び練習をすることになった。

 龍樹のことが好きなの。

 それは突然でふとしたときにやって来たの。

 片想いをしているのは、誰も知らない。

 小麦色に焼けた肌に真っ白なユニホームが似合っていて、それをみるだけでもドキドキしている。

 こんなにドキドキしているのに、苦しい気持ちになる。不安で気持ちがいっぱいになるの。

 現実逃避していると言われるかもしれないけど、わたしの病気はもう治すこともできないくらいに悪くなってる。

 そうしないと、明日には亡くなるかもしれないという気持ちでいっぱいになりそうで、怖い。

 生きたい、苦しいけど病気を治したい。

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