第1話
龍樹と仲良くなったのは、共通の趣味があったからだ。
それは映画についてだ。
わたしはアクション系が好きで、最近は週末に一日中、映画館に行くようなことがあるんだよね。
体のこともあるので、学校がある日以外には寝込んでることが多い。
龍樹が早く待ち合わせに来ているみたいだった。
「龍樹、おはよう!」
「咲悠良、お前、体調は大丈夫?」
「うん! なんとか」
わたしは生まれつき体が弱くて、たまに検査のため入院することもある。
「龍樹はなにを見るの」
「これ。なんか面白そう、たまにはこういうのを見てみたくて」
龍樹と一緒に観たのは、アニメ化した小説の映画で、よく読んでたものだった。
主人公は名家の出身で、子どもの頃に向かった国へと帰るものだ。
「面白かったな。主人公になりきれるのがすごいよな、あの映画」
「龍樹も泣いてたじゃん」
映画館をあとにした。
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