少しだけ

須川  庚

プロローグ

 わたしはドキドキした。

咲悠良さゆら~。おはよう!」

 その声が聞こえ振り向くと、びっくりした。

龍樹たつき! おはよう。大丈夫だった? 電車の遅延とか」

 わたしは竹邑たけむら咲悠良。高校二年生で、聖橋学院ここには中学からいるんだ。

 隣にいるのは相馬そうま龍樹。高校からの入学生で、野球部に所属している。

「龍樹はセンバツとかは」

「西東京は強豪校がひしめいてんだぞ? そんな簡単には甲子園には、行けねぇよ。それだったら、スケート部の方が有名だよな」

 聖橋学院は中高スケート部があって、大学のスケートリンクで練習をしているの。中高の部員はもちろん、大学のスケート部の部員とか外部のスケートクラブも使っている。

 スケート部が有名になったのは、この春に卒業した先輩がオリンピック金メダリストが誕生して、そこから入学希望者が殺到したの。


「でも、クラス替えの表を見に行くぞ」

「待ってよ。龍樹!」

 龍樹に片想いして、もうすぐ一年が経つ。

 まだ、彼に伝えたことはない。

 クラス替えの表を見に行った。

 龍樹とまた同じクラスになった。

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