第3話 ESP少女

「よし! 今日から私も高校生! お友達をたくさん作るぞ!」

 昔なら「サイキック能力で、高校を支配してやる! ワッハッハー!」と世紀末の悪魔みたいな冒頭だが、分かりにくくなるので却下。

「お友達ができたら、みんなで遠足に行くんだ! みんなでおにぎりを食べるんだ! きっと楽しい!」

 昔はおやつは300円までであったが、現代はスマホに○○ペイが入っているので、親のクレジットカードでおやつは買い放題の食べ放題である。

「アハッ!」

 真理亜の頭の中は新生活に夢と希望のお花畑だった。

「おはよ・・・・・・よう!?」

 真理亜は自分の教室に行った。明るく元気に挨拶をしながら教室に入ろうとしたのだが、何か異様な景色を見て驚いている。

(これはどういうこと!? みんなに黒い塊が乗っている!?)

 教室にいる生徒たちの背後に黒い塊が取り憑いているのが見えた。

「ねえねえ。おバカが入って来たよ。」

「キモイ。」

 陰口をたたく者

「ああー!? クソッ!? 負けた!?」

 スマホでゲームをしている者。

「・・・・・・。」

 窓から遠くの空を眺めている者など。

(なに!? この感覚は!? 楽しい教室にいるはずなのに・・・・・・誰も笑っていない!?)

 超能力少女の真理亜は、超感覚的知覚(ESP)で他人の感情を感じ取る。

 つづく。

 おまけ

 超感覚的知覚(ESP)。

「ん・・・・・・んん・・・・・・ここはどこ? 私は誰?」

 真理亜は自分のベッドで目を覚ました。超能力の説明を聞いて理解できずに気絶してしまったのだった。

(お姉ちゃん、目を覚ましたのね。)

 妹の楓の声が聞こえてきた。

「楓? あれ? おかしいな? 楓はいないのに?」

 部屋の中を見渡しても、誰もいない。

「・・・・・・はあ!?」

 姉は何か深刻なことに気がついた。

「まさか!? 楓は死んだのね!? 死んだから幻聴が聞こえるんだわ!? 楓は幽霊になっちゃったのね!? 死んだ妹に取り憑かれたんだわ!? ああー!? 何て可哀そうな楓なのかしらー!?」

 ここまでくると寸劇のレベルである。

(勝手に殺すなー!)

 ツッコミを入れる妹。 

(これは心の声よ。私は超能力でお姉ちゃんの心に直接、語り掛けているのよ。)

 妹は超能力で姉の心に声をかけている。

「心の声!?」

(そうよ。テレパシーといわれるサイキック・スキルよ。)

「タイキック・スキル?」

(サイキックだー!)

 もう、この流れはお約束。

(離れている相手とも意思の疎通ができる、超能力でいう所の超感覚的知覚(ESP)ね。) 

「ごめん。楓ちゃん。難しすぎて頭がクルクル回ってしまうんだけど?」

 難しい話は分からない、おバカな姉だった。

(はあ・・・・・・お姉ちゃんには無理か。仕方ない、お姉ちゃんでも分かるように説明してあげよう。)

 普通の会話ができない姉に呆れて諦める妹は、姉に分かるように説明しようとする。

「ありがとう。楓先生。」

 姉は生徒、妹は教師。それが大神姉妹である。妹の優しさにおんぶにだっこの姉だった。

(お姉ちゃん、アニメや漫画は好きよね?)

「うん! 大好き! アハッ!」

 姉の趣味は、アニメと漫画になった。

(星戦争のフォース、竜玉の気、戦士機動のニュータイプなどと同じよ。これは全て超能力よ。サイキック作品よ。)

「タイキック作品!?」

(サイキックよー!)

 妹は姉にでも分かりやすいようにたとえ話をする。

「おお! そういうことか! 私でも分かったぞ! ありがとう! 楓!」

 大好きなアニメや漫画で例えてもらうと超能力を理解できる姉は満面の笑み。

(本当に大丈夫かしら!?)

 不安な妹は姉の大丈夫を信用していない。

「フッフッフッー! これで私もタイキック少女だー! ワッハッハー!」

 前向きに笑い続ける姉であった。

「お姉ちゃん!? 少しズレてるよ!?」

 真理亜は、心と心で会話するサイキック能力(テレパシー)を覚えた。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る