リヴレ王国で一番の蔵書量を誇る王立図書館で司書として勤務する少女メル・アボットが遭遇する不思議な冒険譚です。
市民なら誰しもが利用できる王立図書館に収められた書庫には、ただの本ばかりではない、古の魔法使いが遺した魔導書も眠っている。
人付き合いが苦手で本好きな少女メルは司書として図書館業務に携わるかたわら、魔導書が巻き起こす騒動に巻き込まれる。
魔法使いの主人が遺した日記帳を探す使い魔の手伝いをしたり、人間と知識を蒐集する図書館迷宮に閉じ込められたり、禁忌の魔術を求める魔女に狙われたりと、魔法の図書館という舞台装置が生み出す世界観が幻想的で、メルが体験する白昼夢のような小さな冒険に陶然としてしまいます。
本作はシリーズ構成になっているので、まずは過去作から順番に追っていくのをおすすめします。図書館を訪れて本棚の隙間に隠された古の叡智を探してみたくなります。
(「ミュージアムへ行こう」4選/文=愛咲優詩)