猫のケンカ

1人になるとふいに色々と考えてしまうことはないだろうか。

このままでいいのか。自分は何を望んでいるのか。

音のない部屋で、静まり返った空間で、ただひたすらぼーっと過ごす。

最初は物寂しいが気付けば心地よく感じ始める静寂、そんな頃合い。

特にいい案も浮かばず、考えも浮かばず、それでも止めることのない思考の整理。

自分自身と向き合う大切な時間。

そろそろいい案が浮かぶかもしれないと気を抜き出したその頃。

ふと聞こえてきた腹の底から出す「ウー」という声に思わずビクッと震えた。

(なんだ?)

声の主は外からだ。

あまりの声にカーテンを開ければ、5匹ほど猫が集まっている。

(なんだ、なんだ)

今宵は月夜。縄張り争いで集会でも開いていたのか。

集会かどうかは分からないが意見があわなくなってケンカになったのは間違いない。

ケンカしていたのは白黒模様の大柄な2匹。

この辺は野良猫がかなり多い。圧倒数の白黒模様。真っ黒。茶トラ。キジトラ。見かけただけでもかなりの種類だ。

猫の声をBGMにしばらくの間ケンカを眺めていたがサーッとカーテンを閉め、部屋に戻った。あとは勝手に決着をつけてくれ。と思う。

(…一気に賑やかになってしまったな)

だが、こんな時間も悪くはない。

あのままでは余計、考えの渦に巻き込まれるところだった。

(こうやって、クヨクヨ悩んでいるよりも行動でしめせ…か)

猫たちはそんなこと一言もいってない。

だが、彼らの場合はケンカだが、それでも行動で常に示している。

悩むよりも動くこと。それが一番、大切なのかもしれない。


やらずに後悔するより、やって後悔するほうが何倍もいい。


自分の座右の銘であるこの言葉が、やっぱり自分に合ってるらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る