第360話結婚式―私が悪役令嬢じゃ無くなる日―

キャサリン・フラーム18歳。

遂に!遂に!今日、ジェファーソンと結婚します!


入学式の校門で前世の記憶を取り戻して3年。

私は本当に紛れもない悪役令嬢キャサリン・フラームだった。でも。運命が変わった。変えてくれたのは私の親友のルナリーだ。

本編のゲームの主人公の欠片も無い様な破天荒過ぎるルナリーのお陰で私は今、此処に居る。


「ルナリー!めっちゃ似合うわね!」

白無垢がルナリーの美しさを引き立てている感じだ。凄くお淑やかに見える。

「キャサリン!お前の方がまじで何倍も綺麗だからな!本当に似合う。まじで可愛いよなあ。」

うん。本当にしゃべったら白無垢が台無しになるわね。だけど本当に最高の親友だ。


教会の控え室で新郎と新婦は分かれて着替えとお化粧中。ルナリーの着付けはローズさんが行い、ローズさんの着付けはルナリーが行っていた。本当にこの2人は仲良し親子で全然、気も使わないで良い所は羨ましい。


「婚礼衣装ってのは踏みそうになるよなあ。」

「恥ずかしいから転ける事は避けたいわね!」

うんうん。


「呼んで来ようか?ルイスとジェファーソン。」

ローズさんが気を利かせてそう言ってくれた。

「ありがとう。ローズさん!」

ルナリーもまだルイスにその姿見せて無いらしい。

私もきちんと着るのは初めてだ。


ドアがノックされた。

「どーぞー!」

ルナリーが声をかける。


白の婚礼衣装に身を包んだジェファーソン。

めちゃくちゃカッコイイ!!

「キャサリン・・・。美しい・・・。」

頬を赤くするジェファーソンを見て私の顔も赤くなるのが解った。


「ジェファーソン・・・。かっこいいわ。」

そっとジェファーソンが私の手を取る。

感動と嬉しさと色んなものが入り交じって言葉が出ない。


「ルナリー。似合い過ぎ。可愛い。美しい。愛してる!」

「照れるじゃねーか!ルイスもかっこいいぞ!愛してるぞ!」

2人の会話聞いてたら現実に戻ってこられた。

「結婚式!頑張りましょうね!」

「本当ですよ!1生に1度の晴れ舞台ですよね!」

私もジェファーソンも何故かしら気合いが入る。


「あれだけ練習したもんな。」

「間もなくだな。」

ルイスもルナリーも。コンサートより緊張してきたかも。

4人で雑談で緊張を解く。一緒に結婚式にして本当に良かった。


「そろそろお願いします。」

使用人が呼びに来た。


「良し!行くかー!!」

ルナリーとルイスが気合い入っていてちょっと笑える。

「全く、喧嘩に行くみたいな気合いね。」

「2人は本当にお似合いですよ。勿論、僕らもね?」

ジェファーソンが私にニッコリ微笑んだ。

うん。

ずっと私は自分に自信無かった。

でもね?私、貴方がこの世で1番好きなの!それには自信があるわ!

ジェファーソンの手を取る。


ルイスとルナリーもそっと手を繋いだ。


教会の大聖堂へ入場。


この時代?と言うかこの国?

結婚式の音楽ってあの入場曲じゃない。


聖歌で入場する。


クリスマスミサコンサートとは違う。

その拍手は祝福の拍手だ。


1歩、1歩。ジェファーソンと歩む。

ルイスとルナリーも。


皆、来てる。ノネットの皆。

1番嬉しいな。本当に私達って最高の友達で仕事のパートナーだよね。


聖歌が止み大司教様の前に立つ。


神様に感謝する。全てに誓えるわ。


「健やかなる時も病める時も・・・。」

大司教様がそう聞く。


「誓います。」

ジェファーソンが答える。


「健やかなる時も病める時も・・・。」

勿論、私も。

「誓います。」


何度も練習したのに・・・。

心が凄く温かくなっていく。


指輪を交換。


手が緊張でちょっと震えた。

「大丈夫。僕も緊張してます。」

ジェファーソンがボソッと呟いた。フフっと見詰めあって微笑む。

お揃いの結婚指輪。


また心が温かくなる。


優しい拍手が嬉しくて嬉しくて。


「誓のキスを。」


ジェファーソンがそっと私のベールを上げた。


これも。何度も練習したのにな。


何故だろう。涙が出る。

ジェファーソンの目にも薄らと涙が浮かんでいて。

「キャサリン。幸せにします。」

「私もジェファーソンを幸せにします。」

そっと触れるキス。


幸せ・・・。


見詰めあって微笑む。


キャサリン・フラームは・・・。


本日、キャサリン・ボードウェンになりました。

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