第336話マッケンジー家へ

「え?何のこと?トンカツって何?」

クライスが私達のやりとりを見て首を傾げる。

その様子でルイスも察してくれた。


「しまったー!!」

「謝ろう。」

グレンさんとローズさんに・・怒られるだろうなあ。


「いや。内緒に出来るよ。」

会長はサラッとそう言ったが私達の性格上そう言う事には出来ないのだ。

「ケジメは付けないとな。」

ルイスも同じ考えみたいだし。


「ところでキャサリンとジェファーソンは?知ってた?・・・感じだね。」

会長が2人を見ると解り易いくらい気まずそうな顔をした。


「うーん。取り敢えず光国殿に電話するよ。」

会長はそう言って電話優先!と王子と2人で電話をかけ始めた。


「どうする?ルイス。」

「恐ろしいな・・・。」

ペラペラと話してしまったのがなあ。

2人で良いアイデアも浮かばず悩む。今日はしっかり怒られるしかない。


電話の会話は弾んでいる様で会長はしっかり作り方を伝授している。

パルドデア国の到着より私達が前に着いて打ち合わせもすると言う話が纏まった様だ。


「さてと。この余った唐揚げと焼き鳥。持って帰ったら?」

電話をかけ終わった会長が何だったら僕とクライスも着いて行くよ。と言ってくれた。

貢物持参か。それなら少しましかも。



・・・・・・・・・・・・


「ねぇ。会長。全然、話が解らない!」

マッケンジー家へ行く為に家にお互い電話をクライスとかけ終わったら横のクライスが耳打ちしてきた。

「ルイスの御両親も前世はプラゲ国人だよ。」

「えーーーーー!!!!」

叫ぶクライスの口を思わず手で塞いだ。

「こら。城内で叫び過ぎ。」

びっくりした!全然気が付かなかった!とクライスは目を白黒させている。

僕は何となく気が付いていた。


だって、ルナリーとルイスと同じジャンルの匂いがするし。

御両親もヤンキーなんだろうなあ。ケジメとか言ってたし。


と言う訳でマッケンジー家にやって来ました!!

やっぱり財閥の家は大きいなあ。

改めて考えると警護人が門の前とかに居ない。

全員、強いから?あはは。そうかも。


「ルイスの家は久々かも。」

「僕も。」


玄関前でルイスとルナリーが明らかに暗い顔で待っていた。そんなにか?!


お邪魔しますと執事にご挨拶。

リビングルームに通された。


「クライスにケビン君。久しぶりだね。」

「いらっしゃい。どうぞ。お掛けになられて。」

ルイスの御両親。こうして見ると普通の財閥のお金持ち。


「親父!お袋!すまん!」

「グレンさん、ローズさん!バレました!」

ルイスとローズが立ち上がって頭を下げた。そのまま頭下げたまま微動だにしない。


「ルイス!バレた?バラしたのか?」

グレンさんが威圧する様にルイスに聞いている。

「あの。鶏唐揚げが美味すぎて。」

「つい我が家で食べたトンカツの話をしたした。」

相変わらず頭を下げたままだ。えーと。そんなに怖い存在?


「唐揚げか。美味かったか?」

そう聞かれて、はい!!と2人は答えていた。


そろそろ止めてあげた方が良いかなあ。


「あのー。誰にも話しませんし。えーと。良かったらこれを。」

緊迫する4人の間に割って入る。

そっと残り物の唐揚げと焼き鳥をテーブルに置いた。

プラゲ国からの贈り物にあった重箱を利用されて貰った。


蓋を開けるとグレンさんとローズさんの顔が緩んだ。


「・・・。酒に合いそうだな。」

グレンさんはボソッと呟いた。


「まあ、言っちまったもんは仕方ねーよ。2人とも座りな。ケビン君もクライスがびびってるだろ?」

ローズさんが微笑む。


そこからは宴会になってしまった。

プラゲ国からの個人輸入品の焼酎!!


テンションが上がる。でも、二日酔いにならない程度に控え目に飲まねば・・・。


「じゃあ。ルイスのお父さんとお母さんは前世から仲良しだったんですね。」

クライスがなるほどねぇ。と納得している。

「まあ、正確にはローズがルナリーのボスで俺がルイスのボスだな。」

うんうん。とクライスは頷いているが暴走族の上下関係については良く解っていないだろう。

僕もそこまで2人が謝るって言う感じにちょっとびびった。

総長だったとはね。そりゃあ強い筈だよ。この前の動物園での誘拐事件の事を思い出した。

あの辺からおかしいと思っていたんだよね。


「俺達も謝らなきゃな。ルイスとルナリーに聞いたんだ。」

グレンさんにそう言われた。


「悪い。会長。うちでは秘密事が無しなんだよ。」

僕らの関係か・・。


「全然、構わないですよ!味方が増えると嬉しいです。何かあったらうちの親の説得助けて下さい!」

クライスは嬉しそうにグレンさんにそう答えた。


そっか。財閥同士だしクライスの御両親とも仲良しだろうし、それは助かるか。


「解った。勿論、引き受けるよ。」

グレンさんもローズさんも優しく微笑む。


「ありがとうございます。」

と2人で頭を下げた。


「良いって事よ。ここの家では気にせずオープンにして良いから。」

だいぶ酔ってきたグレンさんがゲラゲラと笑い出す。


「しかし、焼き鳥も唐揚げも美味い。」

2人ともにそう言って貰えて僕も嬉しい。


「親父とお袋もプラゲ国行くの?」

ルイスが尋ねる。

「お前達が着物だろ?やっぱり俺達も着たいもんなあ。」

「そうそう。留袖を作りたい。」


「マッケンジー家は全員着物なんですね。」

似合いそうだ。リアルな極妻みたいなローズさんと親分の様なグレンさん。


会話が弾みまくったおかげで気がつくと22時過ぎていた。


「今日は泊まって行きな!」

「そうしな。」

え?マッケンジー家にお泊まり?


「流石にそれは・・・。」

うう。断り難い圧があるー。


「泊まります!」

クライスが嬉しそうに答えた。


まあ、ルイスとクライスと3人部屋だろうし良いか。

「パジャマは貸すよ。何か合うやつあるだろ。」

ルイスが風呂場に用意させるからと話を進める。


俺達は寝る!!とグレンさんとローズさんの酔っぱらい2人はご就寝される様だ。



「クライス、一緒に入るか?」

「うん。いいよ。」

交代で風呂に入る事になりルイスとクライスは風呂へ。


「会長、すまねー。グレンさんもローズさんも言い出したら聞かないからなあ。」

リビングでルナリーと2人で珈琲タイム。


「いやいや。良いよ。ちょっと嬉しいし。」

正直、ドキドキするけど。3人ならまだ大丈夫だし。

クライスとずっと一緒に居られるって幸せだ。

「好きな人とはずっと一緒に居たいもんな。」

ルナリーもフフっと微笑む。


前世でのグレンさんとローズさんとの話を聞いていたらルイスとクライスが風呂から上がってきた。

僕も入ろうっと。

お泊まりはテンション上がるなあ。

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