第335話演歌と持て成し料理

翌日。

私とルイスは演歌担当。

会長はブツブツと和食のメニューを考えている。


他の皆はそれぞれの周りに適当に集まって談話中。


「僕も知ってる演歌あるけどさ。内容が高校生が歌う内容じゃないよね?後さ地名とか問題なんだよ。」

会長が思いついた曲を聞いてみると『津軽海峡冬景色』や『天城越え』らしい。

歌詞を見るとなるほど確かにこれは却下となってしまう。


「案外、難しいんだよ。」

任せるよー。と言ってこの時代に作れそうなパルドデア国への持て成し料理かぁと溜息をついた。


「ルイス、何か思いついた?」

早速、楽譜と歌詞を書き始めたルイス。


「あー。昴か。カインが歌わないと確かにアルマーニ王子が喜ばないもんな。」

うん。それは正解だ。


「え?!昴をプラゲ語で?!」

カインが僕が歌うのかとちょっと頭を抱えている。


私は何にしようかなあ。あー。美空ひばりさんにしよう。

『愛燦燦』この曲は良い曲だし名曲だ。


「ルナリー、何にした?」

ルイスが聞いてきたので愛燦燦と答えた。


「あー!!あったね!ピンと来たよ。川の流れのようにって名曲がある!」

会長が会話に入ってきた。


「その曲は・・・?知らない。」

多分、私もルイスも死んだ後だった様だ。


会長が『川の流れのように』を書くと言うのであと2曲か。


ルイスは昴の楽譜を書き終えてカインに渡した。

「僕は練習するよ。」

曲は解るから歌詞を覚えないとな。と練習開始。


「何があったかなあ。」

ルイスも悩み始めた。結構思いつくのだがいざ歌ってみると歌詞が地名が入っていたりする演歌。

私達は行ったことがある地域が限られているから怪しまれても困る。

特に演歌は東北の歌ばかり思いつくんだよなあ・・。北酒場は駄目だなあ。雪国も駄目だよなあ。えーと?


「おっ。これラストの歌詞を変えたらいける!」

ルイスが思いついた!と歌い出した。

『祭り』か!歌詞。そうか、これがプラゲの祭りだよー。ならOKだ。


私も頑張らねば。えーと?瀬戸の花嫁は?地域的に難しいか。

「おー!私の城下町!!」

会長がやるね2人とも!と褒めてきた。


こっちの演歌は決まりそうだな。


『昴』、『祭り』、『愛燦燦』、『川の流れのように』、『私の城下町』の5曲でどうだろう。


「ねぇ。やっぱり鶏肉がベストかな?」

会長が声をかけてきた。


「牛、豚はまだあまり食べないかもなあ。記憶に無い!」

正直、江戸なのか明治なのかも定かじゃ無いプラゲ国。

明治時代なら肉をもっと食べてる筈なのだが光国さんも夏目さんも余り好きでは無いって言ってたもんなあ。


「ねえ。会長!私は唐揚げが食べたい!」

キャサリンが好きなのよねー!と言ってきた。

「盲点だった。鶏唐揚げは確実にウケるよね。」

会長が1つメニュー決定と嬉しそう。


「唐揚げなら焼き鳥も良いよね?」

酒には焼き鳥と会長はメニュー2つ目確定!とノートに記入。レシピを作成しようと作り方を書き出している。


唐揚げと焼き鳥かあ。それは食べたい。


「ねえ、もしもの為にアンコール曲も作っておいたら?」

王子に言われて再びルイスと悩みだした。


演歌歌手を思い出して。流行った曲?そして高校生が歌えそうな歌詞。


「ルナリー。思いついたぞ!」

ルイスが今日は冴えている。ほい!と渡された歌詞を見ると『おふくろさん』だ。

これは武士にウケそう。


会長はレシピ作成終了と伸びをした。

「曲作りの方が楽だよ。本当に焼き鳥のタレとか記憶曖昧過ぎる。」

と溜息をついた。唐揚げは自信あるらしい。


「なあ、油使うならフライ物も良いんじゃないか?魚フライとか。プラゲ国人も好きそうだし。」

「パン粉は?ボードウェンから持参するかな。」

そっか。パン粉は今のプラゲ国には無いのか。


でも、なんだかんだと曲もメニューも決定した。


後は練習あるのみだな。


曲になると皆、覚えるのが早い。




練習後。


城に会長、クライス、キャサリンとルイスと私で向かう事にした。

光国さんへの電話と唐揚げと焼き鳥の試食をする為だ。


明日は学校休みだし多少のんびりも出来る。


「いやー。唐揚げは本当にワクワクだよなあ。」

「ちょっと試食してから光国さんには電話しようか?」

と決めて会長は城の料理人にレシピを渡した。

会長は料理人と一緒に作る事になった。


「会長の手料理かあ。」

クライスがワクワクしている。


「ジェファーソンも好きだと思うわ。鶏唐揚げ美味しいのよ!」

キャサリンが嬉しそうに王子に訴えている。

「楽しみです。プラゲ国の料理は元々美味しいですもんね。」

早く食べたいなあと王子も待ち遠しそう。


「出来たよ!」

会長が揚げたての鶏唐揚げを皿にどーんと盛ってきた。


「焼き鳥は今、炭火で焼いてもらっているから。」

それも楽しみだ。


いただきます!!


「あっちぃー。でも、美味い!」

懐かしい味。

ジューシーでしっかり味付けされているし。

「美味しいです。」

「めちゃくちゃ好き!!」

王子もクライスも美味い!!と言っているし。


キャサリンは感動しまくっている。


「ご飯食いてえ。」

ルイスの言うのも解る。


少し待つと焼き鳥が出来上がってきた。


「これもまた香ばしくて美味しいですね。」

「会長、凄い!本当に美味しいよ。」

評判は唐揚げも焼き鳥も同じくらい良い。


「アルマーニ王子も満足しそうだよな。」

うんうん。これなら大丈夫。


「うちでトンカツとか生姜焼きとか食べだけど唐揚げは無かったなあ。」

「うん。今度作って貰うか!」

ルイスとマッケンジー家でも食べたいなあと話をしていると。


「ねえ?マッケンジー家でトンカツ食べたの?」

会長が首を傾げる。


「ん?食ったぞ。」

ルイスが何気なく答えた。


あっ・・・。しまった。唐揚げにテンションが上がりすぎてた。


「もしかして?ルイスの御両親は?」

会長がニヤっと笑った。


バレたな。やっちまった・・・。

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