第326話久々に学校へ行くと・・・

朝から飛行場までパルドデア国王子達とダミアン皇太子とエリザベスさんを見送りをした後に何だか久しぶりに学校に行く事になった。


「まあ、行っても殆ど自習だけどね?」

会長がそう言う。

「え?何で?」


「だって、この時期はオーディションシーズンだし。」

そうか。国立音楽管弦楽団や市民楽団等のオーディション。それに推薦入試シーズンなのだ。

3年生は自由らしく会長は去年のこの時期は曲作りに没頭していたそうだ。


「一応、文化祭コンサートもあるし曲決めって事でレッスンルームに集合しますか。」

出席済ませたらそうするかと学校へ向かった。


学校へ着いて掲示板の所でクライスとカインが止まった。

「ねえ?文化祭が大変な事になっているんだけど!!」


2人が騒ぐので寄って見ると


2日目大ホール

ノネット・クライムコンサート


その他ノネット・クライムの皆様への嘆願書のご要望に極力、生徒会はお答え出来る様に交渉致します。

①握手会

②コンサート2時間

③ノネットメンバーとダンスパーティー

④ノネット・クライムトークショー

等。予定はまだ未定。


「げっ!何だこりゃ!」

「えー?面倒くさい。」

嘆願書ってそんなの届いたのか?


「僕の時は遠慮してたのかな?こんなの無かったよ。」

カインはそう言った。

「あれだろ?卒業するから。」

ルイスが苦笑い。


だろうなあ。と全員で溜息。


「取り敢えずパトリックに会いに行くか。」

1年生は授業があるので昼休みまではレッスンルームでコンサート曲決めをしたり。

もしも何かコンサート以外のことをするとしたら何をするかとか話し合ったんだけれども。


決まらない。



昼休み。生徒会室。


私達の顔を見るなりパトリックは

「ごめんなさい!!もうどうしたら良いのか解らなくなってしまって。」

と謝ってきた。


「見てください。」

そう言って書類の束を見せる。


ノネット・クライムと握手会嘆願書・・・。


ノネットメンバーとダンスパーティー提案書。

あー。本当に色々来てる。

中でもコンサート延長願いが1番多かった。


「しかも、ノネットのために出し物をキャンセルするとか生徒達が言い出してしまったんです。」

現在、2日目の演奏披露は他の生徒達の予約が無し。


困った生徒達だが・・。それだけファンなのだろうな。


「これは早急に何をするか決め無いとパトリックが困りますね?」

王子が気の毒そうな顔をするとパトリックはまた、すみませんと泣きそうな顔で頭を下げた。


「今日の放課後か遅くとも明日には何か話し合ってみるから。待ってて下さい。じゃ、本格的に会議しますか。」

王子も午前中の話し合いでは乗り気では無かったが沢山の生徒達の署名を見るとやる気も出ますよね?と笑いながらレッスンルームに戻ろうと言う。


「パトリック。頑張れよ。」

一声かけて戻る。

しかし、何するんだ?


レッスンルームへ戻ると会長がラジオ放送を終えて来ていた。

「掲示板見たよ。ウケるねー。こりゃ大変だ。」

と他人事の様に笑っている。


「全然、何したら良いか解らなくてどうします?」

王子が会長に質問する。


「さあ。何故、僕らはこんなにやる気が出ないのでしょう?」

会長はニヤっと笑って私達の方を見た。


「え?昨日のコンサートで疲れたからかなあ?」

カインはそう言ったが何か違う気がする。


「面倒くさいから?」

「確かに面倒くさい。」

私とルイスの意見に会長はそれもあるだろうねぇ。と頷いた。


「僕らはねもう。プロなんだよ。コンサートはお金が取れる。ミサコンサートも慈善事業みたいなものだが1曲から多くても3曲しか披露しない。」

「だから。2時間無給で何てやってられない。ってのが本心かな?金に汚いんじゃ無いよ。何となくの深層心理。」


そう言って会長はまたクスクスと笑い出した。


「否定出来ないかも。」

「お金が欲しいって言うよりも何か僕らから提案したのでは無いって言うのが嫌なのかもなあ。」

クライスと王子が会長の意見に納得した様に頷いた。


「コンサートは例年通りにして何か出店やらない?」

会長が文化祭と言えば?と私やルイス、キャサリンに尋ねた。


「文化祭か。喫茶店とかか?」

ルイスがそう言うと


「えっ?僕達が喫茶店を?!」

と他の皆は反応する。確かにスイーツ等の露店はあるが生徒が何か店をやるって言うのは見た事が無い。


「面白そう!」

クライスが目を輝かせた。


「確かに人生でウエイターとか絶対する事無いと思っていましたし。楽しそう。」

王子の意見にカインもジョージも頷いた。

「私達はウエイトレスですよね?良いかもー!」

エミリアも乗り気。


「いや。そうじゃない。やるなら!!」

会長がニヤっと笑った。


「メイド喫茶&執事喫茶!!しかも女装と男装でやる!」

そう宣言した。


「あー。確かに女装とか文化祭の特権みたいなもんだよなあ。」

「コスプレとかもよね。」

「あったなあ。」

私達は前世を思い出してそう答えたが他の皆は・・・。

暫く沈黙が続いたが。


「やりましょう!ウケますよ!」

王子は決心したかのように賛成したがジョージやカインは動揺している。


「何故、メイドと執事の格好。しかも女装や男装をするか理由は解るかい?」

会長に言われて面白いから?と思ったが、


「普通に僕等がウエイターやウエイトレスなんてやったらモテすぎで面倒な事になる。」

会長の言葉にいちいち納得。

確かに格好良いウエイターのクライス何て御令嬢の格好の的だろう。


「僕、メイド服着ようかな。」

「着ても良いと思えてきた。」

ジョージとカインが苦笑しながら頷く。


その後、メイド服や執事服は各家庭のメイド服のサイズ変更や改造を私が行うと言うことで纏まった。


文化祭。結構、弾けそうだなあ。

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