第314話閑話 ジェファーソンに電話してみよう
子供の頃に話されても意味が解らなかっただろうな。
今になると全て合点が行く幼少期の出来事。ヨーゼフがお母様似で喜びまくっていたのはバードエン出身の従者だったんだろう。
似る事を望んだのも致し方ない。
バードエン出身従者を連れて来なければお母様の立場が辛い生活になっていただろうし。
結婚って改めて大変なんだなと思った。ボクも結婚したらお父様の様にエリザベスを守ろう。
国民の中でたまに聞く弟派って人々もバードエン出身者なんだろうな。まだまだ根深いんだな。もう少し僕らの時代になればきっと変わる筈!!
さて、あの日からレコードをかけまくる生活をしている。
どれもこれも名曲だ!
パシフィック家のリリー嬢と御両親を城に招きレコードを聞かせた。そして独占販売の件も。
パシフィック家の御両親もこの歌には感動されていてこのままレコード販売事業に乗り出す事になる様だ。
と言う訳でジェファーソンへ電話をする事にした。
「はい。アーシェンバード皇太子のダミアンと申します。ジェファーソン王子をお願いします。」
昔なら電話などする気も起きなかったな。
「もしもし?ダミアン?」
「うん。取り敢えず報告の電話。」
ちょっと嬉しそうなジェファーソンの声。
本当に友達になったんだなあと思う。
「で?!上手く行きました?」
「お陰様で分け隔てなく従者達は聞き入っているよ。もう一押しかなーと思っているよ。」
長年の蟠りって奴はそうそう消えない。
「そうですか。なかなか簡単には行かないもんですね。」
「レコード、パシフィック家の皆さんにも聞いて貰ったんだ。凄く感動していて販売事業に乗り出す気がある様だよ。」
「おお!良いですね!後は宣伝ですよね。結構、これが難しいんですよ。」
とジェファーソンは語り出す。
確かに我が国では無名だもんな。
「コンサートに来たらどうだ?」
それが宣伝には早そうだし。
「チケット売れますかね?」
うーん。そこもかあ。商売って難しいんだな。
「だからラジオ放送が使えるんですよ。」
「建設費か。初回の出費が痛いな。」
もっと先を見通せか。手厳しい。
「じゃあ。1度ラジオ放送を聞きに行くよ。機械やラジオ塔?とか何か全く解らない。」
ジェファーソンはその気持ちは良く解る!!と言った。
「まだパルドデア程ではないですけどね。」
「パルドデア国か。。あそこの国苦手だ。王子達が怖い。特に次男。」
そう言うとジェファーソンがクスクスと笑い出す。
「何だよ!何か威圧的なんだよ!あの国!」
「三男は無条件に優しいですよ?」
うーん?僕にはそうは見えなかったが。
「あっちなみにノネットメンバーの誰が推しですか?」
「何だよ?突然!」
推し?えー?何かジェファーソンと仲間達だと思うと何かなあ。
「いないんですか?」
声が寂しそう。
「エリザベスはクライスとケビンがカップルだと思っているよ。エリザベスの推しはその2人かな?」
「それは確かに。エリザベス様は相変わらず楽しいですよねぇ。」
で、ダミアンは?ってしつこいなあ。
考えてみると誰だろうなあ。歌声が良い人かなあ。ジェファーソンとは言いたくないし。何か嫌だ。
推し?ファン?うーん?
「じゃルナリー?」
あの子の歌声は本当に良いと思ったし。
「ルナリー喜びますよ!ルナリーは女性ファンが多いから!」
「何となく解るそれ。」
確かに口の悪い御令嬢だった。カッコイイと言う言葉が似合う。あっ御令嬢じゃなくてルイスの妻か。見事にお似合いの夫婦だ。
「まあ、そんな感じの会話をパルドデア国の王子達としたら良いんですよ?」
ジェファーソンは笑いながらそう言った。なるほどファンなんだな。共通の趣味は交渉には有利に働く。
「そうだ!10月のコンサート来ませんか?」
「何?!聞いてないぞ!」
思わず心の声が漏れてしまった。また行く気満々だったのがバレた気がする。
「チケット確保してますから来て下さい!」
クスクスとジェファーソンが笑う。
何かムカつくなー!!
「行くよ。」
ムカつくけど行くし!
「その時にラジオ局に案内しますから!楽しみにしてて下さい!」
「うん。宜しく頼む。」
ふぅ。
結構、長電話したな。
友達かぁ。はは。何か良いもんだな。
顔がちょっとニヤけるのを抑えながら今日も日課のレコードをかける事とするか。
早く城内が平和になりますように。
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