第306話小学校へ行こう2日目
「おっ。ダミアン皇太子とエリザベス様!」
校門の所に会長が待っていた。
「あー!ケビン様!お久しぶりです!やっぱり修学旅行も御一緒なんですね!」
何を想像したか不明だがエリザベスさんが嬉しそう。
「エリザベスはほっといて良いぞ。」
ダミアン皇太子が苦笑している。あれからすっかりラブラブな様で本当に良かった。
「昨日、アーシェンバード小学校の文化祭に行ってきた。」
王子が歩きながら話を始めた。
昨日、目撃した事と婚約者のリリーちゃんの事。
「ジェファーソン。もしかしてある程度知ってて小学校に調べに行ったのか?」
ダミアン皇太子がそう言うと
「鋭いですね。正直言うとそうです。介入すべきか迷いましたけど。これでもダミアンを心配しているんですよ!」
「やれやれ。君らにバレたら絶対何かしようとしてくるから僕は悩んでいたんだけれど。先手を打たれたのか。」
大きく溜息をついて仕方ないかと言った。
「やっぱり幼少期に婚約者を決めるのも善し悪しなのかな。」
王子がそう言うとダミアン皇太子は解らないと答えた。
「取り巻きに特定の好きな人が居る訳では無さそうなんだ。」
しかし、弟と話はしていないと言う。漸く、父とだけ昔の様に会話が出来る様になったと話す。
「これでも成長したんだからな!」
「はいはい。解って居ますよ。」
そんな王子とダミアン皇太子のやり取りを幸せそうに見詰めるエリザベス様。
「あっ。うちのジョージが美少年コンテストに出るんですよ。勝っちゃっても大丈夫ですか?」
「待ってよ!美少年だよ?少年じゃ無いし!そこ勝つのは無理だよ!」
王子の発言に不貞腐れるジョージ。
「あぁ。あれか。僕の時代にもあったなあ。ヨーゼフは毎年優勝してる様だが。そうか!たまには負けを味わうのも良いかも。」
皇太子に言われてジョージは少年じゃ無いしと言いつつも出るのを辞める気は無さそう。
小学校に着き、受付で先ずは美少年コンテストのエントリー。
アーシェンバード小学校教師はジョージの顔を見て
「今年は波乱が起きそうね。何て美しいんでしょう!」
と絶賛していた。
「良かった。年齢は聞かれなかった。」
ブツブツとジョージは言っていたけれど。
「美少年コンテストはホールでやるんだ。行こうか?」
ダミアン皇太子が案内するよと言ってくれる。
「ダミアン。無理は承知ですがコンテストの後で弟君と話し合ってくれませんか?」
王子が頼むとダミアン皇太子は凄く嫌そうな顔をした。
「正直、弟とマトモに会話した記憶が無いんだよ。それに見た目が僕はアレだし。贔屓されてないし。全然威厳が無いんだよね。」
こう言う時は小声になるんだな。
その後、大丈夫ですって!と王子やエリザベス様が一生懸命テンションを上げてくれていた。
美少年コンテストに出るジョージは私達と別行動となった。高学年の女子生徒が頬を赤くしてジョージを控え室に案内している。
ダミアン皇太子の言っていたホールはあれだ!えーと?ファッションショー!!そんな造りのホールで近代的過ぎてびっくりした。
「すげーな。このホールの造り。」
思わず声が漏れる。
「アーシェンバードって建築様式が面白いですよね?」
王子だけでなく皆が感心している。
「確かに音楽はボードウェンには敵わないけど美術関係はアーシェンバードが勝ちかな?」
アーシェンバードには芸術家と建築家が多いらしい。
本当にこのホールは舞台があってランウェイが作られている。コンサートもこう言う感じのホールでやったら楽しそう。
ホールの前列から真ん中までは女子生徒でびっちり埋まっていたので後ろの席に皆で並んで座った。男子生徒は少ないな。
「美少女コンテストってもう終わったの?」
そう言えば。同時進行なのか?
「ポスターに午前中に開催って書いてましたよ。」
なるほど。だから女子生徒ばかりなのか。
「そう言えば審査方法って?」
ポスターもパンフレットもあまり確認してなかった。
「教師と生徒会と会場の観客の盛り上がりとかかな?不利と言えば不利だよ?」
とダミアン皇太子は言った。
「めちゃくちゃ不利じゃん。」
王子がどう考えても有利な気がする。
「ルナリー。美少年と言えばジョージだよ。」
会長が大丈夫だってと笑う。まあ、王子の顔もじっくり見た訳では無いしなあ。
美少年コンテスト開幕!
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