第305話学校交流会

自由行動を終えてホテルに戻ると部屋に会長がやって来た。




「結局、どうしたら解決するかなあ?」


会長は相談したかった様だ。




「ジョージが美少年コンテストで勝ってヨーゼフ王子をギャフンと言わせたらスッキリします!」


エミリアはちょっと興奮気味。




「それなんだけど?大人気無いよなあ?相手、小学生だし。」


そう言うと



「馬鹿ね!ルナリー!今しか矯正出来ないのよ?このまま女好きで中学、高校となったらスキャンダルの的よ?」


とキャサリンが言った。そっか。王族ってそれが面倒。



「後、子供出来たりとかね?そろそろ可能な年だよ。」


会長が恐ろしい事を言う。有り得るんだ・・・。




「だから良い時期にお灸を据える事が出来ると思う。ジョージが勝つとして問題はその後どうするか?踏み込み過ぎてもね。他国だし。」


確かに勝って終わりでは無いよなあ。それは私も思っていた。




「会長、なんでこの部屋来たんだ?王子と相談した方が良かったんじゃないか?」


国の件はやっぱり王子だろうと思う。




「修学旅行だし女子会気分?」


会長はケラケラと笑う。


「いや、まあ。キャサリンだったらリリーさんの気持ちが1番解るかなって思ってね。」


とキャサリンを見て複雑そうな顔で頷いた。




「本当に好きなら激しくムカついているわね。でも、家柄が弱いのかしら?流石に集団虐めに会うような事は無いと思うんだけど。」


言い寄る令嬢を締め上げて来た当時のキャサリン。


財閥だったから何とかなったと言っていた。




「多分、ヨーゼフ王子に問題があるわね。ジェファーソンも優しかったから無下に令嬢を断ったりしてなかったけれどあんなハーレムは作って居なかったわ。」


モテモテでも一線を引く。それが大事なのよ!とキャサリンは熱く語る。




「なあ?兄がキレて弟を締め上げるのが1番解決すると思う。」


私の意見に会長は確かにと頷いてくれた。




「明日、ダミアンを説得するかぁ。」


うんうん。先ずはダミアン皇太子に話をしてみよう。




「僕は交流会行けないんだよね。説得任せるよ?」


そうか。流石に行けないのか。私達で何とかしないとな。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




翌朝。




やって来ました!国立アーシェン学院高等学校音楽科。




助かったのは小学校から近い事。小中高と流石に同じ敷地には無いが徒歩圏内。




校門を潜った所で教師とカインがアーシェン学院の学院長と数名のあちらの教師と挨拶をしている。


「どうぞこちらへ。」


校内へ案内される事になった。




音楽科と普通科は建物が分かれている様だ。


綺麗な洋館の学校内。




音楽科は30名1クラス。勿論、3年生と交流会だ。


全学年合同練習もする事もあると言う広い音楽室に案内された。


アリア学院とアーシェン3年生が全員入っても余裕がある。




音楽室の作りがお洒落だ。半円形の教室は中心に指揮台とピアノ。音楽室の入口で靴は脱ぐ仕様。


教室の後ろ半分が緩やかな階段状になっていて机は無い。


此処に座るのか。なるほどこの階段は合唱用の段差か!


教室の半分は楽器演奏スペースと言う造り。




「面白い建築様式だね。」


「うんうん。画期的!」


皆も感心している。




「お待たせしました!」


教師とアーシェン高校の生徒が入って来た。


ダミアン皇太子とエリザベス様も居る。




さて、話す機会があるかなあ。




交流会は先ずアーシェン高校の合唱の発表が行われた。




うん。上手い!纏まり響き。エリザベス様はメゾソプラノなんだなあ。男性もしっかりとした声をしている。




お次は我が校の番。で?何するんだ?




「アリア学院にはノネット・クライムと言う音楽グループがありまして・・・。」


教師がコンサートやレコード販売をしている話を何やら始めた。


あれ?何か聞いてる?


王子に目配せしたが首を振った。




そして何やら突然歌うことになってしまった。


アリアの皆は拍手で大騒ぎしている。


アーシェン高校の生徒はなんの事やら解っていないが取り敢えず拍手してくれていた。




せめて事前に言っといて欲しかった。


「何歌うんだ?」


「会長居ませんからねー。」




「そうだ。We are the worldにしましょう。」


王子の意見に無難だなと頷く。


「会長の所はクライスが対応するとしていけるか。」


8人でボソボソと話し合う。




「あっ!そうだ!ダミアン!一緒に歌いましょう!」


王子の無茶ぶり発動。


アーシェン高校の生徒が驚いた様にダミアン皇太子を見詰めた。


横のエリザベス様は嬉しそう。




「ジェファーソン。またか。本当に君って奴は。」


ダミアン皇太子はブツブツ言いながら此方にやって来た。




「んじゃこれ楽譜。」


ダミアン皇太子は楽譜を見てあーこれかと頷いた。


「ちょっと弟君の事で話したいんだ?」


王子がコソコソと話しかける。ダミアン皇太子は目を丸くして


「もしかして噂が広まっているのか?」


と聞いてきた。王子は無言で頷く。




そうか。王子はこの場に取り敢えずダミアン皇太子を呼びたかったんだな。


後でゆっくり話そう。2人は目配せをしていた。


これで授業後に話す機会が得られたな。王子、上手いなあ。




そして、会長抜きのノネット・クライムfeat.ダミアン皇太子でWe are the worldを披露する事になった。




ダミアン皇太子も結構良い声で歌い上げている。


初めて聞く曲にアーシェン高校の生徒は目をキラキラさせているし。感動して泣く生徒も居る。


うちの生徒はうっとりしている。




歌い終わると両校から拍手喝采を受けた。




「凄いですね!ダミアン様!」


「カッコよかったです!!」


アーシェン高校側に戻ったダミアン皇太子はかなり皆に絶賛されていて嬉しそうだった。




あっ。何か良い感じになっている。株が上がったと言うか。




その後は楽器演奏やコーラスを合同練習で楽しんだ。


結構なアーシェンの生徒から発声や歌い方の質問攻めにノネットメンバーはあっていて大変だったがとても充実した交流会だった。




交流会後はアーシェン学院の生徒は授業なのだが外交と言う事でダミアン皇太子とエリザベス様は我々の元へ残ってくれた。




「お久しぶりです!良かった!話す機会があって!」


エリザベス様は嬉しそう。


「まさかヨーゼフの話をする事になるとは。」


ダミアン皇太子は憂鬱そうだ。




「今からアーシェンバード小学校へ向かうので一緒に行きましょう!」


王子の強引な勧めで話しながら小学校へ向かう事になった。

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