第297話やってしまったぁ!謝らねば!

「うわー。やってしまったー。」


記憶はバッチリある。酔うと気が大きくなるって言うのは知っていた。


キャサリンを押し倒してしまった・・・・。


ベッドから起き上がり頭を抱える。あれ程自重しようと誓ったのに。止まらなかったぁぁ!




しかも。睡魔に負けた。顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。


いや、最後までしたら良かったって訳じゃない。


どうしよう。




「はぁーーーー。」


大きな溜息をつきながら立ち上がった。


机の上に・・・。プレゼントだ!


ノートにメッセージも。キャサリン、本当にごめん。




プレゼントの小さな箱を開けるとそこには


「ペンダント。」


小さくて可愛いハートのペンダント。ちょっと可愛すぎる気がするけどキャサリンが選んでくれたプレゼントは何でも嬉しい。


「ん?何だこれ?」


サイドにちっちゃい突起があって。あれ?開く。


中には僕とキャサリンの小さな写真が入っていた。


「!!!」


声にならない可愛い過ぎる!!キャサリンといつも一緒って事だね。ペンダントをギュッと握りしめ感動に浸る。




謝らなければ!!何とかしなければ!!


ペンダントを身につけ制服に着替えて朝ご飯も食べずに城を飛び出す。




「ごめん。マッケンジー家へ向かって下さい。」


ちょっと、ルイスとルナリーを頼ろう。相談したい。




朝早く申し訳ないがマッケンジー家へ。


「これはジェファーソン様!」


執事が笑顔で迎えてくれた。この家に来るのって久しぶりだ。


「ダイニングルームへどうぞ。」


と案内された。朝食中かな?申し訳無い。




「おはようございます。突然すみません。」


ダイニングルームにはルイスとルナリーが仲良く朝食中だった。




「おはよー。どうした?」


ルイスが笑顔で迎えてくれた。


「おはようー!昨日はお疲れ様ー!」


笑顔で席に着く様に促してくれた。




「王子、何かあったの?」


ルナリー、鋭い。


まあ、食べなよとトーストと珈琲を勧めてくれた。




「昨夜ちょっと酔っ払い過ぎた。」


大きく溜息をつくとルイスとルナリーはクスクスと笑い出す。




「何だ?喧嘩でもしたのか?」




「いや、喧嘩よりも深刻かも。。」


ちょっと言いづらい。




「はぁー。」


溜息が漏れる。どうしようかな。勢いでマッケンジー家に来てしまったけれど。本当に恥ずかしい。




「ルイスの両親とうちの両親の学生時代の婚約の話とか馴れ初め話を昨夜の食事会で聞いたんですよね。」


ルイスとルナリーは知っていた様であの話かあー。と言う風に笑った。




「そう言う楽しい話題でついついワインが進んでしまって。キャサリンに介抱してもらったんです。」


ゲンナリしながら昨夜の話をした。




「お酒の勢いでキャサリンを押し倒してしまった。」


顔が赤いのが解る。思わず手で顔を覆う。




「はー?やったの?」


ルイスが驚いた様に立ち上がった。


僕は首を横に振った。




「未遂・・・。」




「あっ。なるほどそうか。で?」


ルイスは一先ず座る。




「押し倒して寝ちゃったんですよ。」


顔からやっぱり火が出そうー。机に突っ伏してもう顔が上げられない。


「やっちまったなぁ。」


ルナリーが優しく背中をポンと叩く。




「ちゃんと謝れば大丈夫だよ。」


「うん。女心的にはそれはやらなくて正解だ。」




「正解?」


顔を上げると2人はうんうん。と頷いていた。




「シチュエーションが悪すぎるからなあ。」


「誕生日ってのは良いが酔っ払いって言うのがダメだ。」


そうか。結婚してからするものだと言う前提で生きてきたのでシュチュエーションとか考えた事がなかった。




「酔っ払いから襲われるのは女として嫌だな。自分も酔ってたら勢いって言うのもあるかもしれねーけど。」


ルナリーの意見にいちいち納得させられる。




「キャサリンは真面目だから結婚まで本人も我慢していると思うんだよなあ。」


ルイスの意見も納得極まりない。




「うーん。我慢って言うか。初めてって結構ビビるもんだよ。私でもそうだった。そしてちょっとだけ痛いし。」


ルナリーがボソッと呟くとルイスが優しく頭を撫でていた。




「女性はそう言う覚悟も必要なんですね。そっか。」


やっぱり痛いんですね。自分の事ばかりで全然気遣いが足りなかった。自己嫌悪。




「謝れば大丈夫だって。」


「そうそう。今から行ってこい!」


2人は立ち上がって僕の背中をパンと叩く。




良し!行こう!2人に見送られてフラーム家に向かう事にした。


車を降りて玄関へ。足取りが重い。






リビングルームに通されお茶を出された。


「おはよう。朝からどうしたの?」


キャサリンが笑顔で入って来た。




「おはよう。朝からごめんね。」


「全然、良いわよ。ジェファーソン、昨日はお疲れ様!」


笑顔が眩しい。




「あの。。ごめん!!」


机に突っ伏して頭を下げた。




「覚えていたの?」


頷くとキャサリンはクスクスと笑い出した。


怒ってない?




「本当にごめんなさい。」




キャサリンはちょっと考えて


「あのね。正直に言うね。」


また少し黙って考えている様子で徐に口を開いた。




「私、結構・・・怖がりなのよ。覚悟してなかったってのもあるんだけれど。ちょっと拒んでしまって私の方こそごめんなさい。」


「何言ってるんだよ!僕がその全面的に悪すぎる。。」


キャサリンは僕の顔を見詰めて。




「酔っ払いジェファーソンって初めてだったからちょっと可愛かったわ。」


クスクスと笑う。


「酔うと本性が出るって言うじゃない?ジェファーソンはその・・・ね!」




「え?何?」


「えー!言うの?」


恥ずかしい!!と言うキャサリン。




「愛してるって言ってくれて嬉しかったわ。。」


キャサリンは恥ずかしそうにボソッと呟いた。




僕の顔も赤くなる。キャサリン、可愛い。




「あの!プレゼントありがとう!これ!びっくりした!」


身につけて来たネックレスを見せる。




「ちょっと可愛すぎるかと思ったんだけど!お揃い!」


キャサリンも見せてくれた。




「会長の家の宝石加工する人に頼んで作って貰ったの!」


と嬉しそうに言う。


そうだったんだ。お揃い。顔がニヤける。




「ありがとう。キャサリン。」


「どういたしまして!」


お互いに笑顔が耐えない。




そのまま今日の練習は一緒に行くことにした。




早く結婚したいなあ。そう思いながら。

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