第278話パルドデア国コンサート前編

コンサートは14時から。


少しだけ朝食を遅めにしてもらい午前中にはホールへ向かった。




「開場が1時間30分も前なんですよね。早いですよね。」


王子がそう言う。


「普通は30分?早くても1時間だよなあ。指定席だし。」


うんうん。と皆も頷く。


控え室で1時間30分は暇。




ステージに楽器等を準備してロビーの確認。シティホールのステージには緞帳がついていたので下ろして見た。ボードウェンではそう言えばあまり見無い。


「これ良いですよね。登場がし易い。」


王子達は感心していた。



間もなく開場なので控え室へ。控え室は普通。長机と椅子など。


お茶を入れて持たせて頂いたお菓子を摘みながら雑談。




30分程たった頃に警護担当者が控え室のドアをノックして入ってきた。


「凄いです。面白いものが見れます!!」


警護人は目をパチパチさせて信じられないと言う。取り敢えず行ってみるかと舞台裏へそっと向かう。緞帳の隙間から会場を覗くと。。


「これは?!懐中電灯?」


王子がボソリと呟いた。




「ペンライトだ。」


小声で説明する。会場ではペンライトを照らし合わせ何やら練習??


それを仕切っているのは


「アルマーニ王子?!!!」


叫びそうになるクライスの口を王子が押さえて取り敢えず緞帳から離れた。


「待って何やってるんですか?」


カインもクライスも脳が追いつかない様だ。


これはコンサートの曲に合わせたファンの事前練習?ってやつだろうか。




「控え室戻ろう。見てるのバレちゃ不味いよ。」


会長がまだ見たさそうな皆の背中を押す。




控え室に戻り取り敢えずペンライトとは何かの説明から。


「多分、乾電池がパルドデアは発明されているんだよ。マンガン乾電池だろうけどね。」


「液漏れが無いからこう言う小型化された懐中電灯が作れたんだろう。」


会長の説明にいちいち皆が頷く。




「今のはコンサートのファンの打ち合わせ練習だと思うわ。」


キャサリンがそんな感じと説明した。




「なるほど!これは期待に応えないとね!」


全員で気合いを入れる。


ワクワクとドキドキ。そして開演のプザーが鳴る。




ステージにスタンバイ。緞帳がゆっくり上がる。




歓声と拍手が巻き起こる。


さあ、初の海外公演だ!!!




最初の曲はJupiter。




挨拶無しで始まるのはボードウェン国でもやっているスタンス。


ステージは明るく会場は暗く。


キャサリンの歌声が会場に響くと




ペンライトが美しく光る。沢山の蛍の様に。


前世のコンサートを思わせる様な曲に合わせてゆっくりと左右に振られるペンライトがとても綺麗だ。




そして最前列の真ん中に居たのはアルマーニ王子。


何と言うか信じられない・・・・。




1曲目が終わり拍手喝采が巻き起こる。




「パルドデア国の皆様こんにちはー!!!」


「ノネット・クライムでーす!!」


挨拶をするとワーーー!!!と歓声が起こる。




純粋に嬉しい!


そしてアルマーニ王子の「ノネット・クライム!!」と言う叫びと共にノネット!!ノネット!!ノネット!!




まさかのノネットコールが!!


いやもう。信じられないと言うか。びっくりしている暇はない。




「宇宙のファンタジー!!行きますよー!」


会長がコールすると拍手がまた巻き起こる。




会長の美声にうっとりするお客様方。御令嬢だけでない御子息も大人も沢山いるのが解る。まさに老若男女。あっデイビス王子とアンドレ王子も発見。彼等も3列目に居た。幸せそうに聞いている。


宇宙のファンタジーの曲に合わせてペンライトが振られ本当に歌っているこっちも感動する。




「ありがとうー!」


「ノネット・クライムの自己紹介しますね!」


キャサリンがマイクパフォーマンス。皆の自己紹介を行う。会場は盛り上がりまくり。




「次は浪漫飛行行ってみよー!!」


クライスが叫ぶと会場は揺れるほど盛り上がった。




合わせた様に曲が始まるとオールスタンディングとなりノリノリの集団。




「パルドデア国の皆様盛り上がってますねー!!」


「私達も楽しいです!」


私とエミリアが会場に向かって声をかけるとまた拍手が起こる。




「男性陣のカッコイイー!曲を2曲一気に行きまーす!」


「ひとり、そして新曲!!I Want it that way!!」




会場はキャーーー!!!と言う御令嬢達の黄色い声援で最高潮。


ノネット!!ノネット!!ノネット!!


またコールがかかる。




女性陣はギターとピアノのスタンバイ。ひとりはアカペラなので待機中。




クライスと会長の相変わらずの美声に酔いしれるお客様方。


御令嬢だけじゃない。


アルマーニ王子が幸せそうだ。スタンバイしてじっくり観察すると解る。この人、本気のファンだ。




「I Want it that way!」


パルドデア国初披露のこの曲の時はペンライトは消されてスタンディングの手拍子になった。




本当にこの曲はカッコイイ。後ろでギターを弾いているのだがいやぁ。御令嬢達の幸せそうな顔。


それ以上に王子3人が・・・。大ファンなんっすね。




歌い終わると


ジェファーソン様!!クライス様!!ケビン様!!カイン様!!ジョージ様!!


と叫び声と拍手喝采。




「ありがとうー!」


「みんなー!盛り上がってるかーい?!」


イエーイ!!!!


ひたすら会場のノリが良い。




ボードウェン国の初コンサートよりも盛り上がっている。




「Your song行くよー!」


ワーーー!!!拍手と歓声。




会場は再びペンライトが点灯し美しい光景が広がった。

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