第270話聞きたがりの皆様達
テレビかー。テンション上がるな。扇風機は是非欲しい。
大司教様が帰られた後も話が弾み過ぎて練習が適当だった。暫くブームが続くかも。
「会長!一緒に帰りましょ!」
「僕も!」
「同じく。お茶していきましょうよ。」
クライスとジョージとカインに捕まった。
「全く、話を聞きたいだけだろ?」
そうでーす!とノリの3人。まあ、いいか。
個室のあるカフェレストランへ。あまり大っぴらに話す事じゃないしなあ。
「珈琲」「紅茶とケーキ!」「僕も!」「珈琲とサンドイッチ」
皆、良く食べるな。注文の品が運ばれて来ると徐にクライスが。
「ねぇ。会長が居た時代にも珈琲や紅茶ってあったの?ケーキは?」
とモグモグさせながら聞いてきた。
「あったよ。普通に。味もあまり変わらないね。」
へー!と皆、聞き入る。確かに食べ物って創意工夫や加工の進化はあるけれど根本は変わらないね。
「会長!飛行船って将来どうなるんですか?やっぱり空の旅ってずっとあるの?」
カインが面白い事を聞く。
「飛行船は飛行機って乗り物に代わっていくね。もっと早く着くし安全性も増すし乗客も大量に乗れる様になるよ。」
カインはそれでもやっぱりあるのかと嘆く。
「空の旅が1番早いからね。ただ鉄道も進化するから。」
そう言うとちょっと目を輝かせた。
「会長って女性が好きなの?男性も好きなの?」
うわー!!ジョージそんな純粋な目で見ないでくれ!それは聞いちゃダメだって!!
「女性だけど?」
と惚けておく。昔から何方もOKな人種だった事はこの子達には刺激が強すぎるだろうし。
「ふーん。そうなのかあ。」
疑われてるのか?ドキドキ。話題を変えねば!
「曲がこれから作りやすくなるなあ。結構、気を付けてバレない様にしてたから。」
僕がそう言うとそうそれ!と皆の目が輝く。
「沢山歌いたい!もっと新しい曲!」
「うん!知りたい!聞きたい!歌いたい!」
そうだよね。本当に楽しみだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕の婚約者は何と前世の記憶がある!!
どうしよう。めちゃくちゃ面白い。面白いだけじゃなく益々魅力的。
「キャサリン。城へ来て欲しいな!」
皆もお茶に行くって言っているし僕も誘ってしまった。
「はい!勿論!」
キャサリンは笑顔で僕の方の車に乗り込んで来た。
あー。本当にパトリックに取られなくて良かった。キャサリンが話す事を躊躇していたらどうなっていたか。婚約破棄は絶対にしないけれど揉め事は相当起こっていたに違いない。
色々聞きたいけれど僕の部屋まで我慢しよう。
使用人がお茶やお菓子を運んで来てからだよね。ソワソワ。
「ジェファーソン。何か聞きたくて仕方ないって感じですね?」
キャサリンがクスクスと笑う。
「う・・・。うん。」
バレてる。
トントントントン。ドアをノックする音がしてやっとお茶が来た。失礼します。と使用人が入ってきてお茶を置いていく。
「ありがとうございます。」
キャサリンは笑顔でお礼。そういう所が可愛いんだよね。
「先ずはキャサリン!良く話してくれたね!本当に無事で良かった!」
キャサリンをギュっと抱き締める。
「え?ああ。前世の話?」
突っ走り過ぎた。。
「うん。パトリックに奪われなくて良かった!君達が決意してくれなかったらと思うと本当に・・。想像しただけで。」
キャサリンは小さく頷いた。
「本当に迷ってたんです。気味悪いと思われる可能性や嫌われる可能性とか色々考えてしまって。」
会長が言うように墓場まで持って行くつもりでした。と苦笑した。
「確かにね。頭が固い人とかそう言うのを信じない人も居るよね。」
幽霊も信じる信じないって賛否分かれるし。悪魔や天使や神様が居る居ないってのも人それぞれ。
「前世の記憶があっても無くてもキャサリンはキャサリンでしょ?本当に良かった!」
改めてキャサリンを抱き締める。
「話して良かった。信じてくれて本当に嬉しい。」
キャサリンはハニカミながらキュッと抱き締め返して来た。
昨日は沢山泣かせてしまったね。
優しく頭を撫でてそっとキスをする。
「言っておかないと。ジェファーソン!私、昔も今も合わせてファーストキスはジェファーソンですからね!」
そう言って照れた様に目を逸らした。
その言葉だけで充分過ぎる。
「本当にヤキモチ妬きまくりでごめんなさい。」
心が狭い。自分でも思う。
「私もそうですよ。ごめんなさい。」
キャサリンは高校入学前まで露骨にそうだった。彼女はきっと理解されたかったんだと思う。前世と今世のモヤモヤ。僕が気づきもしなかったからだよね。
「お互い好き過ぎるんだよね。」
見詰めると、好き過ぎる・・。そうボソッとキャサリンは口にして物凄く顔を赤くして俯いた。
「はい。本当に。」
小声でまだ俯いたままのキャサリンの頭を撫でる。
可愛い。
イチャイチャもしたいんだけど!!
「ねえ!キャサリン!ドラムって何?エレキギターは?」
今日はもう聞きたい事があり過ぎる!
キャサリンはクスクス笑いながら鞄からノートを取り出して絵に描きながら説明してくれる。
早く音を聞いてみたい。
「今までそのこう言う奴とかテレビ?やラジオって作ろうとは思わなかったの?」
素朴な疑問。パトリックが作るって言うのもなあとちょっとだけ思う。
「あのね。ジェファーソン。何と言うかなあ。ジェファーソンは頭良いけど飛行船作れる?話が飛びすぎしら。」
「えーと?電話とか。作れる?」
そう言われて考え込む。
「仕組みは解るけど作れない。その知識は無いね。なるほど。」
「ラジオやテレビも難しいのよ。専門の知識が私やルナリーやルイス、会長にも無くて。パトリックはその?国で1番頭の良い大学に居たらしくてね。」
キャサリンが苦笑い。
パトリックそんなに頭良いんですね。ちょっと悔しい。
「大司教様ってもしかしてルナリーやルイスより年下だったんですか?いつも大司教さんって呼ぶから。」
それを許してる大司教様って寛大だなあとちょっと思ってたんだけど。
「あはは。そうね。生まれた年がルイスとルナリーは同じで大司教様より年上になるわね。亡くなったのは早かったみたいだけど。私が1番若手かな?」
とキャサリンが笑う。年代に開きがあるのよねーと言っていた。
謎が解けてスッキリー。
「えっと。後は何を聞こう!!」
そう言うと僕をキャサリンは嬉しそうに笑いながら何でも聞いてと言ってくれる。
凄く距離が縮まったと言うか。キャサリンの全てが解ったと言うか。
何だろう今までの心配や不安や嫉妬。
全部無くなった気がした。
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