第269話何か丸く収まった

うーん。爽やかな朝。ここ最近睡眠が浅かったので昨日は自宅で寝る事にした。沢山寝た!!


ルイスと共に駆け上がる階段。レッスンルームへの足取りも軽い。


扉を開けると王子が来ていた。




「おはよう!」


「おー!ジェファーソン早いな!」


王子はキッとルイスを睨む。




「ルイス!貴方!騙しましたね?!」


何だ?どうした?昨日の暴露に何か問題があったか?




「は?どうした?ジェファーソン?」


ルイスも解らない様で驚いた顔をしていた。




「昨日、良くよく考えました!ルイス!知ってたんですね?前世の記憶で!」


ルイスも私も首を傾げる。


「エッチですよー!!お父様に聞いたって言ったじゃないですかー!!!」


ぶっ!吹き出しそうになったのを頑張って堪えた。


そう言えばその手のやり方を教えないといけないとルイスが言っていた。




「どうしよう?キャサリンは知ってますよね?やり方。」


あっ。。。多分。。。これは困った。


頭を抱える王子。何とか話を逸らさないと!




「キャサリン、昔も今も合わせて王子が初恋らしいぞ。」


これは本当の話だし。そう言うと目をキラキラさせて


「そうなんですか!?あぁ。そうなんだぁ。」


と幸せそうな笑顔で安心した顔をした。




「あー!もう来てるー!」


クライスとカインも嬉しそうに入ってくる。


その後、皆が揃った頃に大司教さんがやって来た。




やっぱり話しするんだ。


「大司教様。」


キャサリンと会長も理解した様で彼を見詰めた。




「おはようございます。突然すみません。」


皆、大司教さんの突然の訪問に席を作って座って貰った。


「大司教様。今日はどうされたんですか?」


王子が首を傾げる。




大司教さんは大きく溜息をついて一言。


「私もルナリーさん達のお仲間なんです!」




理解出来ないのかそれを聞いて皆、目をパチパチしている。




「前世はプラゲ国人。職業は会社員。」




えーーーー!?王子が1番びっくりしたのか立ち上がった。


「本当に?え?嘘?」


「まさか、それでミサコンサートを?」




「ミサコンサートは純粋に昔の曲を聞きたくて。すみません。」


ああ。なるほどと皆、思い思いの反応を示した。




「僕、ヤキモチ妬いてばかりでした。大司教様にまで。そっか。それでキャサリンに頼む事が多かったんだ。」


「ごめんなさい。ジェファーソン。それは確かに多かったわよね。」


王子とキャサリンは見詰めあって頷きあっている。誤解が解けるって良かった。




「餅つきも!?」


カインが思い出した様に聞く。


「ええ。そうです。クラシックギターも。私の記憶によるものでして。」


皆が感心した様に大司教さんを見詰めた。


「凄い!それはこれからもよろしくお願いしますね!」




「今、ドラムって楽器を御願いしているよ。太鼓の進化版みたいなやつ。」


会長が言うと王子がめちゃくちゃ楽しみです!と喜んでいた、


ドラムかー!かっこいいよなあ!




「さて、もう1つ本題があります。謝らないと。」


大司教さんは徐に立ち上がってキャサリンの側へ寄って来た。


そして、徐に正座そして土下座?!




「キャサリンさん!うちの弟が御迷惑おかけしました!!」


皆、ただただ土下座にびっくりしていてオタオタ。




「ちょっ!ちょっと待って下さい。顔上げて下さい!!」


キャサリンは立ち上がりオロオロ。




「パトリック・ガードナーは前世で私の弟でした。昨日、それが判明しました!本当に弟が申し訳ありませんでした!!」


顔は上げず再びの土下座に皆、本当に焦りまくる。だって、大司教さんって権力者だし。




「大司教様、取り敢えず立って下さい。ね?何か話がびっくり過ぎて頭に入ってこないので。」


王子が手を差し伸べて無理矢理立たせた。本当に座って下さいと席に座らせる。




「大司教さん。パトリックが弟だったの?」


私が苦笑して聞くと大司教さんは溜息をついて頷いた。




「生まれた年と亡くなった年と大学が一致したので昨日、呼び出して思い切って確認したんです。」


見事に弟でしたと俯いた。




「キャサリンさんやルナリーさんを脅した罪は重いと思います。でも、でも・・・私にとっては可愛い弟なんです。」




うーん。皆、難しい顔で見つめ合う。


特に私とキャサリンと会長、ルイスは複雑な心境。キャサリンなんて泣きまくったし本当にこの1週間くらいまともに眠れてなかったんじゃないかと思う。




本人連れて来い!と言いたい所だが余計な話をされるよりはましかもな。あまり饒舌に日本の事を語り出されても困る。


会長と目が合ったが多分同じ事を考えているのではないかと思うし。




「今回のパトリックの行為は脅迫罪、強要罪に当たると思う。だからー?3年以下の懲役か罰金。キャサリンはどうしたい?」


カインが確かそう。と腕組みしてキャサリンを見た。




「皆がこんなに理解してくれているから訴える気は無いわ。」


キャサリンは苦笑した。


「何か面白くないだけだよね?」


会長は皮肉の様にキャサリンと大司教さんを交互に見る。




「本当にそうですよね。謝って簡単に許せるものじゃない。私も実際、悩みましたし。」


大司教さんは申し訳なさそうな顔でまた頭を下げた。




「取り敢えず。パトリックにはテレビ作ってとは頼みました。後はエレキギターとかベースも作れるんじゃないかなあと。」




「テレビ!?」


私達はまさかの発言に立ち上がる。




「奴は作れるのか?!そっか東大って頭良いもんな!」


「わー。どうしましょう。それズルいわー。」


私とキャサリンの発言や反応に王子は首を傾げる。




「何か凄い物なんですね?」


ルイスも会長も頭を大きく縦に振る。


「ジェファーソン、これはラジオより凄いぞ。」




絵に書いて説明したがあまり理解はされなかったがテレビも時代でかなり進化するんだな。会長とキャサリンが描いた絵と私とルイスの絵が違いすぎた。しかも地デジって何だろう・・・・。




「あー!そうだ!取り敢えずラジオを小型化して貰おうぜ!テレビはその後で。ね?大司教さん?」


ルイスは売る気満々。いや、マッケンジー家が儲かってどうするんだよ。




「大司教様。私、ドライヤーか扇風機で手を打ちます!」


キャサリンはニヤリと笑う。




大司教さんはクスクス笑いながら何とかさせます。と笑顔で承諾してくれた。




「うーん。全然、想像つかないー。」


イジける王子やクライスにゆっくり説明してあげた。


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