第264話第2回前世対談

何処に誘い出すか迷ったけれどやはり中庭にした。


喧嘩なしと言う条件でルナリーも一緒だ。




「またお2人揃ってですか。」


パトリックは怪訝そうにルナリーを見た。




マッケンジー家に嫁いだと言っても庶民出のルナリーを明らかに軽蔑している。やはり知らない可能性が高い。


と言うか主人公と悪役令嬢が仲良しなのよ?此奴、本当に知らない可能性が高い。




「まだ貴方と結婚するとは決めていません。正直、貴方の事何も知りませんから。」


そう言うとパトリックはやれやれと肩を竦めた。




「ガードナー家の長男ってだけで充分じゃないですか?」


このクソ金持ちめ!




「前世は?何年生まれ?」


先ずはそこから。




「1977年。」


大司教様と同じくらいだわ。




「職業は?いつ死んだの?」


パトリックは言うの?と鼻で笑いながら




「東大生だったよ。死んだのは大学4年の時!これからの将来の道も約束されて居たのに!」


パトリックは唇をギッと噛み締める。


「絶対に君と結婚するから!前世でやり残した世界のトップに俺は登り詰める!」




そう言ってニヤリと笑った。




1977年生まれで大学4年生21歳か22歳。まだゲーム発売前だー!!!




叫びたくなる気持ちを抑える。




「私、貴方とは生まれた時期も生きてた時期も違うわ。」




「そうか。まあ君達2人の様に前世ごっこをしたい訳では無いからね。」


パトリックはまた鼻で笑う。本当にムカつくわー。




「私達の前世の自己紹介もいるか?」


ルナリーが聞いたがパトリックは元ヤンでしょ?と言った。




「そんな甘いもんじゃねーなあ。関東暴走連合紅夜叉の特攻隊長だった。」


パトリックは私の反応と同じ様に一瞬うわぁと言う顔をしたが直ぐに何事も無かったように話を切り替える。


良かった。ビビったわね!




「前世は国で1番の大学生、現在は国1番の財閥長男。問題は何も無い。キャサリンさんは頑張って婚約破棄して下さいね。」


そう言うパトリックの話何てもう耳に入って来ない。

うん。もう聞くこと無いわね。




「卒業までまだ日はあるわ。」


パトリックはそうだね。と笑った。全然カッコよくない!




去っていくのを微笑んで見送る。大司教様。やっぱり神に使えているだけあって本当に助かる助言だった。


聞いて良かった。




「ルナリー、お疲れ様。」


微笑むとルナリーもニヤリと笑った。


「さて、話し合い第2弾と行こうか!」


2人で頷く。






・・・・・・・・・・・・・・・・




前世対談第2弾開始。




「と言う訳でした!!」


私とルナリーの報告に3人は些かホッとした顔をした。




「良かった。まだ1番最悪の事態が免れた。ゲーム内容を暴露しないで済む。」


会長が胸を撫で下ろす。




「この世界の前世持ちなら変人度合いも半減だな。」


ルイスが笑いながらそう言った。




「暴露するなら100年後から120年後のプラゲ国って設定かな?」


ルナリーが考え込む。上手く行くかなー?と。




「普通は過去から未来への転生ですもんね。でも、過去だったら曲がおかしいわよねー。」


私もそこは悩む。

こればかりは過去からの転生にしては無理がある。実際に私達はプラゲ国にも行っているからなあ。



「もう暴露を決めた感じなんですね?」


大司教様が微笑んだ。




「パトリックに変な風に吹き込まれるよりマシです。」


例え嫌われても。ジェファーソンと婚約破棄になっても。


私達は普通は存在しないこの世界に生まれたんだから。




「暴露と言っても半分で済みますし。でも怖いですよ。」


会長は苦笑い。




「私はキャサリンと王子の事だけが心配だ。そうだ!約束したんだ!ルイス!ムショに入る事になったらごめん!」


ルナリーが思い出したー!と言ってルイスに謝る。




「は?何の約束?」


「キャサリンが婚約破棄されたら王子を1発殴る!!」


ルナリーの発言にルイスは爆笑していた。




「殴れ!殴れ!ムショ帰りで家に影響出るなら一緒に逃亡しようぜ!あっ。俺も殴ろうかな。それでお揃いかー。」


本当にこの2人は・・・。羨ましいよ。




「大丈夫!きちんと設定決めましょう!」


ゲームの世界だけ隠す。


いや、待って。


「御願い!引きこもりって話は内緒にして!普通の学生ってことで!」




「そこは当たり前でしょう。詳しく語らなくてOK。」


会長は頷く。




100年から120年後のプラゲ国。当時のプラゲ国の名前は日本。


此処はパトリックが話す事も考えての設定。




ルイスとルナリーは前世から仲間。私や会長との関係は無し。




「後はパトリックの始末だな。」


ルナリーがそう簡単に奴は引き下がらないだろうと言う。




「そこは皆に言ってから決めようか。」


ルナリーは優しく頷く。




嫌われたくない。怖い。婚約破棄は嫌だ。


だけど。パトリックとの結婚の方がもっと嫌!!一生独身の方がまだマシ!!


私達は週末にゆっくり話すと決めた。

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