第236話週末はお泊まりです


あの後、盛り上がり練習しまくった。


「疲れたなー!しかし、その皇太子って何もん?」




今日は週末。マッケンジー家にお泊まりする。


着替え等があるから車で向かっている所。




「ガキの頃にあったんだけど何かにつけて揚げ足取りする奴でジェファーソンを目の敵にして張り合うんだよ。」


ルイスは奴は本当に面倒くさいと言う。




「名前は?」


「えーと?ダミアンだ!」


「オーメンか?」


顔を見合わせて吹き出す。頭剃ったら666って数字ないかな。




「ダミアンって完全に王子を勝手にライバルだと思っているんだよな。」


隣国で同じ年の王子同士って仲良くなるか仲悪くなるかどっちかなんだろうな。




「さあ、マイワイフお手をどうぞ。」


ルイスがニッコリと手を出す。何だよそれ!と言いながら手を取り車を降りる。


入籍後、初めて訪れる。これから第2の我が家になるんだよなあ。




「お帰りなさいませ。若奥様。」


執事さんがお辞儀してくる。


「こんばんは。ただいま!」


何だか照れる。




リビングルームに入るとグレンさんとローズさんがお帰り!と迎えてくれた。


「照れる!若奥様は恥ずかしい!」


そう言うと慣れろー!と笑われた。


「親父、お袋、ちょっと今度のコンサート揉めそうなんだ。」


ルイスがアーシェンバード皇太子が来る事を告げた。


グレンさんもローズさんも勿論、内情を知っていてそれゃ面倒な事になったと苦笑い。




ダイニングルームに移動して晩御飯を食べながら話を聞くことにした。


晩御飯はプラゲ国から仕入れた赤味噌を使った味噌カツと味噌汁とご飯が出た。


「うっわー!感動!!」


ローズさんがうちの料理人も上手いだろ?と言い早く食べなと笑顔ですすめる。


ルイスも味噌カツ、味噌汁ー!とハイテンションだ。


サクサクー!美味い!




「で、話をするか。」


グレンさんは味噌汁を啜りながら話を始めた。




「これは俺の勝手な考察だ。本人や周りには言うなよ!」


グレンさんは念の為と口止めをする。


「ルイスは最後に会ったのは何時だ?」




ルイスはうーん?と悩みながらそう言えば7歳の時にジェファーソンが婚約した時に来た以来会ってない!と言った。


「ジェファーソンから話だけ聞いてたんだな。会ってない。うん。」


グレンさんはそうだろ?と言う。




「アーシェンバード皇太子は明らかにジェファーソンより顔が劣るんだ。」


婚約者が決まったのも遅かったしなあと。


「俺の戯言だからな!奴はモテない!!」


酒も入っているグレンさんが毒を吐く。




「そんな顔だったかなあ?」


ルイスは思い出そうと顔を顰める。




「顔は爺さんに似たらしい。掘りが浅い。それとアーシェンバード王は金髪で王妃は茶髪なんだけど皇太子は赤毛なんだ。多分、コンプレックスなんだろうなあ。」


本人にしか解らないコンプレックスと言うやつか。


「旅行で行った時に酒場で聞いた噂話だからジェファーソンや王は知らないと思う。本当に内緒だぞ!」


なるほど。その考察は有り得るかもしれない。




「コンプレックスだったら闇が深いな。」


ルイスが呟く。王子は絶対理由解ってないだろうし。


「でも、婚約者は美人なんだろ?」


だから中3事件が起こったという事か?うーん。面倒くさい相手だ。


5歳で取っ組み合いの喧嘩をしてから現在までずっと仲が悪い2人の話を聞いているうちに酔っ払いグレンさんとローズさんはもう寝るかーとすっかり出来上がってしまった。




「こうなると放置に限るぞ。」


ルイスが笑いながら風呂入ってくると言って出ていった。土曜の夜の酔っ払い2人はマッケンジー家では最近は恒例らしい。




「本当にルナリーが嫁に来て目出度いよなあ。」


「愚息だが宜しく頼むな!」


酒で顔が赤い2人が上機嫌で嬉しそうで私も嬉しくなる。


「総長、これからも末永く宜しく御願いします。」


私の前世での最高の上司達。まさかお義父さん、お義母さんになるとは思っていなかった。




「風呂、上がったー!」


ルイスが呼びかける。解った入るよと言うと


「ごゆっくりー!」


と2人は声を揃える。何だそのニヤニヤ顔!!


そう言う所は本当に親じゃないな。総長達だ。




マッケンジー家の広い風呂を堪能しリビングに戻ると突っ伏して寝ているグレンさんとローズさん。


本当に放置で良いんだなあ。何か幸せそうな寝顔だ。




「おやすみなさい。」


寝ている2人にそう告げてルイスの部屋に上がる。




トントン。ルイスの部屋にノックして入る。


今日は部屋の明かりは付いていた。




「ルナリー!」


ベッドの上で両手を広げるルイス。もー!!


こっちはまだ恥ずかしいんだよ!




「アホ。」


悪態をつきながらベッドに入る。




直ぐに押し倒されるかと思ったら。




「ルナリー、手出して。」


ルイスが枕元の棚から指輪のケースを2つ取り出した。


「今までのは婚約指輪。これは結婚指輪。」


ケースを開けると銀色に光る指輪が入っていた。


「これはもしや。プラチナ?」


聞くとルイスは頷く。


「文字を入れてもらうの苦労した。」


指輪の内側にルイス&ルナリーと刻んであった。




「そしてこっちは俺の。」


お揃いのプラチナの結婚指輪。




何か、ヤバい。泣く・・・。




「ありがと。」


嬉しくてやっぱり泣けてしまう。


ルイスはニッコリ笑って私の婚約指輪を外して指輪を嵌め直す。


「俺も嬉しい。」


泣く私の涙を優しく拭ってくれる。




私もルイスの指に結婚指輪を嵌める。




嬉しい。




「不束者ですが宜しく御願いします。」


ベッドの上で正座で三指ついて頭を下げる。


それを見てルイスも正座をして


「こちらこそ末永く宜しく御願いします。」


と頭を下げた。




改めて本当に夫婦になった様な感じがした。




明かりを消してベッドに入る。




勿論、寝ないけれど・・・。


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